第13話 最悪な時間 後編
彼は今、 人生の中で絶対一位になれるほどの不幸が彼自身に起こっている。
だが、 彼は一度、 すでに死にかけていたが、 意識がない状態でそうなっていた為、 彼自身には痛みすらも感じていなかった。
しかし、 今起こっている事とは状況が違う。
今の彼には、 意識も残っており、 死にたくなるほどの痛みも感じている。
今の彼が 『もし、 時獄だと思える時はいつですか?』 という質問に答えるとしたら、 きっと “今” だと答えるであろう (あくまで “もし” であって、 彼がその時に、 その様な答えを言う事は、 多分ない)
彼は、 恐怖が混じった目で、 そうなった原因の人物を睨みつける。
恐怖はあるが、 さっき、 彼は叫んでいた為、 そのおかげで少しは精神的に落ち着きを取り戻した様だ。
彼らは音を立てずに睨み合った。
状況からしてみれば、 明らかに、 その原因を作った奴の方が有利である。 逆にもう1人の方は、 戦える武器どころか、 身体の中で大切な物すらも失っていた。
それを失っている者は、 睨みながら、 脳をフル回転させた。
もう一人の者は、 勝ち誇ったかのごとく顔をにやけさせ、 油断していた。
敵は油断していた為、少しイラついている。
だが、 これは好機だ。 と、 彼は思っているであるだろう。
彼は後退し始めた。 流石に危険だからであろう。 と思った途端、 彼は敵に向かって走り始める。
彼を舐めていた敵も、 いきなりのことに驚く。 咄嗟に剣を構えようとしたが遅かった。
彼は、 失った腕から噴き出す血飛沫を利用し、 敵の顔面に向けて血飛沫を飛ばす。 一言で表せば、 目潰しである。
敵の視界は、 “ ブラックアウト ” …………いや、 “ レッドアウト ” し、 思わず目を片手で隠す。 流石に剣は落とさない。
敵は剣をてきとうに振りかざす。 だが、 流石に当たりはしない。 そのまま避けて、 失った腕の代わりに脚で敵の横腹に強く蹴りを食らわせた。
倒れた敵は、 たまたま倒れた方向にそびえていたマストの柱に頭を強打させ、 そいつはそのまま気絶した。
ただ、 蹴った反動により、 傷口は痛みそのまま彼も倒れる。 少し悲鳴をあげた。
倒れてしまった為、 彼自身の力で立ち上がる。 当然、 傷口が痛いわ腕が無いから立ち上がり難いわで体力を結構消費した。
ミーティアの声が聞こえてきたが、 彼は意識が朦朧とし、 そのまま背後に倒れる。 彼は、 彼女に横付けされている船に乗ることを提案する。
だが、 彼女は彼の言葉を無視し、 彼の身体を起こし、 彼の名前を称える。
だが、 彼の意識が朦朧としている為、 反論せず彼女の顔を見続ける。
彼女は回復魔法を唱え始める。 だが、 彼はそれに従う事を言い、 そのまま眠りについた。
………………彼は最後に彼女の声と既に聞き慣れた音が聞こえてきたが、 起きる事もなく深く眠りについた……………
おまけ
「すみません、 もう、戻って来ました」
『青年、 確かに早いが、 まだ死んではいないぞ』
「本当ですか!?」
『ああ、 本当だ。 てか、 顔近!!』
「すみません!」
『まぁ、 別に良いんだが…………… それより、 何か飲んで行くか?』
「すみません、 頂きます」
『レイ、 何か飲み物を持って来てくれ』
『分かりました。 加藤様は紅茶かコーヒーが在りますがどちらが良いでしょうか?』
「コーヒーでお願いします(てか、 ミーティアさんとシュバルツさんとレイさんて、 まさかねぇ〜)」
「じゃあ自分もコ『吹っ飛べ!!(風魔法中級スキルは最大)』 ギャァァ!!『戻って(風魔法中級、 スキルは最大)』 テェメェーら覚えてろよ〜〜〜」
「…………何コレ?」