動き出す歯車 7
瞬間、微かな土煙りとともにシルバの姿が消え、先程ロイドを殴り飛ばした巨漢の前に立っていた。
「お、お前いつの間に」
「フンッ‼︎」
ドンッと力強い踏み込みとともにシルバの正拳突きが巨漢のみぞおちにぶち当たり、そのまま後ろの連中も巻き込みながら吹き飛ばされた。
「悪いな、殴るつもりは無かったんだ。アンタがウチの大将を殴るまではな」
その一部始終を目撃したゴロツキどもは呆然とし、中には不安そうに男を見つめる者もいた。
「ひぃ⁉︎な、なんだよお前ら⁉︎早く片付けろ‼︎カネはたんまりくれてやる‼︎」
その言葉に乗せられてか、皆一斉にシルバとルビィに襲いかかる。
がしかし、シルバには傷一つ付ける事ができなかった。
いや正確には全ての攻撃がヒットしていたが、それはシルバが素手でいなし、 剣を砕き、槍を折り、斧を破る。全ての武器を壊しながら戦っていた。
「悪いな嬢ちゃん、これも仕事なんだよ」
シルバは無理だと思った数人の男達がルビィを取り囲む。
「別に気にしなくて良いわ。むしろコッチが謝らないとね」
「は?」
男達が目にしたのは淡く燃え盛る炎。それがルビィの手のひらに集まったかと思うと、その場から打ち上がり、火の雨が降り注いだ。
「ウギャァァァッ‼︎」
降り注いだ炎はゴロツキどもに着弾し、衣服を燃やしながら制圧して行く。
「安心してちょうだい。城の外は湖だからひと泳ぎしていきなさい」
「おいルビィやり過ぎんなよ?この城は俺様の財産なんだ」
「わかってるわよ、この前はちょっとミスっただけだし」
嵐の様に技を繰り出し敵をなぎ払うシルバ、火山弾の如く火の雨を降らせるルビィ、ふたりの活躍により瞬く間にゴロツキどもは退散していった。