動き出す歯車 5
巻き上がるホコリと共に大勢の、俗に言う『ゴロツキ』共が押し寄せてきた。
「な、なんだお前ら!此処は俺様のの城だぞ‼︎てか別にドア壊す必要なかったんじゃない⁉︎」
一気にいろんな事が起こりすぎて謎のツッコミをしだしたロイド。
全員が扉の方に注目しているとそのゴロツキ共を掻き分け、身なりの良さそうな男が現れた。細身で明らかに場違いのその男は先頭に立つとロイド達を前に立ち喋り出した。
「まさか本当にこんなボロいところに住んでるなんて、まさに生きた化石って感じだな」
「ボロいとはなんだ!アンティークt「申し訳ありませんが、ただいま取込み中なのでお引き取り願います」
ロイドの言葉にかぶせるようにカナンが言い放った。微かな殺意を抱いて。
「そう言う訳にはいかないんだよ、こっちも命令でね」
「誰の差し金だ?」
「あぁ?別に答える必要ねーだろ。それより飯は食ったか?」
「な、なんでそんな事聞くのよ?」
「だってコレが最後の晩餐だからだよ。おいお前ら金は沢山払ったんだ、ちゃんと働けよ」
その言葉とともにゴロツキ共が動き出す。だがその時。
「ちょっと待てーーッ‼︎」
先に飛び出したのは魔王。ではなく、勇者と名乗ったジュリエットであった。
「待て待て待て‼︎今私が正々堂々?と魔王に戦いを挑んだばかりです!邪魔しないで下さい‼︎って貴方、その胸に付いている紋章は帝国エルキアのもの…ッハ!まさか援軍ですか⁉︎それは頼もしい!」
「残念ですけど違うんですよ『元』勇者ジュリエット殿」
「元ってなんでですか⁉︎今でも立派な勇者ですよ!」
「いいや合ってますよ?っあそうだ、良いもの持ってるんですよ。ハイこれ」
その男が一枚の紙をジュリエットに投げ付けた。そこには、
『指名手配者ジュリエット・P・スチュワート』『賞金100万GAL』
と似顔絵付きで書かれていた。