『A4』
world of gray 13
「太陽」は一人、とある荒野に立ち尽くしていた。
そこに、グレイ・レイスの皆が集まる。
第一声は、「火憐」から切り出された。
「太陽」は何も答えない。
「雫」は問う。気を失っている皆の事、いつ目が覚めるのかと。
「太陽」は、何も答えない。
「太陽」を気に掛ける「真依理」を横目に、「明希正」は動いた。
『金行、白金の砲弾。白金射撃、超一点突破!』
「明希正」の掌より溢れ出る白金の粒。それは砲弾となり、血管の浮き出る程に強く握りしめた拳で、それを力いっぱい殴り付ける。
「太陽」は、ふわりと腕を伸ばす。
その指先には砲弾が形成され、それを中指で優しく弾いた。
烈火の如く撃ち出された互いの技は衝突、「明希正」の砲弾は粉々に打ち砕かれた。
地へと落ちる破片は、一筋の煙を上げる。
「太陽」の砲弾は遠くの方で爆ぜ、大きな音を立てる。
靡く髪、空が頬を撫でる。
皆は、「能力」と「異能力」の差を思い知らされる様だった。
『目を覚ませ、太陽!』
「明希正」は言う。
何かを言いた気な顔にも、見えなくもない。
空気の揺れる音だけが、その場を支配している。
「生徒会長」は、薄く口を開いた。
二言目が出るまでに、数秒と時間は空いていなかったけど、とても長くその揺れに耳を預けていた様な気がする。
『太陽君は、理事長から力と此の世界を託された。今や此の世界は太陽君の物。あなたの好きにすれば良い。
出した答えが、此の世界から「異能に関する全ての事を消す」と言うことなら、早くそうすればいい。』
『どうしたの?やらないの?』
『私達は此の世界に於いて(おいて)、一際強くあなた達の世界の力を宿している。それは何故か、私達が全員「n.s.w」が引き金となって生まれた存在だから。
だからこそより強い力を持ち、扱う事が出来る。それはつまり、此の世界の者達とは根本的に身体の作りが違うと言う事。
此の世界の者達は力を失っても身体までは失わない。だけど私達は、力を失えば身体も失う。この身体は力そのものだから。
どちらかと言うと、私達以外が「グレイ・レイス」と呼ばれるべきですね。
まぁ、「此の世界の者」でも「あなた達の世界の者」でも無いと言う意味では、合っているのかも知れませんが。
こんなどっち付かずの私達を、同情でもしてくれているのでしょうか?』
「真依理」「明希正」「雫」「火憐」は言葉を失っていた。
ただ、小さく鳴る喉。
長らく閉ざされていた「太陽」の口が薄く開く。
その時、世界は変化を失った。
『お前がそんな事を言うなんてな。・・いや、お前だからこそ、そんな事を言うのか。』
辺りを瞬く輝き、空に漂い、天へと昇っていく。
真っ直ぐ正面を向いていた首も「それ」に釣られて上を向く。
『そこから見える景色は、どう見える・・』
小さく鳴る喉から響く、辺りを揺らす大きな音。
それは何処までも遠くへと、響き渡るかの様であった。




