第2劇 冥界の夜想曲
「ぁ・・・。」
どさっ
自分の体が地面に倒れる音を聞いた・・・
ゴポッ
キメラに引き裂かれた右脇のお腹から少し遅れて血が溢れ出した・・・
そのキメラはいまだに視界にとどまっていた。
―どうしたの・・・?―
その姿にルーンが疑問をいだいた瞬間、
ドクンッ
―?―
突然、其れはきた。
ドクンッ ドクンッ ドクンッ ドクンッ
視界が真っ白になり、
―あぁ、ついに死ぬのか・・・―
その覚悟は無駄になった。
ドクッドクッドクッドクッドクッ
ルーンの瞳は今まで見ていたものを押しのけ、一瞬、真っ白な空間と
漆黒の扉をみた。
そして扉に鎖で拘束された女性を
「生きて・・・私の・・・」
その後に何を言ったのかその光景は消えてしまいルーンにはわからなかった。
だが、何か鍵がはずれるようにルーンの何かが解かれた・・・その解かれた力
の大きさに負けルーンは叫んだ・・・
「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
その瞬間、ルーンの髪の色は何かに奪われるかのように漆黒から雪のような白色
に変わった・・・
ルーンの突然の変貌に驚くよりも、獣はただ獲物がまた動き出した
ことに観喜の雄たけびを上げた。
だが、その雄たけびよりも先にルーンを中心に周りの地面に奪い取った髪の色を
具現化するような黒い線が走り、円を描き、その中に幾何学的な紋章を描いた。
―なに・・・これ?―
ルーンは自分が出したものに驚きながらも
―ボクは・・・この力の・・・使い方を知っている?・・・―
ただ、ルーンは何も考えず、頭が命じ、体が動くのに身を任せた・・・
ぐぉんっ
獣はまだ倒れている獲物・ルーンに飛び掛ろうとするが、
キンッ
紋章の中に入ろうとするとはじかれてしまい、中に入ることができない
そうしている間に
まだ右脇腹から血を流しながらルーンは
その変貌した白髪を振り乱しながら立ち上がった。
そしてその血の出ている右脇腹にルーンが右手をあて、
「ひらけ冥府の扉・・・取り出すは浄の力・・・」
唱えると、ルーンの右手に光がともり、一瞬で傷は消えた。
そのまま、ルーンは舞を踊るように左手を掲げると、
地面の紋章はルーンの体を伝い、左手の甲に小さくなりながらも現れた。
そのままルーンは己の中に流れる言葉の列を読んだ。
「''冥界の深淵より来たれ,, 冥界ノ夜想曲」
その左手に黒く長い刃を携えた真っ黒な大鎌が現れた。
ぐぉんっ
紋章が消えた瞬間にルーンに飛び掛っていた獣をもうすぐ触れるというところで
ジャラッ
その長い柄についた千切れた鎖を鳴らし・・・
ヴォンッ ドシャッ
よけもせず、その左手に現れた漆黒の大鎌で冷酷に獣の首を切断した。
「・・・。」
ルーンは何をいわず、まだかすかに動いている獣の体を蹴り飛ばし、生存者は
いないか探した。
ごぉぉぉぉぉぉっ
「・・・。」
生存者はいなく残っていた死体もすべてちゃんとしていなかった。腹部が食いちぎら
れたり、足と頭がなかったり、そういう死体ばかりだった・・・その食い残された死体
を集めルーンは火をたき、死体を火葬した。
ルーンはすくっと立ち上がり、村を後にした。
こうして家に戻ると最低限のものを取り出し、
「''冥界の深淵より来たれ,, 冥界ノ夜想曲」
ジャラッ ズズガァアン
大鎌を召還し、家を切り裂いた。ルーンは振り返らず、旅立った。
大事な設定を忘れていましたので修正しました;w;