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器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。  作者: 武雅


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治癒魔法での再生

昨晩は、レーナさんの身体中にある痣を治癒魔法で癒しただけで舌の再生は今日からという事になった。

昨晩からレーナさんはバイルさんが常にそばに居て、今日は部屋で一緒に過ごすか宿の庭に出るとかしているけど、治癒魔法での舌の再生は思いっきり難航している。


昨晩のうちに身体中の怪我は完治させているので、今日からは舌の再生に全力を注いでるけど全く持って舌が再生される様子が無い。

なんだかんだ今まで魔物を倒した事で自身に吸収された魔力のおかげで1時間ぐらい治癒魔法をかけても魔力切れにはならないけど、1時間治癒魔法をかけ続けても何の変化も無い。

朝、昼、晩と1日3回、レーナさんに治癒魔法をかけるように言われているけど、いつになったらレーナさんの舌を再生してあげれるんだろう?


カトレアは部屋に籠って上書きされた魔道契約書を解析してるし、ルイーズさんはバイルさんの代わりに街の周辺で薬草を採取しスラムの薬屋に届けると言って朝から宿を出て行ってしまったし。

Sランクポーション使えば一瞬で解決じゃない?

確かに後3本しかないけど、1本使っても後2本ある訳だし…。

なのにカトレアからはSランクポーションの使用を禁止された。

Sランクポーション並みの治癒効果を自分の治癒魔法に求めるって…。


そう思いながらもレーナさんに夜の治癒を開始する。

うん、全く再生される気配も無いね…。


翌日も同様に治癒魔法で舌の再生を試みるも再生出来ず。

夜の治癒が終わった後、身体が鈍らないようにとルイーズさんと宿の庭で手合わせをする。

一応、武器を振り回すとあまり広くない宿の庭が滅茶苦茶になるから自分は木剣、ルイーズさんは何処で仕入れて来たのか木で出来たバトルアックスを持っている。


お互い魔纏で身体と得物を覆っているから、普通に剣やバトルアックスを振り回すのと同じぐらい殺傷能力があるから、得物を木製にする意味がないような気もする。

手合わせ…、訓練…、いや一方的にボコられる事1時間、一度も木剣をルイーズさんに当てる事すら出来ず反対に自分の身体中には痣だらけになる。

レーナさんに治癒魔法使った後にまさか自分に治癒魔法を使う事になるとは…。


それにしてもルイーズさんは強い…。

カトレアの足元にも及ばないとは言え自分との力量の差も相当ある。

筋力、瞬発力、魔力は恐らくそこまで開きはないはず、いや魔力に関しては自分の方が高いはずだけど、実戦経験が豊富な分、技量が圧倒的に自分を上回っている。

せめてルイーズさんと対等に打ち合えるようにならないと、いずれ絶対に死ぬ!

だってカトレアが確実に自分の実力では達成困難な依頼を受けて来るはずだから…。


そして翌日、魔道契約書の解析が終わったようで朝食の際にカトレアが結果を教えてくれた。

どうやら娼館から身請けの際に渡された魔道契約書は2重に上書きされてはいたものの、下には竜の牙がレーナさんに結ばせた契約があったらしい。

カトレアいわく恐らく竜の牙、それだけでなく今の時代には魔道契約の書き換え技術がメジャーどころか出来る事を知ってる人が居るのかどうかも分からない事が良い方向に傾いたらしい。


契約書の書き換えと聞いた時、普通に新しい契約者と意思や思考を封印されたレーナさんの間で契約を結びなおすだけでその際に契約者が竜の牙から新しい契約者に移るように魔道契約書を作成するだけ?

って思ったら本当にその通りだった…。

いや、普通に思いつかない? それとも自分には前世の記憶があるから当然の事って思えるの?


カトレアが言うには、今の時代は魔道契約だけでなく、技術や冒険者の実力など多くの事が衰退し、反対に生活に使う魔道具、食料生産率、生活水準などが向上してるとの事で恐らく意図的にそう言う風になるように誰かに誘導でもされているのように感じたって事だけど、昔に比べ平和になったって事じゃない?

