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鳴らない電話

the・難産!修行が足りんす。

 私は自炊を久しぶりに始めた。コンビニ弁当、スーパーのお惣菜よさようなら。自堕落な生活を断ち切るのだ。まず、私の調理レベルでも作成可能な料理本を購入した。それを元に、休日はスーパーで買った食材を冷凍する。空き時間に自分の出来る範囲で下準備をする。

 

 ヒギンズ教授からのアドバイスで、空欄ばかりでつけることもおっくうになっていたスケジュール帳にこまめに書き込むことを始めた。特別な予定なんてない。たまに休日に図書館に行ったり、大きなイベントとしては市民センターのコンサートに出かけるくらいだ。地味だなと自分で思うけど、無理して女子会に行っても楽しいと思えなかった。

 気が付けば自分には合わないお付き合いは極力避けて生きるようになっている。


 数少ない予定をまず書き込む。それから、日々思ったことなどを書き留める様にした。読み返してみると案外楽しい。流れていくだけだった日常が再び温もりを取り戻す。ヒギンズ教授はまるで魔法使いのように私の生活を少しずつ明るい方へ導いてくれる。


 今日の夕飯は『湯豆腐』にした。一人用の土鍋に定番の一口大に切った白菜と薄切りの人参、メインのお豆腐、かさましのキノコ類を入れて火加減をみながら待つだけの気軽さ。白米ももうすぐ炊ける。

 なんだか不思議と寂しくない。好きな音楽がコンポから流れている。ピアノの優しい調べと柔らかい女性ボーカルが印象的だ。こんな簡単なことで幸せを感じることが出来る私で良かったと思う。


 異性から見ればお手軽なのかもしれないとヒギンズ教授の前で呟いたら、珍しく咎められた。

「真由美さん、貴女は自分を安く見積もり過ぎです。違いの分かる人が現れる。これは真実です。その時に貴女が自信を持てずに拒んでしまえば、すれ違ってしまいます」

 そんなものなのかなと私は半信半疑だった。それでも彼の言うことなら、信じてみようと思う。教授はいつでも私に真摯であった。

 憧れを抱くことすら躊躇ためらわれる彼の華やかさ。みすぼらしい自分との違いは充分わかっていたはずなのに。 

 いつしかほのかに恋心を抱いてしまいそうになっていた。そんな時は、「ヒギンズ教授は仕事として、私が幸せを掴める様になる為に親身に接してくれているだけなのだ」と自らに言い聞かせた。何度も、心にブレーキをかけた。


 温かい湯豆腐をぽん酢でいただく。美味しい。切ないけど、この穏やかな時間が続いて欲しいと願っていた。

 だが心のどこかに、ヒギンズ教授に思慕の念が生まれていたのだと思う。

 テーブルの上にはスマートフォンが置いてある。ヒギンズ教授はどうしているだろう。鳴らない電話が恨めしかった。







何とか更新出来ました。遅くなってゴメンナサイ、ゴメンナサイ(*´Д`)

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