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16 魚人と人魚

ちょっと遅れました。

書き殴りで書いたため、時間がある時に修正するかもです。

う~ん、ここは・・・・。

焦点の合わない目にをこすり、ぼんやりとかすむような頭をハッキリさせる。

ベットから起きると肌にかかっていたシーツがずり落ちる。

「な、なんでアタシ裸なのよ!」

勢いよくシーツを手繰り寄せ胸を隠すと、小さな女の子がいるのに気が付く。

「あ・・・・。」

「おねーちゃん、起きた?」

「え、あ、うん。」

そう答えると小さな女の子はいきなり走り出して、どこかへ行ってしまった。

・・・なんだったんだろう。

でも、あの子エルフよね、耳長かったし・・・。

暫くするとドアがノックされ、反応する前にドアが開いた。

入ってきたのは、さっきの子のお父さんらしきエルフと小太りの人族の男。

女の子は男のエルフの後ろにいて顔だけだしてこちらを見てる。

「気が付かれましたか?私は商人のアキンと申します。、こちらはAランク冒険者のタカノス殿とリリさんです。」

「あ、アタシはアイナといいます。助けてくれたんですよね?有難う御座います。」

ベッドに座ったままペコリと頭を下げる。

「単刀直入に聞きたい。お前は何者で、何故あんな海の真中にいたんだ?見える範囲に船らしきものはなかったが。」

鋭い目つきのエルフが間髪おかずに聞いてきた。

確かに陸に住む人からみたらおかしな話よね。

「助けを求めにきました。お願いします、勇者様に合わせて下さい。アタシは魚人族のアイナといいます。勇者様が召喚されたのは知っています。もう勇者様のお力にすがるしか私達には無いんです。お願いします。」

早口に一気にまくしたてると相手は唖然とした顔でアタシを見つめていた。

「待て!お前魚人族なのか?見た目は人族にしか見えないが、どうなってるんだ?それと何故あんな場所にいたんだ?」

「はい、今は変身薬を飲んで人族の姿になっています。人族の勇者様にお願いするなら人族の姿の方がいいと思って・・・。人族の町に向かう途中嵐に巻き込まれたのは覚えているんですが・・・。」

おずおずとそう答えるとエルフの目の険しさが消えた。

「そうか。で、助けと言うのは具体的になんだ?」

「スキュラが、スキュラがアタシ達の町の近くに住みついたんです。アタシ達も戦ったんだけど全然かなわなくて・・・でも勇者様ならきっと・・・。」

「無理だな。」

タカノスから非情な答えが返される。

「ど、どうしてですか。勇者様ならきっとスキュラなんて・・・。」

「まず第一に、スキュラは強い。お前等の町は水の中だろ。水の中限定ならAランク上位の魔物だ。第二に勇者は召喚されたばかりでまだ弱い。スキュラと戦って勝ち目があるとは思えない。第三にそもそも勇者がどこにいるかは関係者しか分からない。会えもしないのに頼み事はできないし、知ってる人間が教えるはずもない。教えていいなら高ひょおうされているからな。」

