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駄文集

『白』の行方

作者: 川柳えむ
掲載日:2015/05/20

 限りなく続く、白。


 ここは、どこ?


 どちらが上か下かもわからない。本当に、真っ白な、空間。

 私は前に進んでいるのかも、上っているのかも、下っているのかも、もしかしたら、後退しているのかも。

 それすらわからない。

 ただ、あたり一面真っ白で。

 ほかにはなにも見あたらなくて。なにも、感じなくて。

 そこに、ぽつん。と、どうやら、自分が……いるようだ。


 ここは、どこだろう?

 どうして、こんな場所にいるのだろう?

 どうやって、ここに迷い込んだのだろう?


 思い出そうとしても、それを拒むかのように、頭がズキズキ痛み出す。


 ……ここは、どこなの?

 そして――

 そして、私は、誰なの?


 真っ白な空間。

 なにもない空間。

 自分の存在さえわからず、私は、本当にそこにいるのかさえも……。

 ……そんな、消え入りそうなほどの『白』の中、私は、たぶん、歩き続けていた。

 どこに向かっているのか……進んでいるのかもわからぬままに……。


 いったい、どこへ行く気なの……? 私……?


 …………


 そう。

 そこで出会うモノが、『私』だと知らずに。

 私の心を隠すための白い空間だと。

 歩き続けていくうちに、知った。

 そこには、檻に隠れた『私』がいた。

 なにもないと思った真っ白な空間は、からっぽの私の心だった。

『白』に隠されて、閉じ込められた――いや、自分で檻に閉じ込めた『私』。


 ここにあるものは、白、檻、私――そして、私。


 私を隠す白。


 私はここにいる? 本当に?

 檻の中の私は、私?

 ここにいるのは私? ここにいるのが私?

 今の私、白に掻き消されてしまっていない?

 檻の中にいる私が本当の私?

 私は、誰? 誰が、私?


 真っ白でからっぽな世界。


 ――カナシイ?


 白ばかりで、私の姿も見えないくらいの白ばかりで。

 ぽつん、とそこにいたのは、檻の中の私だけで。


 悲しいの? 私。


 なにかが頬を伝う感覚だけは伝わってきた。

 檻に隠れているのが本当で、なにもないのが私の真実だったから。


 消えてしまえ。消えてしまえ。


 こんな『白』。

 こんな『私』。


 白に掻き消されてしまえ。

 臆病で、そしてなにも持っていないの。そんな私なんて。


 …………


『白』が、消える。

 はっきりと『私』が形を現した。


 からっぽが悲しいと、涙を流したのが本当の私なんだと……。


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