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変化するのは

相変わらず難しい……。

 駅までの道のりをヒギンズ教授と歩く。それだけのことが鼻歌を口ずさむくらい楽しかった。それは、ヒギンズ教授が優しく私をエスコートしてくれるからかもしれない。

 新しい靴はちょっとふらついたけれど、きっと馴染んでいく予感がしていた。


「もう異性と一緒に出歩くことなんてないと思っていました」

 私がふと漏らすと、

「真由美さん、そんなことを言うのはまだ早いですよ。貴女はもう変わり始めています。それに周りの人も少しずつ気付くはずです」

 真剣な顔で言われると信じてみたくなってしまう。

「そうでしょうか? 想像出来ないです」

「だんだんと環境も変わってくると思います。そんな時こそ自分らしくマイペースを心がけてください」

 ヒギンズ教授が別れ際そう言った。私は、半信半疑だったが、頷き目礼をし会社へ向かう地下鉄に乗った。


 会社に着くと、前回仕事の相談をしてきた女子力高しの岡本おかもとさんが眼をきらきらさせて、近付いてきた。そしてにこっと笑って

「矢野先輩、今日はなんだか素敵です。今日はという言い方は失礼かもしれませんが、入社した時から先輩に憧れてたんです。しばらく表情が暗くなられて心配していました。お化粧も髪もお手入れすると先輩は、もとがいいからぐっと映えますね」

「ありがとう」

 岡本さんに、心配をかけていたんだなって情けなさを感じつつも、これからは毎日化粧をしようと思った。

「新しい靴ですね、とっても綺麗な色でフォルムも美しいです!」

 女子力が高いのは、心もなんだなって岡本さんに対して感じた。


 朝礼が終わり、仕事が始まる。今日もデスクワーク。私なりに、効率化をはかって仕事を進めていく。私はお局さまだから、口出されることなく落ち着いていつも仕事をすることが出来た。

 だが、今日は昼休みに話しかけてきた男性社員がいた。同期の織部おりべじゅんだった。

「矢野さん、雰囲気がかわりましたね。俺の気のせいではないと思うんです。好きな人でも出来たのですか?」

「はぁ」

 ため息をつく。なんて変わった質問してくるのだろう。

「織部君、急にどうしたの?」

「もし、矢野さんに気になる人が出来たのであれば、俺にとっては大事件なんですよ」

「はぁ」

 二十八歳、土壇場になって同期からの問題発言。彼の真意を私ははかりかねていた。













 


少しでも楽しんで下さったら最高です。精進精進!

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