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15 ユージの秘密

手斧で庭の松の木を切りました。

現代日本に生きてる気がしません。

二の腕がパンパンです。

「とりあえず、これを。」

アキンが持ってきたシーツで裸の女というか背丈からしたら少女を包む。

おっさんばかりの水夫達には目の毒だし、少女もいい気はしないだろう。

少女は水色の髪を持ち、あと何年かしたら美人と呼ぶにふさわしい容姿になる事が予想出来る顔立ちだった。

微動だにしないユージが気になるが、まずは少女を船内に運んだ方がいいだろう。

頭を揺らさないように抱え上げ船内に運び、客室のベットに横たえる。

リリが付いてきたので、様子を見ているように伝え、アキンと部屋の外に出る。

「どう思う?」

「こんな海の真中で裸の少女とはおかしいですね。」

アキンも俺と同意見の様だ。

「あの馬鹿のお人好しが先走ったが、あの女は怪しすぎる。」

「まるで世間知らずですね。まぁ、それは置いておいて問題はあの少女ですよ。違法な奴隷船から逃げたして力尽きて浮いていた。無理にこじつけたらそれも有りですが、億が一の確率です。」

「確かにな。とすると何かの罠と考えるのが妥当だが、魔物には見えんし近くにそれらしい敵影も無い。」

「とりあえず起きたら事情を聞いてみるしかありませんね。ところでリリさんは得体の知れない女と一緒で大丈夫ですか?なんなら水夫の誰かと交代させますが。」

普通に考えたらアキンが言ってるのは正論だ。

だが、リリにはググレカスという切り札がある。

あの小憎らしいクソ魔族は悔しいが俺より強い。

邪神と信じているユージに肉壁として死んでもリリを守れと厳命されている限り、本当に死んでも守るだろう。

タカノスは己にも肉壁システムが採用されていることをまだ知らない。

「リリは大丈夫だ。とっておきがあるからな。ところでユージはどうなった?悲鳴があがった後、動かなくなっていたようだが。」

「そういえばそうですね。もしかしてあの女から何か攻撃を受けたのでは?」

ユージの守りの硬さをしらないアキンが心配する。

「それは無い。あの馬鹿の防御力は鉄壁といっていい。俺の攻撃も通らないのに裸の女の攻撃が通るはずがない。」

アキンが驚きで目を丸くする。

だが、様子は見てきた方がいいな。

あの馬鹿は船内に入れないからな。

俺とアキンが甲板に戻るとユージを取り囲み水夫達が騒いでいた。

「ユージの旦那!大丈夫ですか?返事をしてくだせい!」

「お前、ちょっと叩いてみろよ。」

「いやなこった!呪われちまう!」

心配はされているようだが散々な言われようだ。

「ユージ!大丈夫なのか?」

渾身の力でドアを叩く。

リリの作った不気味な仮面が俺を睨みつけているようだ。

「流石、白鷺。あのおっかない面にビビりもしねえ。」

「俺も平気だぜ。」

「じゃあ、次はお前が叩けよ。」

「いや、白鷺の旦那を差し置いてそんな事できねえ。」

周りがうるさい。

「散れ!!!貴様ら!!!!」

怒鳴りあげると水夫達が一目散に逃げだした。


気を取り直して再度呼びかける。

「おい、ユージ!生きているのか?返事しろこの馬鹿!!」

「あ・・・ああ・・・だ・大丈夫・・だ。い・き・てる・・・。」

何度目かの問いかけに弱弱しいユージの声が返ってきた。

「怪我はないのか?開けろここを!!!」

「怪我も無い。これは開かない・・・・知ってるだろ・・・。」

クソが!叩っき切る!!!

抜刀した刀に魔力を通しドアを切りつける。

ブンッ!という音と共に何もない空間で刀が止められた。

なんだ、これは!!!

「よせ、無駄だ。リリちゃんのお面は空間を操る。」

なんだ!その面は!!!!

「もう、大丈夫だ。回復してきた。」

「何が起きた。」

俺の問いかけにユージが重い口を開く。

「言ってなかったけどな、この中で女の裸をみるとダメージを受けるんだ。今回は至近距離でもろ見たから酷かった。」

「・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「ふざけるな!なんだ、それは!!」

呪いの箱と言っていたから出られないだけだと思っていたが、そんな冗談みたいな呪いがあるのか。

「いや、マジだって。誰にも言うなよ。今のところ俺の唯一の弱点だ。」

頼まれてもそんな話出来るか!

そもそも話しても信じる奴はいないだろ!

こうして勇二は今度も生き残った。

犬に肉球で顔を踏まれるのは案外気持ちがいい。

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