1 プロローグ
初投稿です。
なんとなく書いてみたものを投稿してみました。
書き溜めとかもあまりないので最初だけ進みが早いと思いますが大目に見て下さい。
「誰か!誰かいないかー!!」
誰もいない草原で男の絶叫がこだまする。
男はヨレヨレのスーツを着込みドアに向かって一心不乱に叫んでいた。
血走った目、ボサボサの頭でドアを叩き、狂人のように叫ぶ男。
まわりに人がいても近寄らないだろう狂気を含んだ声で、そうしなければ死ぬような思いで叫んでいた。
ドンドンとドアを叩く音がしだいに小さくなる。
何度目かの絶望を迎え、男はへたり込んだ。
「・・・・まずい・・・本気で死ぬる・・・。」
うずくまったまま動かない男は何度目かになる、こうなった出来事を思い出した。
・・・五日前・・・
「もれる・・・もっちゃう・・・。」
一人の男が片田舎の道をちょろちょろと、早くもなく遅くもないスピードで歩いていた。
彼の名は仏田事勇二。
小中高と県立市立の一般的な学校で学び、二流の大学を卒業し、三流の会社に勤め営業として働いていた。
長いものにはまかれろの精神で、
26年間、無難に生きていただけの、ただのサラリーマンだ。
勇二は今危機的状況にあった。
朝から調子の悪かった腹が反乱をおこしたのだ。
腹部への激痛とともに、出せと騒ぐ勇二の分身ともいえなくない黒い悪魔を、門番である括約筋が押しとどめていた。
駅の周りさえ緑で囲まれている自然環境。
それでもここは一都三県に含まれる日本の中心。
そんな都会なのにどこよりも田舎な場所で人生で三番目くらいの危機を迎えていたのだ。
「ちくしょう・・・ここはコンビニすら無いのか・・・」
雄大な自然環境と引き換えに文明の利器を捨て去った場所。
そんな感じの町だった。
見渡す限りの畑と時折出没するおじいちゃん、おばあちゃん。
明るくスローに挨拶してくれる人生の先輩方に、脂汗を垂らしながら引き攣った笑顔を返す。
そんな、まわりに敵しかいない状態で勇二は歩いていた。
「あれは・・・」
もう限界だと叫ぶ門番と、あきらめて俺を出せと騒ぐ黒い悪魔。
最終奥義のNOGUSOを敢行するべく血走った目であたりをうかがっていた勇二は公園らしきものを発見した。
この自然環境の中で公園が必要かどうかはさておき、勇二は生まれたての小鹿のように震える足で、いそいそと公園を目指した。
「あった・・・」
小さい公園だったが、トイレがあったのだ。
工事現場に置かれるような移動式のトイレ。
それに向かい震える足で近づく。
一歩踏み出すたびに括約筋を締めるため立ち止まる必要があった。
もどかしい距離があと1m、50cm、30cmとなりドアノブに手をかけようとした、まさにその瞬間に・・・・・・・。
勇二は白い世界にいた。
「・・・・・・・・・・・」
人は目の前の希望が奪われた時、思考が停止する。
生まれたての小鹿のようにプルプルと震えながら、ドアノブを握ろうと手を伸ばした格好で勇二は停止した。
「な・・な・・・なんじゃこりゃー!!」
お腹に穴をあけられ殉職する刑事のような声をあげ再起動する。
もはや一刻の猶予もない。
ベルトを緩め、パンツと一緒にズボンを下ろし、しゃがみ込む。
いつもそうなのかと思えるほどスムーズに体が動き、まさに神業のごとき早さで尻を露出する。
黒い悪魔が解放を祝い、勝利の歌を歌いながら勇二の門よりせり出してくる。
まさにその瞬間。
「「ストップ!!」」
悪魔の開放はその一言で中断された。
「お前、いきなり何してんだよー。」
「変態なの?変態なんだね。変態だー!!」
後ろを向くと金髪の子供が2人いる。
よく見ると、人にしては整いすぎた顔立ちとか、古代ローマみたいな服装とか、白い世界もそうだが、ツッコミどころ満載なのだが、勇二は気づかない、というより気にしていられない。
子供の前で脱糞と人として終わる行為だが、既に悪魔の開放を決めた勇二にとって、尊厳とか恥とかはどうでもよかった。
「・・・・・・・。」
無言で下腹部に力をこめる。
「だから、やめろって言ってんだろ!」
「変態!変態!!変態!!!」
子供の制止の声とともに顔を出していた黒い悪魔が引っ込んだ。
「むぅ・・・。」
尻に加わった衝撃に変な声をあげ、ケツ丸出しでのたうち回る。
現実なら確実に事案発生である。
「と・・トイレは?・・・トイレはどこだ?」
衝撃で意識が覚醒したのだろう、絞り出すように声をあげ、あたりをキョロキョロ見渡す。
「トイレか・・・ほら、そこだ。」
「変態さん、トイレだよ。」
あきれ顔の子供が指さすところにトイレがあった。
公園で見た移動式トイレというより、普通に建てられたトイレのような外見で、常識的に考えたらおかしいのだが、今の勇二に正常な判断は出来ない。
転がり込むように駆け込み、用を足す。
世界は救われた・・・勇二の世界でしかないが・・・。
閑話休題
「で・・・話まとめるぞ。2人は神様でここは神界、俺は勇者候補で拉致られて、異世界へ行けって事だよな?」
トイレから出たあと、菩薩のような表情の勇二に2人の子供が伝えた話は、よくある異世界への召喚だった。
営業としてあちこちウロツク傍ら、暇な移動時間に趣味のラノベを読む勇二にとっては、馴染深い話であり憧れでもあった。
