開拓村への道
ルイーズさんと共同で受けた魔獣討伐の依頼への出発日、朝早くに門の前に行くと、そこにルイーズさんは居なかった…。
カトレアと共に門の前で待つこと1時間、見るからに二日酔いと言う顔のルイーズさんがやっと現れたが、「いや~、昨日は飲みすぎちゃってよ」って一言だけ言ってそのまま何もなかったかのように開拓村へ続く道を歩きはじめる。
うわ~、絶対カトレアがキレてそう…。 そう思って恐る恐るカトレアを見ると、別に怒っている感じもせず、至って普通だ…。
「カトレア、ルイーズさん遅れて来た事、怒って無いの?」
「怒る? 何で怒る必要があるの?」
「いや、だって予定の時間より遅れて来たし、カトレアの事だから時間厳守とか言うかと思ったんだけど…」
「まあカツヒコが遅れて来たならそう言うわね。 ただルイーズはただ飲み歩いてるだけじゃなく情報を仕入れてるでしょうし、恐らく朝ギルドに行って情報を少しでも収集して来てるはずよ。 だから怒る必要なんかないのよ」
まじか!
自分にはガチでただ飲み過ぎて寝坊した二日酔いの人にしか見えなかったんだけど…。
カトレアはまるで見て来たかのようにルイーズさんの行動を見抜いてる。
流石400年以上生きてる訳じゃないね。
そんな2人と共に壊滅した開拓村を目指し道を進む。
開拓村までの道のりは徒歩で3日、カトレアもルイーズさんも索敵と遭遇した魔物の相手は自分に任せ、2人とものんびりと雑談をしながら少し後方を歩いている。
「いや、少しは手伝ったりしてくれないんですか?」
「するわけ無いだろ! 私達が手を出したらカツヒコの経験にならないし、そもそも一番弱いんだから少しでも強くなる為の経験だ!!」
ルイーズさんはそう言いながら8匹のオークを目の前にした自分を尻目にカトレアとお茶を飲んでる。
いや、オークだから良いけどさ、何でお茶飲んでるの?
「カツヒコ、あなた討ち漏らしがこっち来たら怒るからね!」
カトレアはお茶を口に運びながら結構不条理な事を言ってる。
オーク8匹、まあ普通に戦って1~2匹なら瞬殺出来るけど8匹ともなると瞬殺は出来んし、かといって討ち漏らしたり、逃げられたりしたら絶対怒られるし…。
剣を握りなおし、魔力を剣に流し込んでから身体強化をおこない身体能力の底上げをし様子を伺う。
オークが手に持った木の棒や石を棒に縛ったような斧を振り上げて向かって来る。
オークに向かい、地面を蹴って飛び出し先頭を走るオーク2匹の首を落とし、その勢いのまま、後続のオークに剣を振るう。
倒したオークをアイテムBOXに収納し、剣に着いた血糊を落としていると、カトレアとルイーズさんがそれぞれ、思った事を口にした。
「ダメね! そもそもオーク相手に魔纏と身体強化を使用してる時点で論外よ! 次は魔纏も身体強化も使わずに倒しなさい!」
そういうカトレアに続きルイーズさんは、
「最初の踏み込みと、先頭の2匹の首を落とすとこまでは良いけどその後が悪い! 鈍足のオーク相手だからいいが、動きが速い相手だとすり抜けられて後衛に被害が出るぞ。 ただ倒すんじゃなくて、効率よく倒す為に相手の動きを予測して順序よく倒すようにしないとな」
お茶飲んでただけなのに辛口評価ありがとうございます。
そう心の奥で呟いて、歩きながらルイーズさんの言う順序を説明してもらう。
う~ん、ルイーズさんいわく視野が狭いという事らしい。
オーク8匹の動きは把握していても、地形、行動予測が甘い為にすり抜けようとしたり逃げようとしたオークの背後から斬る羽目になるとの事。
本来なら、オーク達を自分の動きにより都合の良い状態に持っていくよう場を支配する事が重要との事だけど、聞いてて出来る気がしない。
ルイーズさんはどの程度出来るのか聞いたら「オーク8匹程度なら私は一気に薙ぎ払って終わるから!」の一言で済まされた。
勉強になったようなならないような…。
そんなモヤモヤを抱えつつ開拓村への道を進む。
「それにしてもルイーズさん、森を切り開いた開拓村は複数あるのはいいとして、壊滅した開拓村までの地図を見る限り、キャールから真っすぐ道を作ればいいのに、何故迂回するように道が出来てるの?」
疑問の理由としては、地図を見る限り道はキャールからしばらく真っすぐ進んだ後左右に分かれ円を描くよう道があり円の内側が空白地帯と化している。
なんか道が山手線みたいに繋がっていて内側が未開拓ぽいのが気になる!!
