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鴉と鳶  作者: 心の季節
1/1

-天才刑事と天才犯罪者の空中獲物合戦-

鴉と鳶、あなたはこのセット見たことがありますか。鴉と鳶は戦うシーンが多いのではないか、個人的にそう思いました。それは、獲物が同じ獲物だからでしょうか。

この小説は鴉と鳶が空中で戦う姿をモデルに作った推理小説です。

この小説ではどちら勝つのでしょうね。

テレビの電源をつけると、1つのニュースが黒羽の夕食を途切らせた。


「空中回る鳶を名乗る殺し屋が町をにぎわせています。みなさん夜の1人での外出は気をつけてください。」


男性キャスターの声が、黒羽の頭を流れる。


「空中回る鳶」


今警察内部で話題になっている犯罪者。

あらゆる殺し方での殺害は1人が行っているとは思えない。

そして、現場に残された「空中で回る鳶はお前らの行動を常に見て処する 空中回る鳶」

とのメッセージ。

犯人は三日月の日に悪い奴を殺す。

ネット上でもたまに支持する声がある。


この事件の担当ではない黒羽が知っているのはここまでだ。


後は機密に捜査されているらしい。


黒羽はインスタントラーメンのカップを空にすると、荷物を整理し警察署を後にした。


黒羽の自宅は警察署から少し離れた場所に位置するため、バスを使用する。

黒羽は1番後ろの座席に座った。


黒羽が降りる大鳥大社までは15分程で到着する。


しかし、この時黒羽は知らなかった。

バスがスムーズに大鳥大社に到着しないことに。


空賀は今日という三日月の日を狙っていた。リュックに荷物を詰め、外に出た。

空賀は灰色のフードをかぶり、夜道に身を潜め、フード服のポケットに手を突っ込み早歩きでバス停まで行く。

谷原で乗った空賀は1番後ろの席に座る。隣は黒のスーツの無愛想そうな男が腰掛けていた。


しかし、空賀はまだ気づいていなかった。

この男が後に空賀の人生を大きく変えることになるとは。


「次は大鳥大社、大鳥大社。」


黒羽と月野が同時にボタンを押す。


降車押しボタンが緑に光る。


その時だった。

1人の若い男性が運転席の方へスタスタと歩いていく。

後ろからははっきりとは見えないが、若い男性が何か運転手に差し出しているのはわかる。


「うわぁ!!」


「なんだなんだ」と10名程の乗客。


「騒ぐなよ。」


男性の少し余裕そうな表情と共に乗客の目に入ったのは拳銃だった。


乗客に向かれる拳銃と、鋭い目は乗客を恐がらせた。


「さて、いいか、これから、行き先が変わった。このバスは大鳥大社なんて行かねえ。行くのは地獄だ。」


余裕な表情に、悪魔のような笑い声。


1人がケータイで通報しようとすると思った通り、その人の頭に拳銃を突き付けられた。銃は少し震えていた。


「何してんだよ。お前ら、怪しい動き1つでもしてみろ。1人の1つの動作で全員死ぬぞ。」


憎々しく、脅しにかけるバスジャック。


「おいお前、ケータイ集めろ。」


バスジャックは刑事だと知らず、黒羽に拳銃を向け命じた。

黒羽は、言われた通りにした。


「よし、運転手、じゃあお前のケータイ貸せ。」


運転手がケータイを差し出すとバスジャックは自ら110と番号を押し電話した。


「もしもし、今、東急バス一台お借りしましたー。人質は10名程度。要件?いやいや、別に要件なんてない訳よ。ただ報告しただけー。じゃーねー。」


犯人は電話を切った。


「お前の狙いはなんだ。」


黒羽は冷静に尋ねる。


「さっきの電話の話聞いてた?別にないの!これはゲームなんだよ。」


乗客が沈黙して30分が経過した。

なぜだか、犯人は時計を何度も見ている。犯人の貧乏ゆすりが止まらない。

一雫汗が溢れる。



パトカーのサイレンが鳴る。

