第9話 発砲2
太陽が沈み、 三日月型の月が少しずつ移動して行く。 そんな中、 見渡す限り雲は発生しておらず、 その三日月は雲に邪魔される事なく光を照らし、 波の立っていない海に、 それが反射する。
観る人によっては、 神秘的に美しいと感じるであろう。
だが、 ある事を除いていればの話だが………
それは、 水面上にポツッと二隻浮いていた。
一つは、 白い帆を持ったマストをしており、 細い形状の船体を特徴とした船。 その船の頭上には、 月以外の光源を持っており、 周りの海をそれが照らしている。
一つは、 黒い帆をしたマストを持っており、 前者と比べ船体が少し小さい。 ちなみに、 その船の旗には髑髏が書かれている。
前者と後者は、 あまり共通点はなさそうだが、 二隻とも同じ事を今している。
それは、 二隻とも敵に向けて攻撃を行なっている事だ。
それと、 思考的な面でも共通するところがある。
それは、 前者も後者も戦って勝たねば、何方かに殺されてしまう事だ。
さて、 この戦闘の前者に乗船している青年の視点で観ていこう。
・ ・ ・ ・ ・
海賊が、 自身の船に使っているマストのロープを使って、 船長の船に乗り込んでくる。
まるで、 映画のワンシーンをリアルに観ている様だが、 これは映画ではない。
実弾を撃ち合い、 本物のサーベルやカトラスで人体を切って血飛沫を上げて人を殺す。
その時点で、 映画ではない事は、 この状況を知らない人でも分かるだろう(てか、 カメラがない時点で気付くはずだ)
それに、 敵は本気だ。 本気であるのなら、こちらもそうしないと確実に死ぬ!
ただでさえ一度死にかけているのに、 こんな所で死んだらあのお方に恨まれる。 きっとそうに違いない。 逃げれないのなら、 戦ってやる!
「ここで、 死んでたまるかぁ!!!」
縄を使って飛び乗ってくる敵に、 装填済みの九九式狙撃銃を向けて引き金を引いた。
一発目は左脚に命中した様で、 敵はそのまま甲板に激突する。
すぐにレバーを上げて引き、薬莢を排出させる。 そして、 すぐにレバーを元の位置に戻してから、 次に飛び乗ってくる敵に向けて引き金を引いた。
二発目は右腕に命中し、 敵はロープを手放す。 その敵はそのまま海に落ち、 敵はすぐに浮かび上がってきたが、 海の一部が赤く染まった。
言葉には出さないが、 フライングシャークが来ない事を願おう。
二発目を撃った後、 すぐにさっきと同じ工程をし、 狙いすまして三発目を撃つ。
次は外してしまった。 だが、 甲板でスタンバイしていた水夫が、 着地したところで切りかかった。
そんな卑怯な事(俺も言えないが)、 騎士道を貫いていそうな船長が見たらキレそうだが………
舵輪の方を向くと………
「$^<÷°×#*!!!」
何を言っているか、 さっぱり分からないが、 既にブチ切れていることだけは判る。
取り敢えず無視しておこう。
さて、 次は四発目!
準備し終え、狙いをすまし、再び発砲する。 今度は右脚に命中した。
敵はこの船の手すり部分に、 股の一番奥の方が当たる様に強打した。 痛そう。
五発目、 そう思いながら引き金を引いた。 すると、 弾丸が出なかった。
は? と思いながら思い返してみる。
思い返してみれば、 敵の狙撃手に向けて発砲していた事を思い出す。
仕方ないかと思いながら九九式狙撃銃を肩に掛け、 代わりにレバーアクション式ライフルをアイテムボックスから取り出し、 構え直す。
次は敵艦の甲板で、 敵が大砲を用意し始めていた。
「させるか!!」
レバーアクション式ライフルを敵の砲撃手に向けて発砲する。
レバーアクション式ライフルは九九式狙撃銃と比べ威力や命中率は低い。 だが、 連射性能が高く、 敵が 多ければ多いほど、 即対応出来るだろう。
それに、 あえて敵の急所を外していた俺からして、威力が低い事が実に良い。
引き金の下にあるレバーを下に下げ、 使用済みの薬莢を排出する。 そして、 レバーを元の位置に戻し、 再び引き金を引いた。
ライフルの弾薬を全弾撃ち終えた頃には、 敵の砲撃手が負傷し、 足止めに成功させる。
この船の水夫が敵艦に向けて、 斬り込みをかける準備をし始める。
俺も九九式狙撃銃に弾薬を装填し、 銃剣を装着、 俺も斬り込みをする準備をし始めた。
敵も味方も既に砲撃を喰らって、 両者とも破壊口が見られる。
だが、 敵の砲門は既に使用不可の状態だ。なら、 あとは敵の船長を捕らえる事さえできれば、 本当の勝利を掴む事ができるだろう。
「俺は、 この戦いを終わらせる! 」と、 そう決心した。
斬り込みをかけ始めようとした時、 二つの影が敵艦の甲板に現れる。
その二つの影は、 まるで、 人質を取っている人と人質に取られている人の様な格好をしていた。
魔法によって出されていた光は、 いつの間にか消えているおかげで、 そういった格好にしか見えない。
魔法を使える水夫が多分その魔法の準備をする。
詠唱の準備を終え、 再びその魔法を出すと、 2人の影がはっきりと分かった。
それを見て、 人質の方に見覚えがある様に感じた。
いや、 あの姿は!!
おまけ
「はぁ〜」
『作者、 どうした?』
「最近、 暑いから寝ているだけで体力が削れる………」
『は? お前の所は夏だから仕方ないだろ?』
「いや、 夏といっても、 今年のは特別だ」
『まぁ、 台風が珍しく西からではなく東から上陸していましたしね………』
『レイ、 お前まで一体………』
「あぁ、 そうそう。 水分取りすぎもあまり良くないらしいよ。 でも、 水分をこまめに摂ることも忘れずに」
『私からも、 暑いからといって冷房が効いた部屋にずっと居る事も身体に害があるからそこも気を付けて』
『レイ………』