表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/52

第19話 最後の願い

アブソルート・ディザイア第19話を閲覧していただきありがとうございます!


第1章もクライマックス! 憤怒の力少しでも楽しんでいただけると嬉しいです!


よろしければ最後まで読んでいってくださると嬉しいです!

黒い天使の動きが止まった。


 ゼキルはそれと同時に遠くで、とんでもない魔力量をした2人の存在に気付く。片方はフォルカのようだが、昨日会った時よりも3倍ほど魔力量が上昇しており困惑を隠せない。



「…こちらにむかってきている」


「にゃ~、良い感じにゃフォルカ」



 隣で飛んでいるのは、全盛期の私以上の魔力を感じるけど、こちらの味方ってことでいいのかな? 正直私はもう限界だから後は頼みたい。

 フォルカから感じる魔力、すごく「怒り」を感じてしまう。あの若者が短時間で魔力の質までこうも変えてしまうなんて…。


 ゼキルがそう考えこんでいると、黒い天使は再度動き出し、魔力弾を放とうと下半身の炎の魔力を強めた。



「これが最後になるね…天夜叉ッ!」



 彼らが来る数秒、後ろにいる子たちにはかすり傷1つ負わせない!

彼女たちとここに向かっているフォルカは、もしかしたら未来の世界を変えてくれる存在になるのかもしれないのだから!









 『憤怒(サタン)』の力を使い、自分にも羽を生やして飛行するフォルカだったが、初めての飛行は上手く行くはずもなく苦戦していた。



「くそ! けっこう難しいな」


『上手く飛ぶのはコツがいる…さぁ見えてきたぞ』



 フォルカはバランスを整えて『憤怒(サタン)』の言われた場所を確認すると。


 そこにはフォルカの想像以上に悲惨な景色が広がっていた。



「……」



 泣きじゃくってるエル、その隣にはピクリとも動かないムブルグさん、黒い奴からの攻撃を片腕と両脚の体術で防いでいるゼキルさん。

 ノアさんたちは、もう跳んでしまったようで気配を感じない。

 思った以上に冷静な自分にビックリするけど、あの黒い奴を消し飛ばしたくて仕方なくなってきた。『憤怒(サタン)』の力を使えるから、最後は俺自身が終わらせてやる。


 そう思ったときには、ゼキルさんたちを攻撃したはずの黒い奴は俺の目の前で斧を振り被って笑っていやがった。



『さぁ…その憤怒をぶつけてやれ』



ーーガシィンッ!



 振り下ろされた斧を右手で掴む、これでみんなを傷つけたんだな。



ーーバキィンッ!



 そのまま斧を力に任せて粉砕する。案外いけるもんできっと後ろで見てくれている『憤怒(サタン)』の力でもあるんだろうけど、力が溢れてくる。


 斧を破壊してそのまま、フォルカは右手を黒い天使にむける。



「『奈落天・焦熱地獄(しょうねつじごく)』」



 黒い天使の中心から、真っ黒な炎が広がり始める。

 声にならない叫びをあげている黒い天使にむけて、恐ろしいほど冷酷な目をむけているフォルカ、炎上し灰になってきている天使にむけて、最期の言葉を言い放った。



「笑って人殺した罪…地獄で償ってきな」



 黒い天使は灰となって散っていった。


 

