16.5 閑話:野望
短いですが閑話を書いてみました。
スキュラ討伐を決めたその夜。
「マスター!起きて下さい!」
ピリッとした衝撃と共にヘルスケに起こされた。
野郎、電撃で起こしやがったな。
「ヘルスケ!何しやがる!」
「申し訳ありません、マスター!ですが一大事です!神の眼でご確認下さい!」
ヘルスケにうながされて神の眼で外を確認する。
なんだ、あれ?
夜勤の水夫達十数名が俺を前に土下座状態で祈りを捧げるように体を起こしたり曲げたりしている。
「仮面に洗脳されている模様です。封印結界の隙間から糸を垂らすように微弱な魔力が検出されています。」
なにしてくれてんだ、このクソ仮面!
「毎夜少しづつ洗脳していたものと思われます。あれをご覧下さい。祭壇まで作らせています。」
ヘルスケが言う方を見ると、明らかに壊れかけの木箱にぼろきれを敷いたようなものがあり、その上に何かのっている。
「貢物ですね。」
ヘルスケが真面目ぶって言うが、拡大してみると干し肉の切れ端やかじった後のある果物等、ゴミのような物ばかりだ。
「ゴミじゃねえのか?あの貝殻って昨日の夕食に出たスープに入ってた奴だろ。」
「いえ、間違いなく貢物です。」
自信満々に言うが、仮面の洗脳に今頃気付くレベルだからな。
大丈夫かこいつ。
「再度の封印は可能ですが、洗脳されている水夫達がどの程度いるか確認し洗脳を解除する必要があります。」
洗脳解除ってどうすんだよ。
そんな魔法でもあんのか?
「どうすりゃ洗脳解除できんだ?」
「まだ洗脳が弱い段階ですので、何か強い衝撃を与えれば宜しいかと思います。」
「よし、全員に電撃一発ずつお見舞いしろ。リリちゃんは外せよ。タカノスには特大で。あいつは馬鹿な分、弱い洗脳でも完全にかかってる可能性がある。後は仮面の封印は最強レベルで三重にかけ直せ。」
「了解しました。」
「俺は寝るから、もう起こすなよ。」
その夜、ある商船で全ての乗組員の悲鳴が響き渡った。
カップラーメンの焼きそばのソースがいつも少ないと感じるのは俺だけじゃないはずだ。