自分の居場所 6
崩れ落ちるロイド、だがジュリエットはそんなロイドに駆け寄ることが出来なかった。
なぜなら目の前には巨大な岩、いや違う。
まるで岩のようなゴツゴツした表皮を持つドラゴンがジュリエットを睨みつけていた。
先ほどの攻撃はこいつの尾で叩かれた物だった。
翼は退化し、敵を殴るための腕へと進化している。
「なんでこんな所にドラゴンが‼︎」
とっさに剣を構えるジュリエット、だがドラゴンの右腕が迫ってくる。
「うぐッ!」
ドンッ‼︎という打撃音と共に重鈍な一撃が身体中に響く。
あの硬い表皮には剣戟が通らない。そしてこの体格差、ジュリエットは攻撃を防ぐのでやっとであった。
(なんてパワーだ。それにあの岩のような表皮。あれじゃ剣が入らない。一度距離をとって……ッ!)
後方へ下り奴の攻撃の外へ出たと思った矢先、奴が踏み込み物凄い速度で突っ込んできた。
(まずい、このままじゃ!)
ドラゴンの拳がジュリエットに直撃する……はずだった!
「iNo.3『拒絶の蠢壁』」
ジュリエットの目の前には複雑な図形の魔法陣。
それがドラゴンの一撃をはじき返したのだ。
「大丈夫ですか?ジュリエット様」
「あ、貴女…なんでここに?」
「ロイド様とジュリエット様を迎えに参りました」
ジュリエットの後ろからカナンが歩み寄り、不思議そうな顔でドラゴンを見ている。
「グリム・ロックスケイル…この種類のドラゴンがどうしてこんな所に」
先ほどのドラゴン、グリム・ロックスケイルが態勢を立て直し、次の攻撃のために構える。
「まだやる気ですか。ですがお引き取り願います」
カナンはスッと右手を前に出すと、手の平に魔法陣が浮かび上がる。
「iNo.2『愚鈍なる束縛』」
ドラゴンが踏み込んだ瞬間、奴の足下に紫色の魔法陣が描かれ、それを中心に空中に小型の魔法陣が描かれ無数の鎖がドラゴンの身体に食い込む。