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夢から覚めない現実


いつまで経っても、紗良は夢から覚めない。


なんでぇ~。


ジークリオンに名前を言ってから、この部屋に連れてこられた。

聖職者が住んでいそうな飾り気の無い質素な部屋だ。テーブルとベッドと備え付けのクローゼットと本棚がある。あと、部屋の隅に小部屋がありどうやらそこにトイレと洗面台とお風呂があるみたいなことをジークリオンが言っていた。


紗良はベッドの上に座って頭を抱えて困惑していた。


……何で目が覚めないの?


この部屋には鉄格子のついた窓があるが、そこから見える空には月が二つ並んでいた。


ありえないし。


ありえない。ありえない。ありえない。


これじゃあ、まるで本当に異世界転移しちゃったみたいじゃないの!


ジークリオンがいるということは、『月光の贄姫』の世界で間違いないだろう。


本当にそうなの?

やっぱり夢ではないの?


でも、夢にしては感じるもの全てがリアルなのだ。


だから取り敢えずこれは現実であると仮定することにした。

そうしないと現状の打開はできなそうだし、この状況がいつまで続くかも分からないから。

それに、紗良は元々前向きで楽観的な性格だった。

まぁ……ジークリオンの言葉を信じるなら、紗良を召喚した聖女だと言っていたし……わざわざ召喚したんだから危害を加えることはないよね。


ジークリオンが来たら色々説明してもらおう。


この部屋に連れてこられたとき道すがら何やら周りの様子が慌ただしかった。そのせいか、ジークリオンは簡単に部屋の説明だけして、外からこの部屋に鍵をかけると居なくなってしまった。


はやくジークリオンが来てくれるといいんだけど……。


そう。現状……紗良は閉じ込められている。


「ジークリオン! 拉致監禁だからね! いくら美形だからって犯罪だよ? 」


紗良は毒づいた。


鍵をかけられた時、かなりショックだったんだから。


『ぶはっ! 』


へ?


急に誰かが吹き出したような声がして、紗良は驚いて飛び上がりそうになった。


『面白いな! お前! 』


紗良の膝がずっしりと重たくなる。


え? え? え?


膝の上に真っ黒い羽の生えた蜥蜴のようなものが二本足で立っていた。


うわっ! 何これ?


「つ、蜥蜴? 私、爬虫類苦手っ! 嫌あ! 」


思い切り紗良はソレを手で膝から叩き落とした。


『うげっ! 』


黒い蜥蜴もどきは床の上にベチャッと腹這いで……潰れちゃった?


『何て酷いことをしてくれるんだ! 』


あ……大丈夫だったみたい。


蜥蜴もどきは器用に立ち上がった。


『失礼だそ! 俺は蜥蜴ではない! 良く見ろ! ドラコンだ! 』


ドヤッ!と、ふんぞり返っているけれど、どこから見ても残念な蜥蜴もどきにしか見えない。


『そして、驚け! 俺の真の姿は魔王だ! 』

読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

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