17:デート……?
「レベッカ嬢を迎えに来ました」
「娘が本当にすまないね」
レベッカの家を訪れたら、公爵が玄関で待ち構えていた。挨拶をすると、なぜか謝罪されてしまった。
「思い込みの激しい娘でね……君に本当に好きな人が出来たら言ってほしい。必ず身を引かせる」
「公爵閣下、その必要はありません。私も心からレベッカ嬢を愛していますので」
「――――っ! イケメンが過ぎるっ!」
急に現れたレベッカがそう叫ぶと、勢いよく鼻血を噴き出した。ちょっと引いてしまったのは許してほしい。
「せっかくのデートがぁぁぁぁ……」
ベッドの上でメソメソと泣くレベッカの頭を撫でる。
あまりの出血に、外出は取り止めにした。流石に不安過ぎた。
「でもニコラウス様が私の部屋にいるのは尊いっ」
「こら! 興奮するな。また垂れてきたぞ」
丸めたガーゼをレベッカの鼻に突っ込むと、なぜか「えっち」と言われた。意味が分からなすぎて、脳天に軽くチョップしてしまった。
「レベッカは、何の疑いもなく受け入れているが、頭は大丈夫か?」
チョップしてしまったところを撫でながら、気になっていたことを聞くと、レベッカがきょとんとした顔で私を見てきた。
「だって、キラキラしてるもの。ニコラウス様は、アルブレヒト様とおんなじキラキラした雰囲気だもの」
「ふむ。わからん」
「ねえ、ニコラウス様」
「ん?」
「もう二度と、私を置いていかないで……」
不安を乗せた瞳でそう言うレベッカ。
クヌートに聞いたが、私が死んだと知らされた直後、レベッカは泣き崩れてずっと引きこもっていたらしい。しかも王太子との婚約は継続で、相手は繰り上げられたクヌート。流石のクヌートもレベッカには同情してしまい、できる限りは形だけのものにしようと約束していたのだとか。
それを聞いたとき、瞬時に怒りが湧き上がるくらいには、レベッカを愛していた。できる限りということは、最終的にはクヌートと……と考えて。
「……約束は出来ん」
一度、置いて逝ったからな。
「ただ、あのとき以上にレベッカを愛している。ちゃんと『待て』をしておけよ?」
「っ! ふぁいっ」
真っ赤に染めた顔を両手で隠すレベッカが可愛い。
これくらいはいいだろうと、その手の上から唇の場所にキスをしたら、レベッカがまた鼻血を吹き出して倒れてしまった。
公爵とお互いに謎の謝り合戦をする羽目になるとは思いもしなかった。