バスジャックは、まだ少し余裕そうな表情を浮かべる。

真っ暗なトンネルの中に入った時、バスの電気が消え、銃戦と、変な声が聞こえた。

再び光が付いたときには、1つの女性の悲鳴が、乗客の視線を集めた。


「キャー!」


座っている男の胸から流れ出る血。


「俺じゃねぇ。俺じゃねぇ。」


余裕そうだったバスジャックの顔が真っ青になる。


バスジャックは思わず銃を落とした。


バスが止まり、パトカーが駆けつけた。

撃たれた男は救急車で運ばれる。事情聴取は軽くで終わった。なぜならバスジャックの男しか、拳銃は持っておらず犯人は決まっているようなものだった。


しかし黒羽は少し時間をほしいと同僚に頼み、全員バスに戻った。乗客は、文句を言い放つ。


「なんだよ、事件解決したんだろ。てか、お前誰だよ。」

その答えとして黒羽は躊躇なく言った。


「目黒警察署の一課犯罪捜査班刑事の黒羽です。」

警察手帳を開き、すぐ閉まった。

「彼は犯人ではありません、これからあなた達に事情聴取を深く取ります。」


続けての言葉に不満な様子が乗客には見られた。



「いきなり何言ってんだよ。俺たち犯人扱いかよ。」


「はい、全員容疑者です。」


その黒羽の冷たい一言に乗客らは一気に鎮まり、そしてまたざわめいた。

すると後ろの方から呼びかける声が聞こえた。

「皆さん落ち着きませんか。刑事さんだって悪気がある訳じゃない。なに、簡単な自己紹介するだけだと思ったらいいじゃないですか。」


1番後ろに座る空賀だ。

「じゃあ俺から空賀翔28歳。バイトの帰りです。大鳥大社まで向かう予定でした。」

1番後ろの右の席。


「じゃあ…次私、戸川まり23歳です。

大学でロケット工学を教えていて同じく帰りです。」

通路を開けて被害者の隣の席。悲鳴をあげた女性。


「俺は佐藤登喜夫。45歳飲み会帰り。」

「富田一郎60歳わしも同じく飲み会帰り。」


2人とも被害者の斜め前の席。

富田が窓側、佐藤が通路側だ。


「私は佐々木よしこ60歳です。夫が入院していてそれのお見舞いに。」

被害者の後ろの席。


「私は女子高生の汐川京香です。

今日は、友達と遊んで帰りが遅くなったんです。」

1番前の右の席。


「俺は運転手の本田賢治。」


自己紹介が終わり、空賀が口を開けた。


「刑事さん、自己紹介済んだけどどうする?」


「では、被害者を知っている人はいませんか。」


1人も手は上げない。


「逆にバスジャックのあの人を知っている人はいませんか。」


沈黙は続く。


「いないみたいですね。」


「…」


「どうしますか、刑事さん。

と言うか、まず、バスジャックの彼が犯人じゃない理由はあるんですか。」


空賀の質問にそうだそうだと、飲み会帰りの富田が訴える。


刑事の推理を試してみるかのような表情を見せる、空賀。


「では逆にバスジャックの彼が犯人だと思う理由は?」


「ま、普通に考えれば、銃を持っているしバスジャックが犯罪者だからじゃないですか?。」

空賀は真っ先に答える。


「そう。そこだ。君なら、人を殺すとすればどのような計画を立てますか?」



「ばれないように。

…え、あ、つまり犯人はばれないようにバスジャックを使った…てことですか。」


空賀はきき返す。


「まあ、今の所はそう考えるしかありませんが、」



「でも、それって結局刑事のカンですよね。もっと具体的な、根拠は無いんですか。」


空賀は黒羽のことを思ったよりバカだと思い、がっかりし、責めに入ったが、実際は空賀が思っている以上だった。


「ありますよ。バスジャックの彼が殺してない証拠。みなさんも分かるように、

彼は前の補助席に途中で座っていた、私達の方を向いて。そして彼の位置からは、被害者を撃つことできない。何故なら、彼の位置から撃てば確実に被害者の前の席に当たるから。」


