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その気
二人は(華は言わずもがな瞳も)その気はない―――ということになっている。
ただ、瞳の目が皆に何かきわどいものを感じさせるものであることも否定出来なかった。
それも、華に対してだけの目が。
転校して間もなく、ほんの少し怖くなった華が実に遠回しな表現で尋ねたことがある。
―――本庄さんって、女の子が好きな女の子?―――
瞳はきょとんとした後、唐突に意味を悟り、笑い始めた。
―――アハハハハ! まっさか!!―――
散々笑い飛ばした後、まだ表情を崩していない華に気づいた瞳は急に神妙な顔になる。
―――……ごめん。でも、ホントに今まで好きになったのは男の子だけだから……安心してね―――
―――「安心して」って、それどういう意味??―――
と華は笑って誤魔化したが、内心ほっとしていた。