第1劇 引き裂かれた平和
ここからが本編です
チュンッチュンッチュンッ
冬の寒い朝、朝の日差しが山の中にある家を照らした。その中には一人の少女がいた。
白いベッドの中、彼女は長い黒髪を撒き散らし、手足を掛け布団の中に丸めて寝ていた。
やがて彼女の目がうっすらと開き・・・
「ふわぁぁぁぁぁっ。んーー。」
あくびを一つして彼女ルーン・バルセルトはその体を最大限伸ばしながら起き上がり部屋
の窓に近づき開け放った。
「んーー。いい天気!」
空は雲一つない快晴。先ほど鳴いた鳥は窓があいたことに驚き、飛び立っていった。
「川で顔でも洗ってこようかなっ」
其れまできていた白いパジャマ代わりのYシャツをお気に入りのラフな服に着替えて
「いってきます!」
ルーンは誰もいない家へつげ、少し遠い川へと向かった。
その途中、木々の切れ間にふもとの村が見えた。
道中、歩きながらルーンは昔のことを思い出していた・・・
ルーンはあの村の入り口に名前が書かれた紙とともに捨てられていた捨て子だった。村人は
あまりにも哀れに思い、我先にとルーンを取り合ったが、村の呪い師の老婆が、こう村人たち
に言ったそうだ。
「この子が進む道は、茨の道。誰かが親となりて、この子に親がいるという枷をつけては
ならん。あの山の中に家をこしらえてそこに住まわせるがよかろう。」
呪い師はこう占い、翌年息を引き取った。こうして、ルーンは山の中一人で住んでいるわけ
だ、・・・と考え事をしているうちにほかにもたくさんの動物たちがきている川へとたどり
着き、水の中へと手を入れ顔を洗い終わった瞬間・・・
グルォォォォォォォォン!!!
「!?この雄たけびは・・・魔物!?」
ルーンが驚いている間にふもとの村のほうから、煙が立ち昇り始めた。
「ふもとが襲われたんだ!」
ルーンはふもとへと山を駆け降りていった。
途中、ごつごつした岩などに足をとられながらも精一杯急いだ。
「はぁっはぁっはぁっ!」
そしてようやくたどり着いた村は・・・
「・・・っ!」
ついた村は見る影もなく破壊されていた・・・たくさんあった家はどれも破壊され、あれ
だけいた人も一人もいない・・・その代わりに家々の瓦礫にとこ度々ころまだ新しい血が
付いていた。
「・・・・・・」
ルーンが呆然とたちすくしていると背後の家の残骸のほうから
どすっどすっどすっ
と足音がしてきた。そして・・・
「っ!?」
バット振り向くとそこにいたのは、人の足を口にくわえた顔と胴体はライオン前足がダチ
ョウ後ろ足が象極めつけに背には、はとの大きな翼という奇妙な生き物・・・キメラが家
の影から出てきた。
そのライオンの瞳はぎょろっとおびえたルーンを捕らえると
ごくんっ
足をひと飲みし、
ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
雄たけびをしルーンに飛びかかった。
「ひっ!?」
ルーンは人の少女の平均的な運動能力しかないため・・・
「っ!!!!!!!」
ぶちぶちぶちぶちっ
右脇腹をいとも簡単に食いちぎられ・・・
「ぁ・・・。」
どさっ・・・
右脇腹から血を流しながら倒れた・・・
(注 この世界で言う魔物とは、下級の動物を操る精霊が遊び半分や兵器として作ったキメラである。
精霊・・・異能を持った人のこと下位と高位さらに特位がある 下位は獣 高位は五大自然 特位は光と闇を操る さらに力を使うためには''起動詞,,という一人ひとつの言葉の列を唱えなければいけない