表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】悪役令息に転生したので、謀略の限りを尽くしてみる  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/20

14:歪み

 



 クヌートの執務室のソファに寝転がる。私が使っていたころから替えていないらしく、慣れ親しんだフィット感がたまらない。


「にぃ……ニコラウス、今日は休みじゃないでしょ?」


 使用人や文官たちがいるので『兄さん』と言うのをギリギリで堪えたらしい。変な喋り出しにはなっていたが。


「あぁ。少し考えたくてな、午後半休をもらった。勝手にだが」

「もぅ。怒られるよ?」

「構わんさ」


 クヌートには気にせず執務をしろと言いつつ、懐かしい執務風景を眺める。

 近衛騎士たちも執務室内にいて、何だかんだと楽しく話しながら執務をしていた。私は、この風景が当たり前だと思っていたが、外では違ったらしい。


 部下をいびる上の者たち。

 侍女でも文官でも、騎士でさえも、そういった者がどこにでもいるのは知っている。ただ、上長はそれを諌める立場にあると思っていた。


「この部屋は居心地がいいな」

「そのソファお気に入りだったもんね」

「ふはっ! そういうことじゃないが、まぁ気に入っていたな」


 幼いクヌートが執務室に遊びに来ていたころを思い出す。いまは立場が逆転しているが、あのころと変わらない。

 もしかしたら、ここがあまり変わらないように、外に蔓延る歪さも変わっていないのかもしれない。私が知らなかっただけで。そう呟くと、クヌートから表情が少し抜け落ちた。


「……人払いを」


 クヌートの低い声に、執務室にいた者たちが静かに素早く去っていく。

 少し、驚いた。たった一言で人を動かすクヌートにも、それに慣れた様子で去る者たちにも。


「兄さん、王城内は酷く変わったよ。兄さんがいなくなって…………どんどんと歪んでいっているんだ」


 クヌートの悔しそうな声が、しんと静まり返っていた執務室に響いた。

 

「議会の全員が、兄さんが毒殺されたことを知っている。両陛下も。僕を…………王太子にするためだった気がするんだ。だって……兄さんが殺されたその日に、議会で可決されたんだよ? しかも『これで陛下の治世は安泰ですな』なんて笑って。変だよ……」


 あぁ、そうか。何かが可怪しいと思っていた。

 幼い頃は、両陛下ともほとんど顔を合わせていなかった。乳母に任せきりで、公務のときだけ会える人という認識だった。だが、愛されていたとは思うが、愛されていたと思いたいだけだったのかもしれない。


 王太子として執務室を与えられたが、あまりやることはなかった。しばらくして自分で仕事を見つけ色々とやり始めたら、陛下から様々な執務を任されるようになった。その際に気付いた書類の不備などもついでに指摘していた。

 そして、明らかな不正については陛下に確認後、議会で問題提起し不正者を糾弾していたが…………私は踏み込み過ぎたのだろうな。愚直に。


 死ぬ直前、あの男とした会話を思い出した――――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
宰相視点のお話と、今回のお話と併せると、ますます複雑な感じと、明らかになりそうな感じと両方します。仕事と使命だけにまい進して家族を置き去り? お母様の言葉がしみてくる、主人公に少しは癒されてるようです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