Hello,worlD
私の目の前に扉が見える
白く塗装されドアと金に輝くドアノブ
私はこの扉を開けなければならない
何故だかそう思えてしまう
導かれるように扉を開け中に入る
するとそこは落ち着きのあるモダンな部屋
初めて来る所なのにどこか懐かしく、心が安らぐのが感じられる
部屋の隅には年代物のジュークボックスが置かれ、そこから聞いた事のあるクラシック音楽が流れている
少しの間立ち尽くしていると部屋の奥からハミングをしながら一人の男が歩いて来た
欧米風の男は私に気づいたのか、ハミングを止め驚いた表情で話しかけてきた
「いやぁ驚いたよ。まさかここに一般人が来るなんて」
「まぁ来てしまったのも何かの縁だ。そこに座ると良い」
私は、言われた通り近くの赤いソファーに腰掛ける
「もう少しでアップルパイが出来上がるんだ。食べていかない?」
「ん?そうか。お腹が空いてないなら仕方ないね」
彼は少し残念そうな顔をした後、私と反対側にあるロッキングチェアーに腰を下ろした
「良い曲だろ。この曲はベートーヴェンの交響曲第九番『歓喜の歌』だ」
「まさに、新たな門出にふさわしい曲だと思わないかい」
「おっとそうだった、そろそろアップルパイが焼き上がる頃合いだ。君もそろそろ帰ったほうがいい」
「言い忘れてたけど、何かわからない事があったらまた来なよ。教えてあげるから」
「なに?また来れるか心配だって?それは大丈夫だよ。だって一度来れたんだ。また来れるさ」
「ん?僕の名前かい?そうだなぁ、じゃ『カミサマ』と呼んでくれよ」
「それでは良い旅を」




