第15話 ビスとマルク
俺は軍艦『セレア』の船内を歩いていた。
船体には穴が開いており、 戦闘終了後である事を物語る。
まだ、 体力に余裕がある者は、 船体の修理に取り掛かり、 逆に体力に余裕がない者や負傷者は、 そこら辺で横になっていたり、 座るように眠っていたりして居る。
怪我人自体は30名以上超えていたらしいが、 既に手当ては済まされている。 スゲーよ、 あの二人は…………
因みに、 俺の私服に自分の血が付いてしまった為、 余っていた水夫のセーラー服を着せられている (当然、 スカートは履かず白生地のズボンを履いている) 。 私服といっても、 白生地のシャツに茶色いズボンという、 如何にも、 モダンな服装であったが……………
………仕方ないだろ、 ファッション興味ないし、 モダンな物が好きなんだし………
話を戻すが、 突然、 人型の巨体が前に立ちはだかる。 俺は驚き後ずさろうとしたが、 俺の頭に彼の手のひらが覆い被さる。
握りつぶされそうで怖いがされることがなかった。 代わりに、 頭をわしゃわしゃ……… いや、 がしがしぶんぶん、 とした感じのことをされる。
「よう、 お前………」
「ひっ………」
幻覚なのかもしれないし、 そうではないのかもしれない。 でも、 俺は見える。
目には光を灯し、 顔も大体影で隠され、 口からは高温の火炎を出す準備をしているように見える煙の出方、 身長も明らかに2m50cm以上ある巨体、 筋肉という筋肉が殆ど浮き上がっている見た目。
それを見て、 俺はまた、 死ぬかも知れないという恐怖を感じ始めた。
彼の口が動く。
俺は悲鳴を上げた。
「ひぃぃぃ!!!」
「オイコラァ!!! 人の話をきけぇぇぃ!!!!!」
俺は恐怖のあまり固まってしまった。 すると、 彼の背後からもう一つの影が現れる。
「まぁまぁビス、 君の姿は初対面の者が見たら、 怪物にしか見えないよ」
「だがよぉマルク、 俺はただ、 坊主を褒めているだけなんだぜ………」
「仕方ないさ、 正確には初対面ではなく一度会っているけど、 あの時は夜だったからビスの顔が見えなかったと思うよ」
「話、 脱線してるぞ……… しかも、 さっきから十分にきつい言葉だな」
「ハハハ、 まぁいつもの事だから良いじゃないか」
そのマルクというゆるふわ系美男子が、 ビスという怪物のような人物と会話する。 しかも、マルクはビスに突っ込まれた。
なんか、 いろいろとカオスでなんとも言えない。 だが、 ビス? マルク? どっかで聞いたことがあるような………
俺が知っているビスマルクは、 戦艦なんだがな………
俺がそんなことを考えていると、 二人が俺の方を振り向く。
「あの……… 何か……」
俺はビスの威圧感に耐えながら声を出した。 すると、 マルクの方が口を動かす。
「いや〜、 君がいっていた通り、 脚に鉛玉が埋め込まれていましたね〜 私はこれでも水夫長だからよろしく〜」
「お、おう(また脱線してる)! ところで、 足の怪我は?」
俺がそう言うと、 今度はビスが口を動かす。
「マルクの足の怪我は、 坊主が助けて、 逆に坊主が助けられていた、 あの少女のおかげで傷が塞がったぜ」
ミーティアさんさすが神様だわ。
「おめでとう」
「ところでこれから何処へ?」
ビスがそう口にした。 取り敢えず、 俺は船長室に行くと伝える。 すると、
「連れて行ってやる」
とだけ伝え、 俺の頭を鷲掴みする。 もしかして、 怒ってらっしゃる?
鷲掴みしたまま、 俺の足を引きずるように、 ビスは前進し始めた。
因みに、 俺の悲鳴やビスの怒鳴り声により、 眠りから目を覚ました水夫達は、 その一部始終を見て、 俺を見なかった事にして、 再び眠りにつくフリをする。
後で覚えてろよ……………
今回おまけはお休みにします。