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第七話 誕生日会

時間は過ぎ、俺たちは王都を出て、朝来た道を再び通る。


「どうでしたか?今日は」

「楽しかったです!」


と、元気一杯に言うと、フレットは微笑む。

何このイケメン。

とか思いつつ、やっと子爵家の家が見えてきた。やはり、貴族なだけあって、家は大きい。

夕日が照らされる中、俺たちは自分たちの足取りで、オーバン子爵家の方面を歩いていく。


ーーーーーーー


やはり、今日メイドさんたちが忙しかったのは、パーティーの準備をしていたからだった。

食堂には美味しそうな料理が、沢山並んでおり、メイドさん達や、執事の人たち、そして家庭教師をしてくださっている、シンシア先生とリー先生も出席してくれていた。


「うわぁ……」


あまりの圧倒さに、そんな声が出てしまう。

美味しそうな料理が目前にあると、ついつい涎が出てしまいそうだったが、それを拭う。


「お誕生日、おめでとう。ノイーズ」

「えぇ、おめでとう。八回目の誕生日ね」


毎年のことながら、ものすごく豪華であり、嬉しい気持ちが胸いっぱいに広がる。

やっぱり、こうやって祝ってもらえるのは、嬉しいものだった。

そんな時、父さんや母さん、姉ちゃんが俺の誕生日を祝ってくれていた時を、思い出す。


『詔…誕生日おめでとう』

『はい、プレゼント』

『私からもよ!』


そんな光景が脳裏に浮かんだ時、つい涙が出てしまいそうだった。

だが、ここで涙を出してしまえば、みんな慌てふためく為、じっと堪えた。


理由としては、もう会えなくなってしまったんだと、思ったからだ。

もう、父さん達と話せないと思うと、やっぱり悲しいものだった。

だけど、それは俺の思い出の一部。そして今は、ノイーズとして生きている。真っ当に生きると、決めている。

だから心のうちに留めておこう、と思った。


「今回も精一杯頑張りましたよ!お嬢様!」

「お嬢様、生まれてくださってありがとうございます」

「それは私たち執事もです。ありかどうございます」「………私も、みんなに会えたことが何より誇らしいですわ。ありがとう」


俺は着ていたドレスの裾を掴み、お礼を述べた。

まだ不慣れではあるものの、マシになってきている………と思う。


ーーーー


盛大にパーティーをしてもらい、シンシア先生からは魔導書。リー先生からは刺繍のハンカチだった。その刺繍は青い小鳥だった。

そんな素敵なものを見て、俺は大事にしよう。と、思った。


メイドさん達は、ケーキを切り分けてくれたり、父様達にワインを注いだり。そして執事の人たちは、次々と料理を運んで行ったりしてくれた。


やっぱ思う。毎年、この日だけはみんなの力量が半端ないと。

常に感謝しても、仕切れないほどだ。


(ありがとう。毎年のことだけど)


再び感謝を述べる。


ーーーー


そして誕生日を迎えてから、一週間後。誰かから手紙が届いた。

それを執事のフレットから、渡されると、金の封蝋がされていた。

一体誰からだろう。そう思いながら、その封蝋を剥がし、中に入っている紙を広げると、綺麗な執筆で書かれていた。


『ノイーズへ。

誕生日おめでとう。俺からはペンだ。初対面にも関わらず、俺にハンカチをくれてありがとう。これからもよろしく。


                オーティスより』


と、書かれていた。手紙と一緒にペンが入ったいた。描きやすそうなペンが。

どうやら、覚えておいてくれたらしい。それはなんとなく、嬉しいものであった。


(ほんとになんで、ハンカチを渡したんだろう)


そう思いながら、その手紙を大事に引き出しの中へと入れた。

早くもそのペンでお礼の返事を書く。


ーーーーーーー


ノイーズに誕生日プレゼントと、手紙を送ると、その日のうちに返事の手紙が来た。

ウキウキした気持ちで、手紙の内容を読むと、


『オーティス様へ。

プレゼント、ありがとうございます。貴方から貰ったペン、書きやすかったです。こちらこそ、仲良くしてくださると、嬉しい限りです。

            

                 ノイーズより』


と、書かれていた。初めて手紙を送ったが、意外と楽しいものと気付く。


「俺の………婚約者………か」


まさか俺に、婚約者が出来るとは思っても見なかった。

だが、なぜだろうか。ノイーズとそんな関係にかなれたことを、夢のように思ってしまう。


そして胸の高鳴りが、速くなっていく。おかしくなったものだ。

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