パジャマとバスローブ
久しぶりの更新です。何とか書けました!
教授は私をホテルのロビーのソファーに座らせた。それから慣れた様子でフロントスタッフと話し、ルームキーを持って戻ってきた。
「さ、真由美さん身体が冷えてしまってはいけない」
ロビーの心地いい温度でだいぶ温まったものの、相変わらず濡れネズミだった私は警戒しながらも、ヒギンズ教授に付いて行った。
これはもしかして、かどわかされるんじゃないかなんて邪推もしたが、それならば機会はいくらでもあったし、教授なら私なんかが相手でなくても良いだろうと結論付けた。
「真由美さん、もし同じシチュエーションがいつかあったなら付いて来てはいけませんよ。貴女はユニークで魅力的なんです。私なんてと考えるのは今日で終わりにしましょう」
口に出して考えを漏らしていただろうか。教授に心を読まれた様な気がして不思議な気持ちになる。
二人っきりのエレベーターはどきどきして、自分が少女になってしまったようだった。教授にエスコートされ707号室の前でルームキーを渡され、どうぞと促される。
「まずはゆっくりシャワーを浴びて、湯船に浸かって下さい」
「教授はどうするんですか?」
「私は、上のバーでノンアルコールのカクテルでもいただいていますよ。真由美さんが落ち着いたらメールで呼んで下さい」
「はい、何から何まですいません」
「なんにでも、すいませんは使わないこと。ありがとうと笑顔ですよ」
そう言うヒギンズ教授はやっぱり笑い皺が素敵で、端正な顔つきが柔らかい印象になる。私は彼を愛おしいと思ってしまうのだった。
とにかく急ぎ部屋に入ってバスルームに直行した。広々としてアメニティーが充実しており、心地がいいお風呂だった。何より濡れて冷えた身体を温め清めてくれるお湯がありがたかった。しっかり、湯船に浸かって身体がぽかぽかになってからパジャマに袖を通した。さすがにバスローブは着れなかった。崩れた化粧は一度クレンジングで落とした。それから再びおしろいをつけ赤いルージュを引いた鏡の中の私は、これまでみたことがない程女だった。
部屋を見渡すとアイボリーの壁紙と深緑のカーテンが目に入った。オフホワイトの大きなソファーがあって、ゆったりと私は座っている。金細工と彫刻が施された花瓶には可愛いピンクの薔薇がカスミ草と活けてあった。足元の絨毯もふかふかで気持ちがいい。何だか夢の中にいるみたいだった。
深呼吸をしてヒギンズ教授にメールを送信した。
「直ぐに行きます」
返信が来た。静まれ心臓。教授に女性として意識してもらえたなら、泣くほど嬉しいと思っている私がそこにいた。