「バン」


黒羽は説明しながら、再現して見せた。

そして銃を持ってその席を撃った


「危ないじゃ無いか、」

酔っ払いの佐藤が言う。


「すみません。エアガンです。」

冷静にしまう。




黒羽は真犯人が分かっているものの殺し方がわからない。しかしバスジャックの謎も少しずつ分かってきた。

黒羽は冷静な表情を見せてはいるが、心の中では推理を続けていた。




一方、空賀も下を向き、手を合わせ、推理を行う。

さっき被害者の席を見たとき下の方に傷が妙な傷が残っていた。

そして、窓が少し開いていた。

殺し方はわかった。

すると、犯人は…。

しかし、事件解決にはまだ成り立たない。


空賀は、黒羽に近づき小声で言った。


「刑事さん、1つ質問してもいいですか。バスジャックの彼はなんて言ってるんですか?」


「確か、隣の席にいた、空賀くんだったかな。君、少し外に。」


2人がバスから降り、黒羽の話が三日月の下で始まった。


「俺はやってない…ただ遊び半分だった。」


「やっぱりそうしか答えてないんですか。それ、少しおかしいと思うんですけど。」


「気づいたか。」


「ええ。金目的じゃないのは分かったんですが、遊び半分ってのが、容姿と少し違うんですよね。」


「ああ。」


「というか、なんで俺だけにこの情報を?」


「君は容疑者から外れたからだ。」


「ありがとうございます。…俺もなぜだかあなたが信頼できる刑事に見えます。


「あと、彼には意識不明の妹がいたそうだ。」


黒羽は戻ることを伝えバスに戻った。

それに続き、空賀も戻った。


「もうこんな時間だよ。嫁さんが待ってんだよ。」


文句を言う酔っ払い。


「私もバイトいかなくちゃ。」


慌て出す女子高生。


「ま、みなさん落ち着きましょう。」

空賀はにこやかに言う。


「なんだよ。お前刑事でもないのに俺は紳士ですみたいな顔してよ。」


「え?いいんですか?そんなこと言って。あなた達の秘密バラしたって構わないんですよ?」


空賀のにこやかが少し怖いように見える。


「は、何言ってんだ。」


空賀はもう、我慢の限界を超え、言い始めた。


「今日飲み会に行ったお二人、行き先はキャバクラですね。嫁さんが待ってるのに…」


「そして、女子高生の君も学校の先生にバラしたっていいんだよ、今のバイトのこと。」


「なんだよ、お前…」


空賀の存在をバスの中全員が恐れ出した。もちろん、黒羽も。


「いや、ただの人間観察趣味の変人ですよ」


顔色を戻し、我に返ったように笑顔でそう言った。


「人を 脅すのはそれくらいにしとけ。」


空賀の脅しは黒羽の中で、推理の鍵に繋がった。


黒羽の組んでいた手が強く握られた。


「そうか…みなさん、わかりました。バスジャックの彼にバスジャックをさせた犯人が。」


「意味がわからないんですけど。」

乗客は言う。


「では、この事件の始まりを説明します。彼はバスジャックという提案をある人から持ちかけられたんです。やらないとお前のやったことをばらすという脅しをね。いくつか、命令をした上で、パトカーに捕まるように仕向けた。