タカノスのしっかりした口調で伝えられる絶望にアイナの顔がみるみる歪む。

「そ、そんな、それならどうしたらいいんですか?」

「そこにいれば死ぬしか無いなら町を捨てて逃げるしか無いな。」

タカノスの鉄を思わせる無情な声に、アキンが口を挟む。

「タカノス殿では倒せないのですか?」

「無理だな。倒した事はあるが、あの時はAランク冒険者6人のパーティーだった。しかも陸地に誘いあげて戦ったからな。」

余計な事をとジロッとアキンを睨みつけたタカノスが当時の話をする。

「じ、じゃあ、その人たちにもう一度集まってもらって・・。」

「無理だ。人族はエルフ族ほど長くは生きられん・・・皆もう墓の下だ。」

正に八方塞がりである。

「ユージ殿とならどうですか?」

「聞いてみないと分からん。」

こめかみに青筋が浮かぶ。

それを見たアキンが逆鱗にふれたかと顔を青くするが、アイナは下を向いていた顔を上げた。

「そ、そのユージ様というお方に是非聞いて下さい。お願い、お願いします。」

アイナの必死な懇願にタカノスも折れた。

「聞いてやる。ただ、あいつが嫌だと言ったら駄目だ。それとあいつはお人好しの馬鹿だが、それにつけ込むような真似をしたら、その場で叩き切るからな!」

怒りの阿修〇男爵を先頭に勇二の元に向かう。

「あの~すみません、出来たら服を頂けないでしょうか。」

慌てて男二人は部屋から退出した






そのころ勇二は舳先で一人黄昏ていた。

今までに無い強烈な天罰、名付けるなら大天罰ともいえるような攻撃を受けたためである。

半ば放心状態で海と空の狭間を見ていた。

舳先にいるのは助けた女性から距離を取りたいためである。

「あ~もっと強い天罰もあるのかな~?」

現実逃避をしたいが、それを許さぬほどの天罰だった。

その更に上があるとしたら・・・・。

もはや勇二は生きる屍状態だ。

頼みの綱のヘルスケは肝心なところで役に立たず、馬鹿侍にいたっては論外だった。

自分の勝手な行動からくる、完全に自業自得な状況を全て責任転換して精神の安定をはかっていた。


「ユージ、話がある。」

不意に後ろから声をかけられ神の眼で確認するとタカノスとリリちゃん、それとアキンとあの少女が連れ立っていた。

「なんだタカノス?」

内心恐怖で鼓動が早くなるのを無理におさえて平静をよそおう。

ただの恰好つけでしかない。

「相談したい事があってな。」

「その前にお礼だけでも言いたいのですが・・・。」

少女がそう言うとタカノスが横にずれ場所を譲る。

「あの・・・アタシ魚人族のアイナといいます。助けて頂き有難う御座います。それで、ユージ様に・・。」

少女が言いかけた何かをタカノスが手を出して遮る。

久々に見るがキレる一歩手前の顔だ。

この馬鹿の沸点は低い。

まるで瞬間湯沸かし器のようにすぐ沸騰する。

しかし、魚人族ってなんだ?もしかして人魚とかかよ?

「俺が話す。下がってくれ。」

静かに話してはいるが、言葉に殺気がこもってる。

女子供相手に何してんだこの野郎は。




「ユージ、お前スキュラを倒す自信はあるか?もちろん水中でだぞ。」

スキュラ?ゲームによって見た目は違うが、だいたいは水の中にいるモンスターだよな。

倒せるかって、俺に分かるわけないだろ、どうだヘルスケ。

『マスターなら水中でも瞬殺です。雑巾を絞るようにぼろきれに変えられます。が、水中では障害物もあり捕まえたあとの抵抗が激しくなると予想されますので、神の腕で掴んで陸地に引きずり出した方がよいかと思います。』

なるほどな~。


「別に問題無い。陸地に引きずり出してぼろくずに変えてやれるぞ。」

俺の返答に少し驚いたようなタカノスが続けた。

「魚人族の町の近くにスキュラが住み着いたそうだ。倒して欲しいそうなんだがどうする?」

別にいいんじゃね。

倒してやればさ。

わざわざ聞くような話かよ。

「別に倒して欲しいなら、倒してやりゃいいじゃねーか。ところで魚人族ってなんだ?人魚とかか?」

「見た事無いのか?リザードマンより小柄にしてごつごつさせたような見た目の亜人族だ。昔は魔人の眷属とか言われていたが普通に話しが通じる相手だぞ。」

え?リザードマンってトカゲだよな。

アイナと名乗った少女を見ると普通の人間にしか見えない。

「あぁ、彼女は魔法の薬で姿を変えている。」

それじゃ俺、人外の裸を見て特大の天罰くらったのかよ。

なんか収支バランスおかしくないか。

トカゲの裸なら天罰小さくするべきだろう。

馬鹿が勝手な理論を打ち立てて憤っていると、不安になったアイナが再度口を開いた。


「お願いします。ユージ様、アタシ達を助けて下さい。お願いします。」

そしてまさかの土下座である。

それだけ必死なのだろうが、異世界に来て見た土下座に勇二は懐かしいものを感じた。

ちなみに勇二は勤めていた会社の上司や同僚からは土下座のプロとしての認識されていた。

どんな場所でもすぐ土下座、しかも額までこすりつける芸術的な土下座はたわいないクレームなら高確率で有耶無耶にでいたのだった。

「あ~頭をあげてくれっていうか立てよ。スキュラだろ、案内してくれたらすぐ倒すよ。」


「ユージ殿危険は無いのですね?」

「無いよ。」

アキンの問いかけに面倒くさそうに短く返す勇二。

「では、我々もご一緒しましょう。」

そういうとアイナは涙を流しながら笑い、その横でリリがニコニコと見上げていた。

え?俺だけちょっと行ってくりゃいいだけなんだけど。

その一言が言えず固まる勇二。

普段KYなくせに、先に言われると言えなくなる小心者なのであった。

アイナはヒロインではありません。

っていうか、この作品にヒロインは存在しません。

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