ゆいこの美術館D(ゆいこのトライアングルレッスンD)
2作品め/2作品中。
水曜日投稿締め切りで、水曜日(締切当日)に下野さんの音声ガイド情報が出たので妄想炸裂して生まれた作品です。
良ければご覧下さいっ!!
今日は小論文や面接試験に使える現代ネタを増やすべく、勉強の筆を休めて3人で美術館に来ている。
美術館に来るのは久々で、中学の校外学習以外になると思う。
1人で美術館によく行くというヒロシから、紙と鉛筆、それと芸術にあまり詳しくない人は音声ガイドを付けて巡るのがお勧めということを教えてもらい、入口で小銭を握りしめながら専用機を購入する。
「ヘッドホン付けて巡るとか面白ぇな。
作品も色々あるみたいだし、早速行こうぜ!」とタクミが先陣を切って中に入る。
作品を見ながら、専用機で音声ガイドを聴いていると、後ろからヒロシが近づいてくる。
「ユイコ大丈夫か?聴きながら作品を見ている時は周りに不注意になるからな。気をつけるんだぞ。」
そう言いながら、ヒロシはそっと私の肩に手を回し、同じ作品を2人で見る。
「ねぇねぇ♡ あの2人、でーとなのかな?」と小学校低学年くらいの女の子2人組がこちらを見ながらひそひそと話している。しかし、ユイコは音声ガイドを聴いているので聞こえていないだろう。
タクミは俺らの3作品ほど先に進み、作品を眺めているようだ。まるで俺らに気づいていない。
音声ガイドを聴き終えたのか、端末を操作するユイコへ聞こえるように耳元で呟く。
「好きか……?」
「えっ?ごめん!今なんて??」
顔を赤らめながら、もう一度言おうとするとタクミが近づいて来て、会話に混ざってくる。そこからは3人で横に並んで全ての作品を鑑賞した。
「あ〜!楽しかった!!ヒロシ、タクミ!
今日はありがとうね!」
いつもの帰り道を3人で歩く。
「じゃあ、また明日!」と分岐点で挨拶をしてそれぞれの帰路へと歩き始める。
坂を登り終えて市内の夜景が見える広場に着くと、ふとその場に立ち止まり、藍色になった空を見上げた。
それと同時にポケットに入れていたスマホが振動する。電話の発信者はユイコだった。
「もしもし?」
「あ。もしもし?ヒロシ?良かった。
あのね…今日は楽しかったよ。
でもね、今度は音声ガイドじゃなくて……ヒロシの解説を聞きながら巡ってみたいなって。だから今度また一緒に美術館デートしてくれないかな///」
「聴こえてたのか……」
嬉しすぎて笑みが零れてしまうのをマスクで必死に隠しながら震えた声で伝える。
「あぁ。任せろ。今度は2人きりで行こうな。」
美術館で聞いた小さな天使たちの声がまだ俺の耳に残っていた。
2021年ぶりとなる久々の音声ガイド、推し活しながら芸術の秋を堪能しようと思ってます(*^^*)
ほぼ1年投稿しなかったから、執筆作業もしてみようかな。