『C5』
world of gray 16
『やぁ、君も粋な事をするね!』
『誰だ?』
『初めまして、宇宙です!』
『・・ただのチンチクリンなガキにしか見えないが、普通じゃないな、その温度。』
『僕の温度は低いからね、これ以上無いくらい、本当に其処に居るのかも分からない程にね。』
『・・なんの用だ?』
『うん、君にね、「銀河」になってもらいたいんだ!』
『は?』
『なにが分からない?』
『お前、ふざけてる・・訳じゃないみたいだな。知ってんだろ?』
『ああ、知ってるよ!「銀河」の事は残念だった・僕から生まれた始まりの天体人「銀河」。』
『大丈夫、わざわざ言葉にしなくても分かるよ、ひとつずつ説明しよう。僕を知る者の多くは全てが僕から始まったと思っている、だけどそれは違う。
僕がした事は「銀河」を生み出したと言う事だけだ。それは僕の能力によるものじゃなく、権力によるもので生まれた。そもそも僕には何の能力も無い。何も出来る事は無い。
僕から生まれた「銀河」は全員で八人。それぞれが自身の世界を持ち、この世界は成り立っている。つまり、この広大な黒の世界は八つの空間でバランスを取っている。
君のよく知る「銀河」が持つ世界、そこにある空間を「天ノ」と呼ぶ。今「天ノ」には「銀河」が居ない。一つの空間には必ず一人以上の「銀河」が必要だ。
だから、君が代わりに「銀河」になるんだ!』
『・・なるほど。』
『引き受けてくれるかい?』
『断れるのか?』
『難しいね!』
『実質、返事は一つしか無い問いじゃねぇか。』
『ありがとう!きっと銀河も喜んでいるよ!』
『・・・』
『ああ、それとね。君はもう、あの世界には近づかない方がいい!』
『どう言うことだ?』
『今の君は、あの世界の許容範囲を裕に超えている。存在する事は勿論、近づく事さえ出来ない。この形を守りたいのなら。』
『・・内の力でってのも、無理な話と言う訳か。』
『察しが良いね。世界の中身は、その枠に収まる範囲までの成長しか有り得ない。だから、あの世界はこれ以上強くはならない。』
『だけど、またいつか・・この世界は見たい。見なければならない。』
『そうか!これから、どうするんだい?』
『黒の世界を見て回る。』
『先ずは仇を打つんだね!』
『いや、そんな事はしない。と言うより出来ないだろ?アイツ等皆んなあんなになっちまって。』
『ほぉ、アレが彼等だと分かるのかい?』
『ああ、微かに奴等のエネルギーを感じる。どうせ、馬鹿共同士でずっと争ってたんだろう。あの日からずっと、身の丈を履き違えて・・』
『君達天体人は、寿命を迎えると人としての姿形を失う。が、その者を構築していた個性が其処に残る。それは天体人が人を終えた姿、天体。』
『天体人以外の奴等は、消えるとどうなるんだ?』
『白の世界の者達だね?』
『ああ、あいつ等は俺達とは違う・・気がする。』
『ああ、そうだよ。君達とは全くの別物。言うなれば彼等は霊体人。消えても天体にはならない。何も残せない。』
『そうか。』
『他に聞きたい事はあるかな?』
『・・他所の空間も、銀河が変わったりしてんのか?』
『変わりまくりだよ!数えるのが嫌になる程にね!その点この空間は、まだ二代目。天の銀河の個性が垣間見えるね!』
『銀河の名を持つ者がそんなハイペースで消えんのか・・碌でもねぇと思ってたこの世界だけど、案外この「世界」はいい方だったのかもな・・』
『・・もう聞きたい事は無いみたいだね!じゃあこれからは「銀河」としてよろしく!』
『あーーそーだ。最後に一つ、これだけは決めておかないと。あの世界の名前、何にする?』
「宇宙」は一言『了解』と言い残し、姿を消した。
『銀河、これからは俺が『銀河』らしい・・・銀河を卒業したアンタに、変わりと言っちゃ何だが、俺の名前をやるよ。気に入ってくれるだろ?』
「銀河」が其の地を離れ、幾分かの時が経った其の頃。其の地、白の世界は大きく変化していた。
かつて荒野だった場所にも人々が暮らし、其処には新たに幾つかの都が出来ていた。
各都は強固に発展している。
誰かが此の世界を守りたがっているかの様に。
光が当たる所には、必ず影が生まれる。
背中合わせの幻、鏡の中を行く様に、表を歩み行く。
『久しぶりだな。』