そう思うんだけどカトレア的にはなんか違うらしい。

400百年以上前の事は分からないけど平和になって生活が豊かになるならそれはそれでいいんじゃないかな…。


食堂での雑談を終えてまた治癒魔法をレーナさんにかけるもやっぱり舌の再生は出来ない。

朝の治癒が終わった後、宿を出て街を散策したいけどカトレアとルイーズさんから外出禁止を言い渡されているので宿の庭で剣の素振りをする。

自分が好き勝手に街をぶらついている際に竜の牙がちょっかいをかけて来ないとも限らないからだって。

一応自分もそこそこ強くなってると思うんだけどな~。


その日の夜、夕食を食べているとルイーズさんが竜の牙の件、そしてフォレストの件をギルドに報告して来たとの事だった。

ギルドの反応は最初はまともに取り合ってくれなかったらしいが、魔道契約書という証拠がある事、そしてレーナさん、バイルさんを保護していることを伝えると段々と真剣に耳を傾け出したとの事だ。

どうやらカトレアの指示でギルドに話をしに行ったらしい。


「それはそうとカツヒコ、治癒魔法で舌の再生は出来た?」

「いや、出来るわけないじゃん!! 再生の【さ】の字もしてないよ!!」


「はぁ~、まあ予想通りって言えば予想通りだけど、カツヒコのギフトなら出来るかと思ったんだけどね…。 まあ仕方ないわね、Aランクポーションを持っていたでしょ? それを飲ませながら治癒魔法で再生を試してみなさい」

「Aランクポーションと治癒魔法? それで再生が成功するの?」


「そうね…、カツヒコの能力次第ってとこじゃない。 出来なければこれからも毎日治癒魔法をかけ続けて能力向上させるしかないわね」


アイテムBOXからAランクポーションを出し、バイルさんに協力してもらいながらレーナさんにポーションを飲ませながら治癒魔法をかける。

全力で治癒魔法をかけるも舌が再生をする様子も無い為、一旦治癒魔法を止めて、両掌に魔力を集めその魔力で治癒魔法を発動する。


一定の魔力で治癒魔法をかけ続けるよりも、一旦魔力を両掌に集めその魔力で一気に治癒魔法をかけてみた感じだ。

多分それだけなら再生は出来なかったんだろうけどAランクポーションの効果も合わさってかレーナさんの舌がみるみるうちに再生をしていく。


「ファイン、舌が…、レーナの舌が再生したぞ!!」

バイルさんが目に涙を浮かべ、言葉に詰まりながらも喜びの声をあげている。


「カトレア、Aランクポーションと治癒魔法を併用する方法があるなら先に教えてくれればいいのに…」

「あなたね~、最初から教えてたら治癒魔法の練習にならないでしょ! そもそも併用で再生できる保証は無かったしね」


う~ん、カトレア的にはバイルさんとかの気持ちはどうでも良くって、急がないから自分の治癒魔法の練習をさせる目的だったみたいだ。

それならそうと先に言ってくれればいいのに…。


まあ舌が再生したから良いとしよう。

それにしても治癒魔法の使い方って一定の魔力で治癒魔法をかけ続ける方法と、一旦魔力を両掌に集めその魔力で一気に治癒魔法をかける方法で効果が違うって言うのが分かったのは収穫だった。

大怪我して多少身体の一部が欠損してもAランクポーションと併用すれば再生出来る事が分かったから、これなら今後、多少の無理も大丈夫だな。


いや…、という事はカトレアが受けて来る依頼の難易度も跳ね上がる?

バイルさんは喜ばしい事だけど、自分的には喜ばしくない状況かも…。



お読み頂き誠にありがとうございます。

ブックマーク、評価、レビューを頂けると大変励みになります。


また、どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?

と思う今日この頃…。


既にお読み頂き、ブックマーク・評価、感想を下さった皆様、誠にありがとうござます。

拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。


あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。

また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。

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