異世界、ハーレム、俺TUEEE!!、勇者、獣人、奴隷、王女様、姫騎士・・・。
「ふへ・・・ヘククククッ・・・ウヒッ・・・。」
頭の中は既にトリップ状態で、煩悩丸出しで薄気味悪い笑みをうかべる。
「じゃあ、送るぞ。」
「じゃあ、送るね。」
2人の子供が両手を前に出すと光が勇二に集中し消えた・・・・トイレと共に・・・。
そして、話は冒頭に戻り勇二は殺戮の草原と呼ばれる前人未到の地に、トイレに監禁されたまま転送されたのである。
絶食六日目。
勇二の精神は病んでいた。
よく考えたら、2人の神様の名前も知らない、この世界の名前も知らない、今どこにいるのかも分からない、何故トイレに監禁されているのかも分からない。
そもそも、勇者候補として異世界に行って欲しいと言われ、二つ返事で頷いた事と、その前の変態性のため、すぐに放逐したいと思った神の意志が絡まり現状を作りだしたのだが、既に混乱の極みである勇二には何も理解出来ない。
『ステータス』
監禁初日にステータスが開けるかもと思い実行し、やったら出来ましたの自分のステータスを眺める事だけが勇二の暇つぶしだった。
名前:ユージ
種族:人族
年齢:26
職業:裏勇者【封印中】
状態:飢餓、混乱、衰弱
LV:1
HP:40/100
MP:0/0
称号:超変態
気になる点は4つ。
一つは裏勇者の裏。
一つは封印中の文字。
一つは称号の超変態。
最後の一つがHP。
HPは1日過ぎる毎に10づつ減っているようだ。
どの時点で減るのか分からないが気が付くと減っているのである。
普通に考えたらHPが0になったら死ぬんだよな。
その前にどうにかしてここから出ないと・・・。
だけど、どうやって・・・。
トイレに監禁された勇二は脱出するために考えられる全てを実行した。
ドアが開かないと知った時、壊してでも外に出ようとしたが、臭気を逃がすための小窓についている薄いガラス一枚壊す事は出来なかった。
また、窓の外の世界も危険が一杯だった。
2日目の夜間、物音で目が覚めた勇二は何も考えずに窓を開けて外を覗いた。
ダンプカー並みの大きさの頭が3つある犬と目があった。
「%&-#*@¥>?・・・」
悲鳴を飲み込み窓を閉める。
「GYUAAAA!!!」
「GUOOOOO!!!」
「GYEEEEE!!!」
実際は違うかもしれないが勇二にはそう聞こえた。
その後バンバンと攻撃される音。
ガタガタと震え、涙を流した夜だった。
緊張と疲労から気絶し目が覚めると犬の化物はいなくなっていた。
トイレ内に目立った損傷は無かったのが救いだ。
少なくとも、穴が空いたりガラスが割れたりは見受けられない。
これで勇二は鉄壁の要塞と鉄壁の監獄を手にいれたのを悟った。
唯一の望みは外からドアを開けてもらう事、HPが0になる前に・・・。
絶食七日目
混濁した意識の中、気絶と覚醒を繰り返す。
日にちが分からないがステータスを見ればHPの減り具合から何日目かが分かる。
それも、1日絶食するとHPが10減る法則が正しければだが。
その日、何度目かの気絶のあと覚醒すると勇二は白い世界にいた。
目の前にかつ丼、カレー、炒飯、ハンバーグ等好物が並ぶ。
飛びつき飲むように食す。
貪るという言い方がピッタリな食べ方で次々と食べる。
そんな勇二に声がかけられた。
「がっつきすぎじゃね。」
「ちゃんと噛んでるの?」
目をむけると2人の子供。
「ふぇめいら、なんのふらみがあって、ほれをほろほうとしたー!!」
喜び食べながら怒るという器用な勇二。
その分かり辛い抗議を正確に聞き答える子供2人。
「って事はさっきのは間違いって事でいいんだな。俺ちょっとビックリしちゃったよ。外には出れないし、化物はいるし、どこにいるかもわからないしさぁ。」
盛大にゲップをしながら横になり、馴れ馴れしく話す馬鹿。
本人はフレンドリーにしてるつもりなのだが、ガラの悪いチンピラ顔負けである。
「でも、何で間違っちゃったの?」
「「こいつが悪い。」」
軽い問いかけのつもりが、ビシッとお互いを指さし相手のせいにする子供達。
「なんだよ~、ピノが間違えたんだろ。」
「ウノが悪い!ウノが悪い!ウノが悪い!」
男の子の方は女の子が悪いといい、女の子は壊れたテープレコーダーのように反論する。
「じゃあ、あいだ取って2人もちょっとづつ間違えたって事で、ふぁうよ?」
大人な対応だが、大あくびをかましながらでは台無しである。
「じゃあ、そうしよう。」
「仕方ないからそれでいい。」
ピノと呼ばれた女の子は若干不服そうだ。
「じゃあ、仲良しの握手だ。」
勇二がそういい、握手を促す。
気分はすっかり保父さんだ。
ニコニコと握手する子供を見てると、なにか胸の中の汚いものが洗い流されるようだ。
そんな事を考えていると、
「じゃあ、再度送るよ。」
「お詫びにサービスしてあげる。」
「え!?」
次の瞬間、勇二は光りに包まれ消えた。
誤字脱字、言いまわいがおかしい等ご指摘頂けると幸いです。
科学、化学の知識が低いのでおかしな事を書くかもしれませんが、壮絶におかしかったらこちらもご指摘頂けると有り難いです。
本日は間に合えばもう1話投稿予定です。