2-18 あの今日私が主役なの
よつば視点
晴天の青空、のどやかな心地いい風に釣られて私は夢の中から目覚めました。そして、あのアリシアで調達した三着の服を選び絶賛着替えている途中ですの。
何故かアリィさんがミニスカというものを大々的に推してたので結局丈幅バラバラのスカートを一着ずつ買ったのですが、どうも足がスースーしますわ。
それでも私としてはとても動きやすい格好で気に入りました。皆さまから好評だったのでアリィさんのセンスに感服している今日この頃ですの。
城から持ってきた服達はその場の雰囲気で着こなすことにします。いや明日また着よう。
それにしても、朝からマールさん以外見当たらないですが、どこをほっつき歩いているのでしょうか?
「マールさん。ガドラとハルトは?」
私の目に写っていたのは、ガタイのいい大男大判海鳴と共に3人で協力して家を作っている光景だった。
「よし、ひと段落ついた。ハルトくん、休憩にしよう」
「はい!」
私の誕生日の大事な日なのになぜか家を建ててる~!?
◇
私はこんな誕生日でも別にいいかな、今までが豪勢すぎただけだしと思い始めた頃、家が2時間で完成した。
「いやぁ~いい家建てたね~」
「はい!」
マールはというと憧れのマイホームだと目を輝かやかしながら案内人と共に家の中に入っていった。それを見て微笑む2人。豚小屋ぐらいの大きさはありそうな家ですわね。
それにしても世間一般常識に疎い私ではあるのですが、いくらなんでも早くできすぎません?
そんな些細な違和感を感じつつ、あっちは楽しそうだなと思いながら休憩している2人を見ていたのですが......
「あれ? そういえばガドラさんは?」
完成している壁を見て、周りを探索する私。完成した家を見つつそのあたりを詮索しつつ探していました。そしてさっきまで居た場所に戻ってきて思ったことが一つ......
ガドラさんが家の壁の一部みたいに組み込まれていた......
組み込まれてる......? 組み込まれてる? 組み込まれてる!? 組み込まれてるぅぅぅ!
どうしてガドラが家の壁に飲み込まれているの......? なんならスクワットしていそうな体勢で壁の一部になっているし......
「フッフッフ。これぞパリピ真拳奥義、構造拳。あのドラゴンみたいなやつはこの状況でどんなハッチャケを見せてくれるかな?」
「このやろう! よくもガドラを!」
「一緒に建ててたじゃん」
険しい顔になっていますがあなたも共犯ですよね? そもそもどうしてああなったのか理解に苦しむのですの。
「クッ......あのとき俺がガドラだと気づいていれば......」
◇ハルトの回想◇
「おっ! こんなところにいいレンガが!」
「俺ガドラだけど......」
そして俺は集めたそのレンガ達を家の壁に組み込んでいたんだ。
「俺ガドラだけど」
そしてレンガを壁に設置しつつも補強やセメント塗りを終わらせ......
「大判さん! セメント塗り終わりました!」
「俺ガドラだけど?(憤怒)」
大判さんに家が完成したとの報告の他に妙な現象を話してみたんだけど。
「さっきレンガが喋ってましたよ」
大判さんは笑いながらポンポンと肩を叩く。当然の反応だった。
「そんなバカなぁ! アッハッハ!」
◇回想終わり◇
嘘でしょぉぉぉ!?
「何がどうなったらガドラさんをレンガと間違えるんですの!?」
なんで今まで気づかなかったですの? それよりもガドラさんの意識が無くなっている問題が先です。私達の力じゃ引き剥がすことなんて無理だし状況が悪すぎるですの!
「少し痛いが我慢しろよ。真空波!」
大判さんが衝撃波をガドラさんに向けて放ちモクモクと土煙が舞い上がりました。
「ど、どうなりましたの……?」
土煙が消えかけた頃にガドラさんが居た場所を見てみるとあら不思議。ガドラさんがめり込んでた場所だけが消えているではありませんか。
この様子だとどうやらガドラさんは助かったようだ。今度は地面にめり込んでいる姿が見えた気がしますけど、これに関してはハルトが必死の形相で助け出そうとしていたので大丈夫でしょう。
「お嬢さんお嬢さん」
何故か特に面識のない大判さんに呼ばれてしまいました。もしかしてこの件について大変ご立腹なんじゃ……
そう思って身構えていたのですが、全くの徒労に終わりました。むしろ素敵な笑顔でハルト達に感謝を述べていました。作り上げた家に風穴開いてますけどいいんでしょうか?
どうやら大判さんは次の仕事が控えているらしく、後でアイツらに渡しておいてと中身が入った二つの封筒と一枚の紙を預かることになりましたの。ちなみにこの紙は2人が昨日から欲しがっていた物らしく、詳しくは分からないですがとりあえず重要そうな物だと認識はしました。
◇◇◇◇◇
次回に続く
50話目到達!╰(*´︶`*)╯☆ 苦節半年ようやくここまで来ました!(ここまでの文字数約120000万字)
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