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World of Gray  作者:
『world of gray』
14/45

『A4♯』










world of gray 14










荒野に響く音、乱れる吐息、その中を冷たく吹ける「雫」の声。


『おそらく時間を止めたんだ。その間に生徒会長を消した・・』


「太陽」は「真依理」の目先に立つ。

軽く持ち上げられた「太陽」の腕、手の先より瞬く輝き、其れは天へと溶けて行く。

瞬きをする間も無く、次には「真依理」の姿が消えていた。

その場の何処にも見当たらない。

次の瞬間、「明希正」を中心に湯水の如く噴き出る白金。その輝きが視界を奪う。

涼しげな「太陽」の表情は刹那の曇りを見せる。


『時よ、停止せよ。』


「太陽」は、万物が変化を忘れたその世界の中を、ゆっくりと歩いて行く。

その場を埋め尽くさんばかりの余りあった金は何処にも見当たらない。

一息抜くと、ゆっくりと空を見上げた。

時は再び歩み出す。


『何かを、忘れた気がする・・』


その場に立ち尽くす「火憐」。

「雫」も又、同様に。

頭の中に煙幕が広がる様で、すごく気持ちが悪い。

何かが釈然としない感覚。

「太陽」は「火憐」に歩み寄り、「火憐」の額の前に手を翳す。

「太陽」は、薄く口を開く。

何を言おうとしていたのかは分からなかった。

「太陽」が言葉を発するよりも先に、「火憐」は言った。


『生徒会長、土宮先輩、白金先輩が居なくなった・・ここに居なかったと言う事は、木崎さんも多分・・・』


「太陽」は、ゆっくりと手を下ろした。

続けて「火憐」は言う。


『もしかして今、時間止まってる?』


『ああ。』


『全然驚かないのね、太陽。』


「火憐」は優しく握りしめた。

小さな掌から少し溢れる程の箱を。


『多分、これのおかげ・・』


それは「銀河」の『アイテム』、『オルゴール』だった。

異能力試験の日、「火憐」は「理事長」から「それ」を託されていた。


『私も、この世界から居なくなるの?』


『ああ。』


「太陽」は、再び腕を持ち上げる。

「太陽」の指先が伸び切ったその時、突如として其のオルゴールが強い輝きを放つ。

そう見えたのも束の間、輝いていた事が何かの冗談であったかの様に、その輝き全て見る影も無い。

しかし、「火憐」へと駆け来る足音を聞いて、先程輝いて見えたのは嘘では無かったのだと、そう思えた。

「火憐」は言った。


『太陽!私と勝負よ!』


構える「火憐」を見て、静かに構える「太陽」。

どちらが先に動くか、その場に漂い出す緊張感。


『待って!』


「雫」は言う。


『僕が先に行くよ!今日は僕達の決勝戦の日だ。先に決着をつけさせてくれないか?』


「火憐」は、ゆっくりと肩を撫で下ろし、半歩下がる。


『さぁ、決着を付けよう。あの日の続きだ。』


『面倒だ。二人掛かりで来い。』


『冗談言うなよ、太陽。』


『・・・来い。』


「雫」は構える。


『水行、流水大突破。』


前に出る「雫」を追い越し、津波が辺りを飲み込む。


『ウォール・オブ・ソル。』


水浸しの大地に黒く瞬く半球体。


『流水超一点突破。』


半球体のど真ん中を激しく押す力、然し、ビクともしていない。

「太陽」は、壁の内側から手を翳す。


『アウト・オブ・ブラック。』


黒く瞬く其れを押す力は、一瞬にして空に溶ける。

「太陽」の周囲を舞う瞬き、その黒の中を行く。

気泡越しに「太陽」と「雫」を見る眼差しは、強く輝く。


『ソード・オブ・ソル。』


空を揺らさず「雫」の目の先に立つ「太陽」。

右手に瞬く黒の剣、鋒は「雫」の前髪を掠める。


『バレット・オブ・ソル。』


後方に飛ぶ「雫」に、「太陽」は力を撃ち込む。


『流水城壁、流水砦。』


「太陽」の放つ力に、「雫」の護りは塵となる。


『二段階の護り・・』


護りを失った「雫」へと距離を詰める「太陽」。


『流水、玄海突破。』


「雫」の足元から一気に広がっていく力、高波を上げ、渦巻き、その技は世界を水で満たした。

「太陽」は水面をゆっくりと歩いて来る、耳触りの良い音、波紋を作りながら。


『これくらいじゃ、やられてくれないか。』


『これくらい、か。お前は強い・・それに頭もいい。他の誰よりも力を使った恩恵・・・分かってるんだろ?』


『力の強さは熱、技の強さは使い方・・』


『俺が聞いたのは、そんな事じゃない。』


『・・次で決める。決められなかったら太陽の勝ちだ。・・ーーーー流水、激流槍。』


空気中の水分が体積を大きくし、肉眼でハッキリと見える程のサイズになると、それは無限とも言える数の槍へと形を変え「太陽」に降り注ぐ。

「太陽」は籠城し、これをやり過ごす。


『その護りを突破出来れば、僕の勝ち。・・流水蓮華、しーーーーーー・・・』


「雫」の背後に立つ「太陽」。

「雫」の姿は何処にも無い。

ただ其処には、見渡す限りのスイレンが咲き誇っていた。










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