2-19 合流Take2
家にめり込んだガドラ問題をなんとか(強引に)解決した俺達。そんなこんなで大判さんから賃金を貰い、村を出発していたのだが……
そんなことよりも、俺はマールがここに居ないことについて気になっていた。
そこで何故か事情を知っていたよつばに聞いてみるとどうやらマールは『夢のマイホームを見てボクは大判さんに弟子入りすることにした! 1週間修行する予定だから、終わり次第あの街で合流しよう』この手紙を手渡しながら言ってたそうだ。ちなみに手紙の中身は1週間の大まかな修行日程だった。
「マールらしいといえばそうなんだけども……うん」
俺は正直また勝手な行動をしやがってとは一瞬思った。だが本人がやりたいと言っていたならやらせてあげてもいいんじゃないかと思い始めたのも事実であり。
「破天荒ですわ……はい」
「家を壊す方が向いてると思うんすけどね……フー」
それにマールにとってモリヤミは生まれ故郷だから別に心配しなくてもいいかなと思い、ありがたく置いていくことにした。
マールがいいって言うならいいんだろう。よつばは後ろめたそうにしていたけど。
でも1週間はさすがに長くない? いや弟子入りするんだったらそのぐらい必要か……(自己解決)
マール本人はこの手紙的に俺たちが冒険者の街に行くことは分かっているだろうしなんなら性格は図太いしあまり心配はいらないだろう。いや大丈夫だよな? また前みたいに行き倒れないよな?
でも一応本人にこの村を出たよと一言っておいたほうがいいかもしれない。近くに知り合いがいたらそいつらに預けるということもアリっちゃアリなんだけども。
まるで罪人の処遇を決めているようだがマールは犯罪らしいことには手を染めてないから勘違いしないでほしい。
置き手紙までして行方をくらましたならそうなのだろう。万が一誘拐されてたとしても本人はピンピンしてそうだし、俺が責任持って助ける。それでみんな納得してくれた。
もうこの機会にマールの助け無しでモリヤミに着いとこうという方針なのだ。
「ホゲェェェ! 平和的な流れから突然の惨劇ですのぉぉぉ!?」
なんだなんだ!? いつのまにか場所を離れていたよつばの叫び声がここら一帯響き渡ったぞ。
「は? 惨劇って」
「よつばさんの叫び声はあっちから聞こえましたっす! 今は現場に向かいましょう!」
◇
なんか目の前に臓物を撒き散らしながら絶命寸前の身体になってるゴブリンがいるんだけど。それもオークの子供が縄で縛られてるということはこのゴブリンって親?
「ハルト久しぶり! なんか見ない顔も増えてるじゃんか!」
そこには疾風丸湊と愉快な仲間達が……いやアリィだけ居ないな、うん。
どうやらこのゴブリンの子供は湊直々に預かることにしているらしい。うん、人間のやる所業じゃねぇ。相手は魔物であっち側が襲いかかってきたとはいえ中身は普通に人語を話す魔物だよ?
アンタはサイコパスか!?
「アリィの旦那! ほら来てらっしゃい! 久しぶりの顔ぶれ
「久しぶりです!」
状況はあれだがこれは好都合かもしれない。リーダーはともかく頼れる男ダースさんならマールのことを任せられる。
疾風丸達はどうやらここで一夜泊まるようで、それからしばらくはここで休む予定だから都合が良い。
最悪アリィさんやダースさんも居るし大丈夫だろうと判断した。
疾風丸達とあっちで合流したらこの街のノウハウを教えてくれるらしいし、楽しみだなぁと思ったのでした。
◇
追記
アリシアの件や再会のついでに話しかけてみたらなんか意気投合しちゃった俺ことハルト。たくさんある趣味の中で、料理好きや読書好きの趣味がアリィさんの趣味と一致していた時点でこうなる未来だったんだろうなって。
「そういえばアリィさんの冒険職を聞いてなかったよ」
「いきなりですね。別に隠してるわけではないからいいですけど」
「その前に俺達パーティーメンバーの職を言っておくよ。確かマールがクルセイダーでよつばがウィザード。俺が盾でガドラが……本人に聞いてないや」
ガドラについてあまり知らないということが露呈してしまった! あとついでによつばはまだ魔法使い見習いです! ていうかいつ魔法使いと認められる資格取りに行くんだろあの子。
「コミニケーション不足ですよ。確かにあなたは気にしそうなタイプじゃないですけど、いざという時苦労しますよ」
「返す言葉もありません……」
「私はよつばさんと同じ端くれの魔法使いだよ。というかよつばちゃんは魔法使い仲間ってことか!」
「アッ……アハハハハ……そっすね」
それからアリィさんはよつば達についても話してくれた。同じ旅をしている女の子ということで意気投合したらしいのだが……
「オカアチャァァァン! 助ケテェェェ!
「黙れ」
「グヒィ……」
グキィという小さな鈍い音が一瞬にして俺の言葉を奪った。どこから聞こえたのかキョロキョロ探してみるとそこには湊が何かをしている。
ふと湊がさっき捕まえてたゴブリンを片手で担ぎ何処かへ消え去っていくのが見えてしまった。なんとなく気になってしまいアリィさんにゴブリンのその後について聞いてみることにした。
「アリィさん。このゴブリンはこれからどうなるの?」
「ウーン? 毎回こういう奴隷達は湊くんが1人でホテルに連れていっちゃうから私にも分からないです。けど朝になると湊くんはスッキリした表情になってることだけは分かりますよ!」
「......」
まさか湊……いや性欲野郎は魔物にまで手を出してるのか……?
ともかく、親を殺された宿命の相手と思っている子供にも手を出してるのか? なんつー精力サイコパスだよ。倫理観という思考の考えがぶっ飛んでやがる。
「は、ハハハハハ……そうだ、そろそろ俺達行かなきゃ」
「そう……また会ったら話そうね」
「うんうん。それじゃ!」
別に急ぐ理由は無いが、その嫌な予感というのを本能で感じ取ったのだ。さっさとこの場から離れなければ……
湊……俺がモンスターと対峙する以外ことを除けばお前が1番恐怖を覚えたよ。これ以上踏み込むと何が起きちゃうか分からん。触るが仏だ。
◇
そんなわけで俺達3人は今、モリヤミの冒険者の街に向けて馬車を進めています。マールは疾風丸達が責任を持って連れてきてくれるだろう。
ていうかアリィって子は大分鈍感なんじゃないかって思うのよな。この行為をしたことが無い俺でもその後の展開は薄々察せれるというのに、この子の頭の上に?マークがついていたし。
そういえば湊がアリィさんのことを話してくれてたんだけど、可愛い子だし湊の力ですぐに落とせそうだなと思い誘ったらしい。性欲野郎じゃねえか。
なんか仲間にした理由がもの凄い不純な理由で心配したのだが、現実は違いアリィを全然落とせる気配が無かったようであの変態野郎(疾風丸)は酷く自分自身に自信を無くしているかのように語っていたのが印象的だった。
アリィさんは強い子だと思いました。
◇◇◇◇◇
次回に続く
【※読者の皆様へ】
「面白い」
「続きが気になる」
「次回も楽しみ!」
と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】から作品への応援お願いします!
今後も作品を書き続ける強力な燃料となります!
なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願いします!