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一般盾使いの冒険記  作者: まちゃかり
第1章 旅路
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1-19 ユウキ(後編)

エリックリート(エリート)視点

 おっと、ハルトの不意打ちフレイムを咄嗟にかわした勇者ユウキ。ハルトはしまったなという表情をしながら臨戦態勢に入っている。


「おいてめえ! 何ユウキ様に不意打ちかまそうとしてるんじゃ!」


 ユウキくんの強面仲間が激怒している。不意打ちなら怒っても仕方ない。


 ふむふむ、それにしてもユウキくんの仲間達なんとまあ品性下劣な言葉使いをしているな。この先ピンチになったらユウキくんは上手く対応できるんだろうか?


 だがユウキくんへの忠誠の心は本物のようだから何も言わずにそっとしておいてやろう。生憎下僕は間に合ってるからな。


 ユウキくんはというと仲間の声に同調し、ハルトに勇者らしからぬ言動で恨み言をぶつけている。


「やっぱり許してはおけないコイツは。王女を誘拐するわ、追放系の破滅フラグを僕に使ってくるわでもう頭にきた! 僕達に危険が及ぶ前にハルトは潰さなきゃ! そんなわけで死ねやクソ野郎!」


 早口言葉みたいに恨み言をぶつぶつ言ったのち急にハルトに斬りかかりにいく勇者ユウキと、それを必死に盾を使って耐えているハルトの真剣勝負のぶつかり合い!


 ハルトは嘲笑うかのようにユウキに言い放つ。不意打ち上等! こっちは自分のことで精一杯だからね。汚い手はバンバン使っていくからなと。


 こうしてハルトvs冷酷の勇者、冷城ユウキとのタイマン勝負になったわけだが......


「なんじゃこの光線は!」


 ユウキはハルトが怯んで後ろに下がった隙を突き、若干光っている剣をかざして剣の先端から光線を放ってきた。光線より衝撃波の表現が適してるか。


 衝撃波自体は遅くハルトは咄嗟に避けることは成功しているもののその光線は木箱を一瞬で溶かしさらに店の壁も貫通してやっと光線は消えていった。


「エンジェルソード......この衝撃波を受けたザコモンスターはこの一撃耐えられるはずもなく消滅する。神がくれた恵まれし神器のサビにしてくれてやるよ」


 ユウキくんが剣を見せびらかしながらハルトにさっきの衝撃波でトドメを刺そうとしている。


 ユウキくんは大人気ないなぁ。これじゃあ余興がすぐに終わってしまうじゃないか。


 これは圧倒的な強さで勇者ユウキが勝ちそうだな。下手したらハルトは身体すら残らないんじゃないか? まあそれも一興、我々は第三者として争いの行方を見守る立場。何も手を出すつもりはない。


「食らえフレイム! スパーク!」


 おっと、ハルトが初級炎魔法を初球雷魔法を連続で放ちそれがユウキに直撃した。まさかまともに当たるとは......いやそれよりも奴は避ける素振りをしていなく直撃したのが気になる。


 黒い煙でユウキの安否が分からなかったが、それが消えてみるとユウキは無傷で立っていた。


「クックック......残念ながらこの神様から授かったマントの力で全耐性持ちさ」


 ハルトが放ったフレイムは無情にもユウキくんの身体にかすり傷一つつけることができてなかった。ハルトはこの結果に動揺を隠すことができていない。


「なっ......てことはこいつに魔法系がほとんど通じないのか......? このマントずるくない? どんだけ神に恵まれてるんだよ!? いや恵まれてる......? そもそもお前って神に会ったことあるの?」


 ハルトくんの言い分にこればかりは同調せざるを得ない。もしかして我々が信仰している神様にも出会ったということか? どういうことだ?


 そんな疑念が僕の中で渦巻いているユウキが随分余裕をとった態度をしながら、自分の強さについて話しはじめた。


「お前は弱すぎるぜ。この煙だって演出のためにわざわざ出したぐらいだからね」


 どうやらユウキくんは全称号最上位クラスの力を各個保有している他、魔力も多く保有していると一応敵になるハルトに己の情報をわざわざ話しているのだ。この行動にはさすがに私も癪に触る。


 そして話終わったその瞬間ハルトに向かってある魔法を放った。


「炎蛇狂骨!」


「グッ......緩急を自在に操ったファイアーボールが襲ってくる......」


 これは大分魔力を使う魔法使いとしての最終奥義的な技だ。ファイアーボールのコントロール自体はまだまだだが、使いこなせたりしたら世界一の魔導士を目指せるだろう。こんな技をそうそう早く使うのか。


 これに対してハルトは......なるほど、お前もある程度火耐性を持っているんだな。それに盾使い特有の受け流し性能、単純な図太さ。さすがは盾使いを名乗ってるってところか。


「ギルドで改めて見てもらい炎耐性能力獲得が1番伸び代があったらしくてなんとか耐えれた......ていうか普通は耐性1つでもあるだけでもとても凄いことなんだからな! こいつ何から何までインキチすぎる!」


 ハルトは半分キレながら叫ぶようにユウキの理不尽を語っている。そんなことはお構いなしに炎蛇狂骨を薄笑いしながら乱射するユウキ。


 多分ユウキくんはこのお店と仲間達や僕の存在を考慮して放っていない。そもそもこの技は安易に乱射していい技じゃない。使うだけでも使用者の身体に相当負担がかかるからだ。とりあえず、自重するように命令しておく。


「お遊びはこれくらいにしておきなさい。ハルトが火耐性を持ってることがわかってやってるんだろ? それはいろんな方向に被害が及ぶから、ユウキくんはさっさと目的を果たせ」


 ユウキくんは舌打ちをした後、乱射をやめて再び剣を光らせる。その行動に何かを予測したのかハルトは身構える......


「スリップ」


 身構えた所にユウキのスリップ魔法で転倒してしまったハルトは必死に体制を立て直そうとするが......


「随分手こずらしてくれたな。それじゃサ☆ヨ☆ウ☆ナ☆ラ☆だ!」


 当然何もできることは無いだろう。僕はこれから巻き起こる惨状をどうやって証拠隠滅しようか考えていた。


 その時、ユウキの仲間の1人強面な男が吹っ飛ばされてきた。ユウキはとある誰かの剣に止められている。


「はいはい、怪我したくなければ抵抗しないことだ」


 このどこかで見たことがあるメンバーに取り巻きの檜使い......まさかユウキの仲間をぶっ飛ばしたや、奴は......


◇◇◇◇◇

次回に続く

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