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第16話 茶化



「坊主、 着いたぞ」


 ビスがそう言うと、 俺を立たせた。 しかし、 頭を鷲掴みをした状態で立たせたので、 正直、 頭を握り潰されるかのかと一瞬思う。 だが、 しなかった、 しなかったのだが、 頭を彼の力で圧縮されていたので、 正直痛い。

 でも、 お礼はしておこう。 ついでに、 さっきのお詫びも。


「ここまで運んでくださってありがとうございます。 そして、 さっきは悲鳴をあげてしまってすみませんでした」


 俺は頭を下げる。 下げる角度は45度くらいだ。


「頭あげていいんだよ? 別に頭を下げたって、 ビスの狂戦士みたいな身体はどうにもならないから」

「マルク……… さっきから酷いぞ………………… だが、 マルクの言う通りだ。 取り敢えず頭を上げろ」

「あ、 はい」


 そう言われたので、 頭を上げる。 でも仕方ないのさ、 これが日本人のサガなのだから。


「坊主、 俺らの前で頭を下げなくて、 別にいいんだぞ。 てか、 逆に、 俺らが坊主に謝らなければならない」

「そうだよ。 昨日の夜は本当に助かった」

「昨日の夜、 俺は何かしましたっけ?」

「あぁ、 俺的には色々としてくれた」

「僕もそうだよ。 あの時、 鉛玉を撃ち出す兵器の事を言ってくれなければ、 鉛玉が太もも部分に入ったまま包帯巻いていたよ〜」

「(その事か) それって後で気付くんじゃ………」


 俺的に、 マルクの会話がなんかズレてるように感じたので、 そこにツッコミを入れる。


「まぁ、 良いじゃあねぇか。 それに関してはいつもの事だし」

「僕の事は、 本当に気にしないで良いよ」

「と言うか、 船長に呼ばれてんだろ、 ならさっさといった方が良いぞ」

「ところで、 君の名前は?」

「オイ、 また………… だが、 坊主の名前を聞いていなかったな」


 言う暇が無かったから仕方がないだろ。 だけど、 言っておいた方が良いな。


「言えなくてすみません。 ですが、 今言います。 俺の名前は加藤健二。 家名が加藤で、 名前が健二です」

「まさか、 ぼ、 いや、 加藤様は貴族で、 ですか?」


 いけね、 現代と違って家名は高位な者しか持たないんだった。 てか、 ビスさん何そのテンパり。 てか、 マルクさん何故土下座!?


「いや、 俺はただの平民ですよ」

「へ?」

「やっぱりそうだと思ってたよ」

「「嘘つけ!」」


 ビスさんの反応面白いな。 てか、 マルクさんの変わり身早!


「坊主、 さっきのは忘れてくれ。 それと坊主、 足を止めさせてすまない」

「いや、 良いですよ別に」

「そうか、 なら行ってこい」

「今度、 一緒に飲み合おうよ」

「それフラグなんだが………」


 マルクの言葉に、 ビスはツッコミを入れる。 死ぬなよ………


「それじゃあ行ってきます」

「行ってこい」

「頑張ってね………… ビス、 今から掃除から始めよっか」

「マジかよ………」


 二人は甲板に向けて歩き始める。 それを俺は少し眺めてから船長室にノックして入った。


・ ・ ・ ・ ・ ・



「失礼します」


 俺は少し、 緊張感を持って入った。 すると、 部屋には既にミーティアさんと船長が入っていた。


「おお、 加藤殿、 随分とこちらの言葉が流暢になったな」

「俺も正直驚いていますよ」

「其れは私が治療と同時に言語理解能力を入れておいたからですよ」

「ミーティアさんすみません」

「加藤様、 気をつけてくださいよ。 飛び散った血の消毒がなかなか大変なんです」

「今度から気をつけます」


 ミーティアさんは少し怒っているのか頰を可愛らしく膨らます。 確かに、 再開して早々アレだもんなぁ〜


「まさか、 神様の声では無く、 本物に会えるとは、 人生の中で一番の体験となるな」

「お姉様がいつもお世話になっております」

「いえ、 私は貴方様のお姉様のお陰で、 2度も国が救われました。 御礼を言うのは私の方です」


 軍艦の船長と神様が頭下げあっているって、 なんか凄い光景だな。


 俺がそう思っていると、 戸が三回叩かれる音が聞こえてきた。

 二人がアレなので、俺が開けに行こう。


 俺は戸を開ける。 すると、 一人の男性が立っていた。 服装的に、 水夫ではない。


「邪魔するぜ」


 年齢的には、 30代後半、 又は40代前半くらいの男性だ。


「あの〜、 どちら様?」

「おじさんは、 ただの旅人だ」


 自身の事をおじさんと名乗る男性は、 俺の問いにそう答えた。

 船長が気づいたのか、 彼の元に歩み寄る。


「あんたが船長か、 すまん実はあッ!」


 船長は無言のまま彼に歩み寄ると、 彼をそのまま柔道の大外刈りみたいな奴で、 彼を思いっきり倒す。 因みに、 ミーティアさんは其れを見て固まっている。


「イッて! 何しやがアッ!!」


 倒れた彼を船長は、 そのまま片足で彼の顔面を踏みつける。 まさか、 ドS?


「我が鎧の仇!」

「あ〜、 アレか」


 彼女の行動の理由の意味を知る者は、 この場では俺だけだろうな………




おまけ


『最近、 よく名前を間違われるんだが………』

「あー、 シュワルベなのにシュバルツなんて呼ばれてますもんね〜」

『お前のせいだろ』



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