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02 荷物持ち
「星菜っ! 大丈夫か!? なんか急に周囲が光ったけど」
「私は、大丈夫よ。でもなんか周りの雰囲気がおかしいような」
自分達が住んでいた世界とは違う世界、カルセル・リックに召喚された拓斗達を出迎えたのは、その世界の英雄アッシュだった。
「何だ? 召喚されたのは、ケツの青いただのガキ共じゃねーか。苦労して召喚魔術使ったのに、外れじゃねーのか?」
アッシュは、拓斗や星菜を召喚した人間で、何かも目的があるようだった。
「お前が何かしたのか。おいっ、俺達に元の場所に返せよ」
「無理、面倒くせぇ、どうでもいい」
「無理は分かるけど、面倒とかどうでもいいとかはナシだろ!?」
「うるせぇな。しょうがねぇだろ猫の手でも借りてぇ状況だったんだから」
問い詰める拓斗に顔をしかめるアッシュは、その困りごとを説明していく。
だが、それは想像以上に小さな事だった。
彼が拓斗達を召喚した理由は、現在脅威を振りまいている魔王の討伐でも世界平和でもなく、ただの荷物持ちとして人手がほしいからだった。