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World of Gray  作者:
『world of gray』
10/45

『F4♯』










world of gray 10










放課後、「太陽」は「火憐」から責められていた。

理由は言うまでも無い。が、あえて口にすると昨日の部活動をサボった事、そして今日も部活動をサボると言う事。

勿論サボりでは無い。

少なくとも「太陽」は、そう考えている。

サボりじゃないと弁明するが、「火憐」には聞いて貰えない。

扱う言葉と、伝わる伝わらないは、余り関係が無いのかも知れない。

然しながら「太陽」は、「火憐」の言い分も理解出来る気がしていた。

それでも話が通らないのは、二人の間で「サボる」の考え方が違うから。

もっと言うと、重きを置くポイントが違うからである。

要約すると「火憐」の主張は、事実として「した」のか「していない」のかが大事と言う事だ。

対して「太陽」の主張は、「出来る時は出来る」「出来ない時は出来ない」こんな所だ。

どちらも間違っては聞こえない。

其処に無理があってはならない。

無理の考え方も又、人それぞれ。

無理をする事を、誰も勧めはしないだろう。

こう言う時は折れた者勝ち、相手に譲る感覚が気分を良くしてくれるからだ。

それに、結果的に相手も折れてくれる事がほとんどだろう。

但し、相手が自分自身の場合は、折れない者勝ち。

「太陽」は一言お詫びを入れ、その場を後にした。

向かう先は校長室。


『校長先生には、まだ聞きたい事がある。それにあの部屋、探せば何かが出てきそう。』


その時、「太陽」は何かに強く肩を打つけた。


『痛っーーーーーーすいません!えっ、理事長!?』


『太陽君、だったね。危ないよ、ちゃんと前を見ないと。』


『はい、すいませんでした。でもびっくりしました!学校で出会う事があまり無いので、まさかこんな形で出会すなんて!何かされてたんですか?』


『ちょっとこっちの学舎に用があってね。最近校長先生に任せっきりだったから様子を見にきたんだ。』


『そうだったんですね!普段は向こうの異能力者専用学舎にいるんですか?』


『最近はあっちにいる事の方が多いかな。あっちはあっちで任せてる先生はいるけど。』


『そうなんですね。・・あの、聞きたい事がーーーーーー』


『じゃあ僕はこれで失礼するよ!頑張ってね!』


『・・はい。お疲れ様です。』


早々に立ち去って行く「理事長」に、掛ける言葉なんて思い付かない。

少し間を置くと、感情が言葉になっていく。

後悔はあるが、気持ちを入れ替え校長室の前に立つ。

扉を二回、拳で軽く打つ。

返事は無い。


『誰も居ない部屋を漁るのにも慣れたものよ。こんな事に慣れたくは無いけどね〜・・』


勿論悪い気はしているが、好奇心がその気を弱くしていく。


『やっぱりここに居ましたか。』


「太陽」は、顔も上げずに素早く振り返り、大きな声で謝罪する。

返事は無い。

恐る恐る頭を上げ、目を開く。

其処に立っていたのは「香」だった。


『あなたが部活を休んでする事、大体予想ついたから。』


『あっ、そう。』


『で、何か見つかりましたか?』


二人は一緒に、校長室を隈無く探した。

然し、何も出ては来なかった。


『母さん、もうすぐこの部屋に帰ってくると思う。ひとまず別の場所に行きましょう。』


「太陽」と「香」は場所を変え、3ーBクラスに来ていた。


『特に何もなかったなー』


『そうですね。』


『今日は、ありがとな。』


『何がですか?』


『手伝ってくれて。』


『いえ、別に。』


『じゃあ、僕は帰るよ。』


『はい。』


『またな。』


「太陽」は高く手を上げ、「香」を背に教室から駆けて行く。


『またな。』


「太陽」は、生徒会室で見たCCCランク以下の異能力者が通うもう一つの学舎、B学舎へと足を運んでいた。

「太陽達」が通うA学舎と比べ、かなり大きく感じる。

校舎の数も、一つだけじゃないのだとか。

A学舎は、校舎と競技場がそこそこ離れた場所にあるのに対し、B舎は目の前にあり、かなり小さく作りもチープに見える。

遅い時間だけど、下見には丁度良い時間。

「太陽」は、恐る恐る校舎へと侵入する。

すると、競技場、そのフィールドから何かが光るのが見えた。

対して頑丈そうでもないフェンスの扉は開いていた。

フィールドの入り口に立ち、一抹の罪悪感を残しながら一歩、歩を進めようとしたその時、背後に気配を感じた。

素早く振り返り背後を確認すると、其処に立っていたのは「理事長」だった。


『理事長・・なにしてるんですか、こんな時間に・・』


『ちょっとね。君こそこんな所で何してるんだ?』


『僕の住んでる所ここから近いんで、散歩を。』


『あぁ。そうだったね。』


『そうだった・・僕の家知ってるんですか?』


『あぁ、立場上ね。』


『沢山いる生徒のうちの一生徒の住所を覚えてるなんて理事長は記憶力がいいんですね。』


『そうだね。』


『理事長なんですから当然の事、なんですかね。』


向こうから此方こちらへと駆け寄る小さな足音が一つ。

向こうに目をやると、数人の人影が見て取れた。


『あまのせんせーーーーー!』


駆け寄り来るその生徒は「理事長」の事を呼んでいる様であった。


『もういいのかい?』


『うん!』


『じゃあ帰ろうか!』


『まっ、待ってください!あまのって?』


『ん?僕の名字だけど。』


『僕と同じ名字・・』


『同じ名字の人なんてたくさん居るでしょ。』


『僕の周りには一人も居ない・・』


『そう?僕のまわりには沢山いるよ。』


『・・理事長、あなたは何者なんですか?』


『君が答えを言っているじゃないか。僕は理事長だよ。』


『・・・』


『じゃあ僕は生徒達を送っていくから、君も気をつけて帰るんだよ。』


残された「太陽」は、フィールドをぶらぶらと徘徊した。


『なんだこれ・・花火?普通に花火してただけ、なのか。』










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