03 便利屋開業
異世界召喚された拓斗達には、元の世界では行使できなかった魔法の力が備わっていた。
「おっ、本当に変な力が使える! 星菜もやれる?」
「できるわ。物が軽くなったり、なんかどこかに消えちゃったりする。あら、出てきたわね」
それは、物を軽くしたり、しまったりできる生活便利魔法の一種だった。
特にレアでもない魔法。
「じゃ、その魔法つかって、俺の荷物持ってろ。なくすんじゃねぇぞ」
「おっ、おもっ。何でこんなに色々あるんだよ。これ絶対全部必要ないやつだろ。ぐぇっ、助けて星菜、俺が潰れちゃう」
英雄の荷物持ちとして誇っていいのか分からない立場を手にした拓斗達は、アッシュ達が移動するあちこちにつれていかれる。けれど押し付けられた仕事はそれだけではなかった。
「何で荷物持ちだけじゃなくって、滞在地の厄介事まで押し付けられてるんだ俺ら! 人使いあらくね、あのテキトー勇者」
「拓斗! おばさんが荷物運んでほしいって。待ちくたびれてるわよ」
「あっ、ごめんなさい」
旅の中で、荷物持ちとしてだけではなく、なぜか便利屋として人々のお悩みを聞いて回る事にもなっていた。