崩壊への余震 6
お互いの視線が重なる。
その刹那。
バンッ!
「ッ!」
まるで爆発音のような強い踏み込みが、白騎士とシルバの距離を一気に詰める。
音速のような速度のまま右手のランスの先端をこちらに向け、刺突の構えを取る。
(この距離を一瞬でッ‼︎マズイ…)
ランスの先端がシルバの腹部を直撃する瞬間、シルバは体を捻り間一髪の所でかわした。
が、しかし。
ゴスッ‼︎
「がはッ‼︎……」
白騎士は伸ばしきった右腕でランスごとシルバをなぎ払ったのだ。
ランスは敵を斬るためには作られてはいない。
しかし、白騎士の人間離れした腕力がそれを可能にした。
シルバの身体は軋み鈍い音とともに吹っ飛ばされ、教会の椅子をなぎ倒し壁に叩きつけられる。
「ハァ…やるじゃねーか」
ホコリを叩き、ゆっくりと立ち上がる。
「こりゃ一本取られたな。何処で習ったんだ?」
「……」
白騎士は何も語らず、じっとこちらを見ている。
(今の動き…完全に人間のそれを越えている。それに魔法を使った様には見えなかった)
白騎士が目をそらし外へ出ようと扉の方へ向かって歩き出す。
だが、すぐさま白騎士目掛けて角材が飛んでくる。
その方向には身体を左半身にし、左手を下に、右手を胸の位置に構えるシルバの姿が。
「悪いが約束があるんだ。テメーを此処から出すなって言うな」
白騎士は角材を弾き、刺突の構えを取る。
「身体強化LV1ッ‼︎」
シルバの足元に銀色の魔法陣が展開。
それと同時に白騎士が先程の突きを繰り出す。
ランスの先端がシルバに迫り、それを避ける。かと思いきや。
「ハッ‼︎」
ガンンッ!
ランスをはっきりと捉えたシルバは避けるのではなく、右手でランスの側面をボディブローの様に殴り弾いた。
魔法の力で瞬発力、動体視力、筋力が向上しているからこそなせる技だ。
ランスが横に弾かれてもなお白騎士は得物を離さない。
だが、必然的に白騎士の体はガラ空きになる。
「くらえ‼︎」
すかさずシルバは白騎士の顔面に一発、胴体に4発もの強烈な打撃を瞬時に繰り出す。
それに押され耐えきれずのけぞりバランスを崩す。
甲冑を着てるからとはいえ、強化されたシルバの打撃をまともにくらえば『常人』なら立っては居られない。
『常人なら』