忘れ物
おそ
あんなことがあった昨日の明日だ。
朝起きるのが辛い。
なぜだかあの子に会うのが恥ずかしくなっている
しかし、同じクラスなのだから会うしかない。
苦い顔をしながらも学校へ向かった。
クラスに入ると、みんなは僕のドアを開ける音に
も反応せず、友達と話している姿がほとんどであった。
詩を認めてくれた子もだ。
すると、
「あ、見つけたー!詩人くん!」
僕が少し気色の悪い顔をした理由は、
彼女の声がなかなかに大きかったからだ。
彼女は友達の真横でそう言った。
「コイツ?”シ”好きなヤツ」
「そう聞きました」
彼女らは合計3人。
今、何とか澄ました顔をしてはいるが...
なぜ...なぜ、友達に伝わっているのか、
その疑問ばかりだった。
「ちょっ!なんで知ってるの!?」
反射的に声を大きくしてしまったのだ。
先に反応したのは昨日からの子。
「うふふっ結構大きい声出るんだね!」
笑いながら言う。
そして今更になって、この状況に酷く驚いた。
女の子3人と話しているのだ。
しかもその3人には僕が詩を書くことが伝わっている。
恥ずかしすぎるなぁ。
「...」
喋らないでいると、
「あっ!そうだ!昨日見せてくれるって言ったよね?」
...しまった。
すっかり、忘れてしまっていた。
なぜ忘れたのか分からない。
本当に、なぜだろうか。
僕としては、認めてくれた、その事実だけが
とにかく印象に残っていたのだろうか。
「あっ...やばい...」
というかそもそも見せてあげるなんて言った覚えはないが。
「むー、もしや、忘れたな?」
彼女はわざとらしく演技を入れながら言う。
「つまんな!黒歴史見てやろうとしたのに」
「そんな事言わないであげて...!」
友達2人のうち、荒い奴と謙虚な人がいることは
分かった。
「そーだよ!黒歴史になんかならないよ!」
2人で僕を庇う。
「...でも、忘れちゃダメだよ?絶対明日!」
宿題の提出みたいになっている。
あぁ、何を見せれば良いのだろう...。
とりあえず、3人に詩のことは知られてしまった。
そのうち1人は好ましくない反応だが。
今日のうちに考える必要がある。
席に戻り、普段の学校生活に向かった。