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一般盾使いの冒険記  作者: まちゃかり
第1章 旅路
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1-18 ユウキ(中編)

 俺が下した決断はこれからどうなるかわからない。だけど、こんなにコケにされてさらにこの条件を飲めだ? ふざけんなと言いたいしなんならもうこの答えは決まってる。


「戦う? 土下座? 正直に言おう、どっちも嫌だね。俺は基本的に厄介ごとに巻き込まれたくはないし、どんなクソ野郎でも争いたくはない。だけど......俺は、今だけは譲れないものがある! だから戦う方を選ぶ……戦線布告だ!」


 正直な気持ち、今すぐ逃げ出したいし怖すぎて胃がキリキリしている。だけど、俺をここまで連れてってくれた本当の仲間に出会えた今、今更1人でスローライフとかやりたくはない。それに今ユウキによつばを明け渡したりしたらロクなことにはならないだろう。


 勇者ユウキ、いや冷城ユウキの好き勝手にはさせないよ。俺なりの反抗をしてやる!


 するとユウキは高々と笑い始めた。まるでおもちゃを見つけた子供のような純粋な笑い声で気味が悪い。そしてユウキは腰につけてあった禍々しい大きな剣を抜き、その矛先を俺に合わせる。


「あの時追放じゃなくて雑用として一生こき使うとかなんなら始末しとけばよかった。僕はこういうこと知ってるんだ。追放系からの成り上がりを!」


「さっきからアンタは何言ってるんだ? 追放系とか成り上がりとか意味がわからない」


 いきなり怒ったり怯えたり忙しい奴だなって思ってる場合じゃない。ていうか追放したのはお前、俺は自分から誘いに乗ったけど勝手にパーティーから追い出したのはお前らだろ?


 とにかくこの現状をなんとか打破しないと、後でよつばに事情を聞く前にこのままじゃユウキ一行に集団リンチに遭って殺されてしまいそうだ。始末しとけばよかったなんて言われているし。


 かと言って今の状況じゃ援軍も望めない。俺のなんだかんだ頼りになるアイツらの今を予想してみたけど多分寝ているか寝ぼけているかだろうし、なんなら入り口を封じられた今助けを呼ぶこともできない。


 てことは孤軍奮闘とか火事場の馬鹿力とかいう言葉を頼りに1人でなんとかするしかないわけか。


 だが、コイツら相手じゃ正攻法では絶対上手く事が運ばないだろうし。今俺が取れる選択肢としては油断してるとこに奇襲をかけるか、賠償金請求されるのを覚悟で店の壁を壊し、逃亡の2択。まあ後者は壊せるだけの力を俺は持ってないから無理なんだけど。


 たしかに戦うとは言ったが、あくまで俺の目的はここからの脱出。それにできるだけ人同士で傷つきあうのはしたくないし、争いたくはない。ユウキに一矢報いて自分は無事に逃げることが今の俺にとって理想的な展開かな。


 なんとかこの短期間で計画を立てた俺だったが、今ユウキは何をしているのだろうか? 確かあの時剣を抜いただけで何もしてこなかったけど。


「お前たちは手を出すな。ここは僕自身で決着をつける。


 奴はまんまと俺に背を向けて奴らにお気持ち表明をしていたのだ。ちょっとこれは絶好の好機じゃないか!?


「さすが勇者様!」


「なんと言う心意気!」


「邪魔者ハルトは今日で死ぬ!」


「一思いに散らせてあげるのがせめてのたむけですぞ!」


 なんだよユウキの仲間とはいえ意見はこんなに一致して......そんなに俺が嫌い? ていうかここは宗教かな?


 ああ......もうこの人らやばい奴らすぎる。あの時の俺はなんでこんな奴らと組んでいたんだろう。どうりでユウキ勇者パーティーにいた頃絶妙に話が噛み合わんわけだ。


 ていうかこんな大変な時にエリック達は何やってるんだ。腐ってもこの場を仕切る仲介役だったはずだろ?


 そう思ってたらエリックなりの考察を奴の仲間に話してたので、ちょいと耳を傾けてみたら......


 ユウキくんは一回追放した奴を改めて処罰を下し、仲間達に恐怖を植え付けるのが今回の目的なのかな? とか、違う可能性があるなら王女様が取られると思ったユウキくんの個人的な恨みからとか、他人事のようにベラベラといい、


 エリックの仲間の内の1人に至っては『どちらにせよ美味い料理を食い、美味い酒に酔う。そしてこれから巻き起こるショーを楽しむ。こんな楽しい生活はないぜ』とか言ってこれから起きそうな惨劇に毛ほども興味を示していなかった。


 ユウキ達もやばい奴らだっだが、自称エリートも大概だったぁぁぁ! それにコイツらグルだったの忘れてたぁぁぁ! グルだったらせめてこっちに興味を示せよ名前もよく分からん奴!


 うう.....そんなことにツッコミ入れてる場合じゃないだろうハルト! 今背を向けて油断している今、まともに一撃食らわせるのはここしかない! 倒せる可能性があるなら俺は戦う覚悟も持つ。比較的得意な魔法をぶつけて開戦といこうか。


「いっけぇぇぇ! フレイム!」


◇◇◇◇◇

次回に続く


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