そうだな。運転手の本田。」


黒羽は本田の肩の上に手を置いた。


「何を言ってるんだ、そんな馬鹿らしいこと…」


本田の焦る姿が感じ取れる。

本田の額から一雫汗が流れる。


「あんたのことは調べた。7年前の女子高生殺害未遂事件の被害者本田さやさん、あんたの娘で間違いないよな。」


黒羽のその言葉で罪を認め自白が始まった。

「…う…そこまで知ってるんですか、なら、もう隠す必要はないですね。あの犯人、まだ捕まってないでしょ。でも、あれ、彼の持ち物が近くで見つかったんです。

だが、あいつはたまたま落としたってことにした。

だから、あいつがさやを7年間眠らしたなら、同じ7年間を反省して生きて欲しいと思ったんだ。」


「あんたはミスを犯した。犯人は彼ではない。彼は随分時計を気にしていた、何故だかわかるか。

時間稼ぎだよ。事件が時効になるのを。

あなたの娘さんを殺害未遂したのはおそらく、彼の妹。妹とさやさんは友達だったがあの日喧嘩をしてさやさんを傷つけた。彼は妹をかばって近くに物を置いていた。そして、時効が成立する前にと動く警察の目をそらすため、バスジャックの話に乗り、わざと捕まった。」


「そんな…じゃ、始めに自首すればいいじゃないか。」


「彼も始めはそう思ったんだろうな。

でもそうはいかなくなった。あんたの娘さんの事件のあと、すぐに自殺未遂事件があったんです。そう、彼の妹さんは、さやさんを傷つけたことを後悔し、自殺未遂を起こしたんです。

