彼女へ伝えられるか
遅くてごめんなさい
「詩ってどう思う?」
聞いた。
股が裂けそうなぐらいの大股な一歩だ。
心臓がバクバクしているのが全身に伝わる。
少し間が空いて、彼女は言った
「し...?文をいっぱい書くアレのこと?」
「そ、そう!比喩とか、そういうの使うやつ...」
「あー!え、でもなんで?」
質問に答えてくれない。
「いや、それはともかく、どう思う!?」
やけに強く言った。
「.....んー、私、国語好きだし、詩は良いと思う」
「ほんと!?」
「うん!」
彼女は良い反応をしてくれた。
ここまできたら、もっと攻めるしか...
「でさ、あの...俺ね、その、詩をね、あ...
詩がね、好きなんだ。」
「へー、そうなの?」
伝えなければ。
「好き...ていうか、あの」
「書いてるんだ!大好きだから」
.......
「あっ...、詩ってなんか面白いから...」
「...」
どちらも沈黙だ
しかし、彼女は喋った
「...ほんと?なんか、似合ってるね!」
「...!」
「君って真面目そうだし、詩とか凄そう!」
「...そうかなっ...?」
「うん!かっこいいよ!見せて欲しいな!」
見せる?女子にか?
俺は随分と凄い人間になったものだな。
「えっ...それはちょっと」
「何言ってんの!恥ずかしがらないで、明日
見せてね!」
食い気味な彼女。
そして、行ってしまった。
どうやら、明日見せなければいけないらしい。
どうする?ここで諦めたら、
信頼を失ってしまうかもしれない。
やっと、一歩を踏み出せたのに。
ならば
見せる他、ないだろう。
帰り道、ずっとその事を考えていた。
前の人も、車も、赤信号も。
気にしなかった。
赤信号は、戻った。