『G4♯』
world of gray 12
昨日までと何も変わらない今日の教室。
いつも通りの「おはよう」だけど、どこかぎこちがない。
「火憐」と「雫」は声を揃えて言った。
『あのさ。』
二人は同時に言葉を飲んだ。
そこへ、クラスメイトが駆け込んで来た。
『おいっ!お前ら聞いたかよ!?B舎の生徒が全員いなくなったって!!』
「火憐」と「雫」は顔を見合わせた。
クラスメイトの忠告も顧みず(かえりみず)、二人は教室を飛び出した。
考えている事は同じ、話さなくても分かる。
二人は、黙々と走り続けた。
『これ、太陽がやったの・・』
其処は生徒だけではなく、先生も誰も居ない。まるで人の気配が無かったのだ。
どう言うつもりかは分からない。だけど今は、先ず会う事、会って話を聞く事だけを考える。
「雫」と「火憐」は、「太陽」の家へと向いて走り出した。
その頃「太陽」は、A学舎の校長室に居た。
何かを話している様子。
その後「校長先生」は、パタリと優しく倒れた。
学舎の至る所で次々と意識を失い、倒れていく者達。
瞬き、揺れ、それは静かに舞い、その場に溶けていく。
美しくもあり、悲しくもあるその道を、「太陽」はゆっくりと歩いて行く。
『時よ、停止せよ。』
「太陽」は、自身のクラスへとやって来た。
残す所、このクラスだけ。
「雫」と「火憐」は居ない様だったが、特に気には止めていない様だった。
『アウト・オブ・ブラック。』
歩み出す時間の中で、そのクラスメイトは倒れる。
それを見ていたクラスメイトは、悲鳴を上げ教室から飛び出す。
それを見ていたクラスメイトは、「太陽」に掴み掛かる。
再び変化を失った空間の中で、クラスメイトは意識を失う。
何かを失った事にも気付けないまま、世界は歩み、進み出す。
その歩みの中で倒れて行く生徒達、一人、また一人。
「太陽」は、今居るその場所、自身のクラスを後にする。
『行かせない。』
廊下に出ると、其処には「香」が立っていた。
『やっと見つけました。記憶、戻ったそうですね。』
『アイツらから聞いたんだな。』
『はい。グレイ・レイスの皆んなは此の異変に気付いて、あなたを探していました。』
『何で俺なんだ?』
『この世界で手を焼く様な問題は起きない。何もすべき事がない程に平和、私達の部活動の様に。この普通が壊れたと言う事は、それだけ大きな変化があったと言う事。
・・太陽が関わっていると言う事は明白です。目的は、なんですか?」
『ここに来るまでの間、グレイスのメンバーとは誰1人合わなかった。1番初めに俺の前に現れたのが、まさかお前とは少し以外だ。』
『質問の答えになってません。』
『答える気はない。』
『いつもの当てずっぽでも言ってみたらどうだ?』
『こんな時に、なにを・・』
『それもそうだな。お前の当てずっぽは、アテにならない。』
『私を消しますか?』
『ああ。』
『あなたにそんな勇気ありませんよ。』
『なぜそう思う?』
『当てずっぽ、じゃないんだな。』
『私の当てずっぽは、あてにならないんでしょ?』
『ああ、お前の当てずっぽは、アテにならない。』
透けて見える廊下の奥、優しく揺れる瞬きの中を歩いて行く。
「太陽」の「たなごころ」は、火傷をしたかの様に熱くなっていた。
時を同じくして「雫」の携帯が鳴った。
『誰だ、こんな時にーーーー・・生徒会長?』