親は既に亡くなっていたため、看病は彼がするしかなかった。しかし病院に問い合わせたところ、丁度1週間前、目を覚めたそうですよ。」


「目を覚めると当然、警察が事情を聞く。その警察を紛らわすため、彼はバスジャックの案に乗った。多分今頃、署で自首してるんだろうな。」


黒羽の説明に本田は気力を失った。


「それじゃ、運転手さんが、バスジャックをおとしいれるために殺したってこと?」


女子高生の質問に空賀が答え始めた。


「それは違います。彼の計画は、バスジャックでつかませるってところまで。

それを利用して、もしくはたまたま殺人を犯した犯人がこの中にいる。」



「ちょっと待てよ、この中に銃を持った奴は1人もいなかったんだぞ?!どうやって殺したっていうんだよ。」


酔っ払いの叫び。


「銃では殺してないんですよ。」

周りの驚く人達を無視し空賀は話を続ける。


「でも確実に、銃戦らしき音が…」

女子高生がつぶやく。


「あの音は爆発音ですよ。爆発音の反発で、銃弾が出る仕組みです。

それ前の足元に設置し、反発で、発射される銃弾の銃口の向きを調整した。

つまり誰かが爆弾をあらかじめ設置した。そんなことができるのは被害者がここに座ることを知っている人だけ。」


空賀はすらすらと答えた。


「つまり、毎日ここに乗っているあなたしかいないんですよ。」

黒羽が口を挟む。


「そして、常に被害者の様子を見ることができたあなたしかいないんですよ。」

空賀もそれに乗っかる。


黒羽と空賀は声をそろえた。


「ロケット工学を大学で教えている戸川まりさん。あなたが、真犯人です。」


戸川は目を大きく開け、訴える。

「え、私?根拠があるんですか?」


「えぇ。あなた、ロケットの構造もちろんよく知ってますよね。


「そりゃ、教えてますから…。それが何か。


「いやー僕が説明した、爆弾とロケットの設計がよく似てるんですよ。」


「でもその爆弾あなたの想像に過ぎませんよね。実際、証拠があるわけでもないですし。」


「でも、この席のした、傷ついたり焦げたりしてる跡はありますよ?」


空賀は責める。


「でもそれだけでは、」


「ええ、それだけでは証拠にはならない。しかしボタンがあるはずです。」


「そんな小さい物とっくに捨ててるかもしれませんけど。」


「誰も小さいなんて、言ってませんよ?戸川さん。


「えっ…。」


「小さいってなるとその指輪ですかね。貸してください。」


「…。」


「渡さないということはビンゴってことですね。」


「…仕方なかった。私は彼とは元恋人だった。でも、彼の暴力が酷くて。」



それで仕掛けたの本当。押す勇気なんてなかった。


「仕方ない?人を殺すのに仕方ないとかないんだよ。」


「あなたの憎しみは多分無駄なものだったと思いますがね。」


「え?」


「だって、彼あなたが犯人と気付いた上で、爆発後の破片を窓に捨てたんです。だから、窓が少し開いていた。

あなたのことを思っているという証拠です。そしてあなたのその指輪、元は彼からのプレゼントなんですよね。だから捨てることができなかった。」


彼女は大きく泣き出した。


「まだ、遅くないと思いますよ。

彼、ギリギリ命助かったそうですよ。


「え、」


そして黒羽が口を挟む。


「はい、カット!感動ラストシーン的な流れはこんなもんでいいかな。」


「はい、おっけーです。


「事件解決じゃないのかよ。」

酔っ払い富田の突っ込みが入り、黒羽が続き話す。


「被害者が、暴力を振るう?笑わせないでくださいよ。ねぇ、被害者のお母さんの佐々木さん?」


「あの子は、生まれつき筋力が一般の人より弱いため殴れないし、殴るような子でもない。


「とのことです。」


「それは…。」

戸川は下を向く。


「もう負けを認めて白状しろ。

ここまで彼女を追い詰めた、お前こそ死ぬべきだ佐藤。」


黒羽は回転し、佐藤を指差した。


「は?え?僕ですか?」


「とぼけるな。

お前は彼女に暴力を振るっていた。それはお前の歪んだ愛だった。しかし、彼女には好きな相手がいた。そして相手も彼女のことを思っていた。それが被害者だ。腹にきたお前はその男を殺すよう言った。」


「君達、また、そんな…。証拠あるんですか。


「証拠、いえ、でも、証言ならありますよ。ね?」

空賀は戸川に尋ねた。


「…刑事さんの言う通りです。」


「てめっ!」

佐藤は豹変した。


暴れ動こうとした彼の手に黒羽は手錠をはめた。


すると、彼はもう片方の手で、黒羽の腰にある拳銃をとり、黒羽を撃った。


バン!


黒羽のスーツのシャツが赤く染まっていく。


銃戦の音で警察が乗り込んだ。


「私は大丈夫だ。それより犯人2人をお願いします。あと、運転手さんにも同行してもらいます。」


「皆さん、あとは私が処置するんで帰っていいですよ。


バスの中に黒羽と空賀の2人が残る。


「もうあなたまで演技しなくてもいいですよ。黒羽刑事。」

空賀は笑って言った。


「ああ。」


「あの銃よく鳴るエアガンですよね。

ペイントも用意してまで、あれを行ったってことは罪を多く被せるため。」


「その通りだ。佐藤が行ったのは電気を消しただけ。捕まってもすぐ釈放されるだろう。だから殺人未遂及び公務執行妨害で捕まえたんだ。」


「さすがですね。」


「それを見破ったお前もな。」


普段は笑うことも人と関わろうともしない2人だが事件を共に解決したことで分かり合ったのかもしれない。



2人はバスを降り、黒羽はパトカーのドアを開け空賀に言う。


「車で送っていく。」


「いやいいです、行き先が変わりましたから。では。」



空賀は帰る際、後をつけられている気配がした。空賀はパーカーの帽子を被りにやりと笑う。

空賀は角を曲がった。

後をつけている者がついて行こうとする。しかし、その男が、一時停止をし、倒れた。

倒れた男の心臓からは血が出ていた。

その男は驚きを隠せないような表情だった。

空賀は血の付いたナイフをハンカチで拭き取り、リュックに入れる。メッセージカードを倒れている男の横に置き、ゆっくりと歩いていった。



空賀は人を殺している。

黒羽は感づいていた。


黒羽は僕と似ている。

空賀はそう思いながら月を見る。


「絶対に捕まえてやる。」


「絶対に殺してやる。」


それぞれの心の中の結論は決まったようだった。


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