真ん中に一本道を通すとか十字の道を作るとかすれば便利そうなのに…。
「ああ、それな、最初は開拓村を繋ぐ道の内側に道を作る予定だったらしいけど、ちょっと厄介な場所があって諦められたんだよ」
「厄介な場所? 強力な魔物が居たり?」
「いや魔物はいるが、その辺に居るのはゴブリンやオーク程度だな。 厄介なのはその中心辺りにある沼地だ」
「沼地…。 だったら埋め立てるとか迂回する道を作るとかすればいいだけじゃない?」
個人的には至って普通の意見だと思ったのに、どうやらルイーズさん的には残念な回答だったらしくため息をつかれた。
「それがそうもいかないんだよ、沼地って言ってもなんせ広い、その上広い沼地の周囲は広範囲にわたって湿地と言うか泥沼のようにぬかるんでいてとても道を作るなんて出来ないんだよ。 まあ沼地自体は浅いが底に溜まった泥によって入ると抜け出せなくなるって言われてるぐらいだしな。 あとは開拓村の水源でもあるから出来るとしても埋め立ては出来ないんだ」
ルイーズさんの話を聞く限り、沼地は広大な上、開拓村の水源でもあるとの事で手を付けず、沼地の外周に開拓村と道を作ったとの事だ。
確かに埋め立てとなると大量の土砂が必要だし、水源として利用されているなら埋め立てたら開拓村が水に困る。
道があれば便利だけど作れない事情ってのがあったのか…。
採石場とかで石を膨大量手に入れれば道を作れなくも無さそうだけど、早々石を大量に手に入れる場所なんか無いしね。
とは言え道があれば壊滅した開拓村からの脱出や救援もスムーズに出来たんだろうな…。
地図に目を落としつつ、そんな事を思いながら、先へ進む。
幸い開拓村は隣の開拓村と大体1日で往復できる距離に作られている為、野営の心配は無く、翌日の昼頃には壊滅した開拓村の手前にある村でなんとか宿をとる事が出来た。
とはいえ宿は魔獣討伐の冒険者達が一杯で空き部屋が1しかない為、カトレアとルイーズそして自分という何とも居た堪れない状態確定だ。
宿の部屋を確保した後は、3人で村にある商店などを回り、最後は夕飯ついでに酒場で食事を摂りつつ情報を集める。
自分とカトレアは他の冒険者達が話していることを盗み聞きする感じで、ルイーズさんはなぜかジョッキを持ったまま他の冒険者の席に行き堂々と魔獣の事を聞いている。
流石と言うべきなのか、Bランク冒険者のなせる業なのか…。
食事を終わらせ、大体の情報を手に入れたら宿に戻り、各自知り得た情報をまとめ、明日以降の魔物討伐に備える…はずだった。
だがルイーズさんが得た情報も、自分やカトレアが得た情報もギルドからもたらされた情報と同程度で得られた情報と言えば、魔獣討伐に向かった冒険者のパーティーは魔獣を発見できなかったが、その後向かった冒険者パーティーが帰って来ない。
だがその後を追うように向かったパーティは魔獣も発見できず、帰って来ない冒険者パーティーの痕跡すら見つけられなかったとの事。
現在、この開拓村に居る冒険者のパーティーは行方不明のパーティーが出た事で二の足を踏んでいる冒険者達が殆どらしい。
三人で明日の予定を話し合うが、とりあえず現地に行ってみないと何も分からないとの結論で明日の早朝に出発し、魔獣に襲われ壊滅した開拓村へ向かう事にする。
それはそうと、ルイーズさん! 一応15歳の男が居るのに部屋に入った瞬間鎧を脱いでシャツ一枚になって胡坐かくの止めません?
普段から露出の多い装備だけど、シャツ一枚で胡坐って…。
シャツの胸の部分がはち切れそうに伸びてますし、ポッチもハッキリ見えるうえ、下は何も履いてない!!
ついつい視線が胸のポッチや下の茂みに行くと、カトレアから冷たい視線が突き刺さるんですけど…。
自分は試されているのか?
いや、カトレアが寝てる間にとか…、いやする勇気も無いけど明日の朝までこの生殺し的な状態を耐えられるのか?
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と思う今日この頃…。
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