チンアナ伍 草稿
チンアナ伍 草稿
「ご機嫌麗しゅう御座います! お姉さま!」
「あら? いらっしゃい……? 約束してたかしら……? (急に何しに来たの……?)」
「先週のお茶らけ会で……来週うちにいらしてって……? お誘い頂けましたよね? 嘘……お姉様が、おべんちゃらだなんて……嘘です! 嘘と……その麗しき調べに乗せて、仰って下さい……お姉さま……」
うるうるうるうる……。
「そんなはず無いでしょ! わたしがあなたに、おべんちゃらだなんて……のんのんのんよ!」
タッタッタッタッタッタ!
むぎゅう!
「お姉さま! ありがとうございます! わたしは世界壱の幸せ者です!」
「それでね……お約束は、何だったかしらね?」
「お姉さま? 鍔広の鳥帽子みたく、お忘れになられたんですか?」
「(無い無いと思ってたら……やっぱり、忘れてたのか……?)あれはね、忘れたのでは無くてよ?」
「あんなに、お大事にされてたのに……頂いて宜しいんですか? 嘘! わたくしへのサプライズだったんですね……? お姉さま大好き!」
むぎゅう!
「(この娘……計算じゃ無いわよね?)何、今頃気付いたの……お馬鹿さんね! (悔しい、お気に入りなのよ! また、お父様におねだりしないと!)」
「ありがとうございます! お姉さま!」
むぎゅむぎゅ!
「よしよし! 今日は、どう致しましょうね? お茶に……」
「先週お約束いたしました通り、チンアナをお見せ下さいませ! わたくし、もうわくわく何です! ずっとチンアナの事で、頭が壱杯でした!」
「(そんな事言ってたっけ……先週ね……ああ、ああ……言ってたわ! みんなの前で、この娘にチンアナって言わせたくて……)チンアナね? 宜しくてよ! こちらへどうぞ!」
「寂しがり屋さんの、珍しいお魚さん何ですよね? チンアナちゃん!」
「そうよ! とっても臆病ですからね……少しでも、大きな音を立ててしまうと……穴に直ぐ隠れてしまいましてよ! 暗幕を掛けてありますから……静かにそっとね……いいわね?」
「はい! お姉さま!」
「しっ!」
「あっ……はい……」
「(あの時は面白半分で、優越感にひたって言わせてたけど……こんなざまぁ返しを、無意識で喰らうなんて……純真無垢って怖いわね……)ほら! ここから覗いて見て……」
「わあぁ……穴からしゅうって立ってて、チンアナが伍匹もいます! お目々かわいい!」
シュン! シュン! シュン! シュン! シュン!
「あっ! 穴に引っ込んじゃいました! 残念……」
「しって、言ったでしょ! 大きな声だすからよ?」
「てへ! お姉さま! このチンアナのお名前何てですか?」
「名前? つけてないわよ? ほとんど土の中にいますからね(怯えて、ほとんど出てこないんだもん? 愛着なんか湧かないわよ)」
「そうなんだ……う〜ん……チンアナが5匹ですから、チンアナ伍ですね!」
「(え? この娘、もしかして……知ってて、態とつけてるんじゃ?)良いわね! そう呼ばせてもらうわね!」
「良いんですか! ありがとうございます! お姉さま! てへ!」
「(どっちだ? わからないわ? でも……かわいいから許してしまうわ!)お茶に致しましょうね!」
「はい! お姉さま! また後でね、チンアナ伍!」




