眠れない夜に
さて、君はどこにいるのだろう。
キャッキャと笑う子供たちのような無邪気で優しい風がそよぐ大草原の中にいるのか。
蒼い海の底を泳ぐ魚たちを眺めながら一人ポツンと息をしているのか。
それとも大陸を行ったり来たりしている忙しい鳥たちに紛れながら空中遊泳を楽しんでいるのか。
夢から覚めてしまったような感覚に怯えてしまっているのか。
それとも、自分が時々とても小さく蟻のように見えてしまうのか。
僕には、君の気持ちはわからないのだけれども。
怖がらずに、明かりをつけて鏡の前に自分を見てみればいい。
等身大の自分がそこに、挙動は反対に映っている。
そこには笑顔を無理矢理にでも見せつけてみればいい。不格好でも、それを笑顔とわかるのだとしたら、安心するかもしれない。
自分がそこにいて、ちゃんと存在していることを分かることが、少しでも怖がらないでいることの一つだから。
「ここに私がいる」
手を大きく広げ胸に当てながら、そう呟いて。
僕も小学生の頃、怖くて眠れなくなった時期がありました。いや、眠れないというよりは眠ることが怖くて気が滅入りそうなことが沢山ありました。今でもフラッシュバックして怖くなったりするけど、乗り越えない限りは、息をすることができないから。