覚醒する光 11
ダイダロスが1人の男と目が合う。
目の合ってしまった男は、顔からみるみる血の気が引き手が小刻みに震える。
化け物の右手が男の方へ伸び、無造作に掴んだ。
「ひぃ‼︎ た、助けてくれぇッ‼︎」
次の瞬間、バキバキと言う嫌な音が洞窟内にこだまする。
その巨大な右手から溢れ出る血を、まるで果物の果汁を絞り出したかのように飲み干す。
握り潰した男性を地面に叩きつけ、満足気に息を吐いた。
その息は、死体を3日ほど煮込み腐らせた様な悪臭を放っていた。
「うぇ…臭いってレベルじゃないですよ! あ、ヤバイ吐きそう」
「ち、ちょっと、ここで吐くのは勘弁してよね」
必死に吐き気と戦うジュリエット。
そんな中、バースが何かを見つけたのか、身を乗り出し大声で叫んだ。
「ッ‼︎ 父さん母さんッ‼︎」
「バース‼︎ どうして此処にいるんだ‼︎」
彼の目線の先には一組の男女の姿があった。
会話から察するにこの2人はバースの両親なのだろう。
その2人はどこかバースの面影がある。
少年の両親が生きている事を確認したルビィとジュリエットは少しだけ胸をなでおろした。
「おや、これはこれは、生き別れた家族との感動の再開と言うヤツですね。僕は結構好きですよ。ですが」
突然、ジェロニモが口元を手でおおい隠す。
手に覆われた顔が、ニヤける。いや、それ以上に気味の悪い笑顔を浮かべている。
「この手の展開には飽きました。そこで、両親の目の前で大切な我が子が殺されるのを見せ付けられる。なんてのはどうでしょう」
「ッ⁉︎ 待って‼︎ その子には関係ないの‼︎」
「殺せ」
その命令に従い、ダイダロスはバースへと右手を伸ばす。
母親が叫んだ瞬間。
なんとルビィが自分の炎で縄を焼き切り、ダイダロスとバースの間に飛び込み立ちはだかる。
「マジでキモいんだよッ‼︎ 」
ルビィが右手を振り払うと、ライターを擦った時の様な音とともに、拳大の火球が5発放たれた。
放たれた火球は弧を描き5発全てダイダロスの手に命中し、ひとつひとつが爆発を起こした。
その衝撃と火力にダイダロスはおもわず右手引っ込める。
「どうよ?」
「ッ⁉︎ なんだと」
「おおおぉ‼︎ すごい…って、縄切れたなら先にやってくださいよ」