『フォルカ……また私の真名を呼んでくれる日を待っているぞ』


「あぁ……強くなるよ、必ず」



 時間になり消えていく『憤怒(サタン)』に一言決意表明をしてみる。

 顔は見てなかったけど、なんとなく笑ってくれてる気がした。









 羽も消えかけていたので、急いでゼキルさんの元へ急ぐ。膝をついて方で息をしているゼキルさんに声をかける。



「ゼキルさん……」


「この短時間で…随分変わったね」


「はい…色々と決断出来ました。ゼキルさんとは違う道だけど、俺は俺のやり方で生きていきますよ」



 俺の決意は正直、ゼキルさんからすれば考えられないやり方だろう。

 それでも俺はこの考え方を曲げないし、曲げられない。

 そんな俺の言葉に、どこか思うことがあったのかゼキルさんが立ち上がった。



「エルちゃんたちのところへ行こうか」


「歩けますか?」


「なんとかね」



 ゼキルさんは微笑んでいるが、足を少し引きずりながら歩いている。

 もう…限界は超えているんだろう。それでも何か、やり残したことがあるからこんなにも…。


 ゼキルさんと2人でエルたちのところに歩いていく。

 倒れているムブルグさんの体の隣で泣いているエルに声をかけたいけど、言葉が上手く出てこない。



「エル……」


「ぐすっ…なんで、なんでこんなことになっちゃったんですか? 悪いことなんてしてないのに」


「世界には、こんな酷いことを平気でする奴らがたくさんいる」



 フォルカが語り始めたのに、少し驚く一同、ショックで立ち直れていなかったリーシャでさえも耳を傾けていた。



「だから…俺は世界を巡るよ、まずはあの狐面の奴を探し出して罪を償わせないとな。それ以外にも同じような悲劇がたくさん起こってる、逃げてるだけじゃダメなんだ……だから俺はやるよ」



 もう追われてた時とは違う。


 俺には『八罪呪源(みんな)』がいるし、まだまだ強くなれる余地は十分ある。自惚れてるかもしれないけど、多くの悪を根絶できる力があると思ってる。



「…その道は、過酷な道になるよ」


「覚悟の上です。…心配してくれてありがとう、ゼキルさん」


「師匠として、エルと一緒に着いて行ってやるにゃ~」



 ロロの発言にエルは動揺することなく、泣くのをやめて俺のほうをじっと見つめてくる。しっかりやりたいことと覚悟が決まっているような雰囲気だ。



「お願いしますっ、私もたくさん勉強して、お手伝いもして力になれるように頑張りますから!」


「エル…」


「こんなに悲しくて苦しいのは嫌です…他の人は同じ想いをしてるのも嫌です。何もせずに待っているのも嫌なんです!」


「にゃ~立派だにゃ」



 エルの力強い言葉に、それまで口を閉じていたリーシャが少し前に出てきて、フォルカに向けて口を開いた。



「私も…お願いします、連れて行ってくれないでしょうか…敵だった立場はもちろん承知の上です。エルフリッドのやったことは許されることではありません…ですが私も1人の騎士として狐面を共に追わせていただけないでしょうか」



 頭を深く下げて頼み込んで来るリーシャとかいう騎士さん。どうしたもんか悩むところだな。



「にゃ~、色々使えそうだし、腕も少しは立つからいいんじゃないかにゃ? 後ぶっ飛ばされたジンを回収して行くにゃ」


「ロロが言うならいいけど…」


「ありがとう…ございます」



 なんとか話はまとまった、5人で狐面を探して旅をすることが決まったことに少し安堵したのか、それとも限界だったのかゼキルさんが座り込む。



「…若者たちの決意の門出だね。私はここでムブルグと休むとするよ」



 みんな察していたんだろう、ゼキルさんの言葉に誰も返すことが出来ない。

 身体はボロボロで、出血もたくさんしている、ただでさえ勇者との戦いで傷ついたゼキルさんには苦しい戦いだったんだろう。



「最後に頼み事をしていいかな?」


「ゼキルさん…なんでも言ってください」


「ありがとうフォルカ……ムブルグと隣同士でお墓を作ってくれないかな?」



 ハハハと軽く笑いながらお願いしてくるゼキルさん、俺たちのやろうとしていることに言いたいことたくさんあるんだろう。でも俺たちの考えを尊重してくれてるんだと思う。最後まで微笑んでいるゼキルさんを見てると何故か…涙が止まらなかった。



「…わかりました」


「ありがとう……あぁ…少し疲れたね…そろそろ休むとしようかな」



 そう言うとゼキルさんは、ムブルグさんの隣で横になって目を閉じた。



「…みんな、ケガをしないようにね」



 そう言ってゼキルさん安らかな顔をして、ムブルグさんのところへに旅立っていった。

最後まで閲覧していただいてありがとうございます!


第1章も次で最終話です! 読んでくださる皆様のおかげで無事1章も完結できそうです!

本当にありがとうございます!


皆様からのブックマーク登録や評価が執筆の励みになっています! なんと少しずつ増えてきております! 面倒なことだと思いますが、よろしければしてくださると嬉しいです! よろしくお願いします!


次話 第20話 エルフリッドの閉幕


次話もお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