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合流

自分の目標は1話五千時なのに3500しか行かない。

それなのに2日に一度しか投稿できない。

ジレンマですね。

その蝙蝠の翼を見て夢は確信を抱いた。

これは挑発だと。

犯人にとって都合が悪いものを見た自分を殺しに来たのだと。


―――望むところだ。


闘志をみなぎらせ、掌の上の紙を握りつぶす。

昨日は一睡もできかった。

しかし、活力はみなぎっている。

よく、昼夜をとうして行動する人物に見られる興奮状態が彼女を強く突き動かす。


―――殺す、殺してやる。


カバンの中には護身用のナイフがある。台所にあったのを持ってきた。

人の肉でもきれそうな分厚いそれを綺麗に研いだ。

歯に自分の顔が綺麗に映ったのが妙に印象に残った。



眠れなかったせいで、ニュースにアンテナを張っていたのは正解だった。


彼女は新聞屋と契約を結んでいた。

新聞屋の根気強い説得の末に買ってしまったのだが、今この時だけはその選択に感謝していた。


穴が開くほど見つめ、彼女は望む記事を見つけた。


すると、見つけた。

桃子の失踪事件の記事が。

しかし、新情報は無い。

むしろ注目したのは横の記事だ。


連続失踪事件や、彼女の大学で発生した謎の変死。


「うちの大学で事件ですか」


 ある一文。

変死。

それに目を奪われた。


 さながら、闇のごとく先行き不明。

不解明。

過程を飛ばし、あるのは死体。


 いつもの彼女なら、そのうち解明されると考える。

しかし、この世ならざる存在を知覚した今は違う。


「99%無関係ですね」


 しかし、夢には残り1%を見逃すなんてできなかった。






指定された場所の一階層上。

そこで彼らは向かい合って座っていた。


「この建物は解放感があっていいよね。自分は全然使ってないけど」

「そうね。けど、まるで監視するみたいに違う階層で待つ理由なんてあるの。

ご丁寧に服でカモフラージュしたうえで形態のメモを置いて」


そういって、彼女は紅茶の入った紙コップを傾けた。

赤い滴が一滴たれ、まるで血のようだ。


「君の推測は当たっている。

 ここに座っている理由は監視だよ、監視」

「? 一体誰の監視をするっていうのよ」

「決まっているだろう、これからここに来るかもしれない真犯人だ」


 うれしそうに微笑むとあなたとは対照的に、トトは視線が冷たく鋭く変化した。


「あなたはこの事件に真犯人がいると考えているの」

「まったく、確率としては10%だね。

 今回の蝙蝠の羽をもった化物、面倒だから悪魔でいいか。は、他分野性。

自由気ままなやつだと思うんだ。

 もし人間が後ろにいたら、死体は必ず見つからないようにする」

「道理ね。つまり人間が後ろにいるのかどうかを確かめたいのね」


 その容疑者の最有力候補がトトであることは口に出さない。


「考えられるのは三通り。

 1、野生の悪魔による犯行

2、悪魔の後ろの四天王的な存在による犯行。

3、魔導師による犯行。

どれが一番信用度が高いかな」

「まるでゲームをどう攻略するかを考えているみたいね」

「分かるか。実は参考にしてたんだ」

「ごめん、今のでここに書かれているものの信用性が地に落ちたわ」


 トトはかかげられた指を可能ならばへし折りたいと思った。


「で、どう思う」


「……やっぱり一じゃない」

「理由は」


 聞かれても、思考がまとまり切らない。

トトは白い爪を噛んだ。


「私はもともとこの事件に計画性があると思えなかった。

 その直感の続きだと思う」

「そんなあいまいの感想じゃなくて、自分ならどうしたかを行ってくれないと」


 自分は彼女を疑っていない。そう思われているからの踏込だ。


「私なら、人通りがない場所で襲うかな。

 それにできるだけ夜遅く。

 夜の2,3時。

 この時間だと外を出歩いている人物なんていないだろうけど、出歩いていたとしたらその人物が消えたとしても不審に思う人物は多分少ないよ」

「道理だね」

「そもそも、どうして悪魔はあなたや今回の人を殺したんだろう」


 それはあなたにもわからない。


「確かに共通点はどこにもない。

 つまり、向こうは人さえ殺せれば誰でもよかったんだ」

「もしも黒幕がいたならこだわりがあると思う。

 そう、ジャック・ザ・リッパーがどうしてジルではないかの証明ね」


 と、彼女は世界で最も有名な殺人鬼を例に出した。

 帝都ロンドン。

黒い煤まい、霧が覆う町。


そこで起こった狂気の殺人事件。


 それが今回に一体何の関係があるのだと、あなたは首をかしげた。


「ジャックは男だった。これは間違いない事実なのよね。

 小説から得た知識で申し訳ないのだけど、連続殺人鬼っていうのは自分とは違う性別を狙うのよ。

 加えて、女性の連続殺人鬼っていうのは極端に数が少ない」


 まったく知らない情報だったので、あなたは素直に感心した。


「となれば、もし女性がここに来たのならば要注意か」


 自白か。

 そう思うのはやや穿ちすぎだろうと、脳に過ぎ去った苦い妄想を追い出す。


「というか、殺人鬼が来たらどうするの」

「だから二階にいるんだよ。仮に来たとしてもやり過ごせる」

「まあ、いいけど。

 でもどうしてくると思ったの。

 これは小説で得た知識なんでまったくあてにならないんだが」


 こいつパクリやがったなととは思った。

「真犯人手いうのは必ず現場に戻ってくるものだろう」


 ペットボトルの水をあなたは呑んだ。


「ドラマの中ならね」

「もし、ここに犯人が来て、気づかれたら高確率で殺されるから注意が必要っていうのが最大の問題だけど。

 ボイスレコーダー的な物があれば、携帯で……。そっちの方が危険が大きいか」


 一瞬的に見つかるのを避けるれるが、

見つかった時の危険性は高いと思い直す。


「それにしても暇だな」

「何か面白い事でもする」

「俺は一体どこの王侯貴族だ!」


 幸い時間は腐るほどある。

 あなたは一枚の白い紙を取り出した。


「ここに操作の計画を作ってみよう。

 まず、どう捜査するかだけど。


1、被害者に共通点は無かったか。

2、ここ最近この町で不可解な事件が起こっていないか

3、化物の正体について知る方法は無いか。


「やらなければならないことと、やるべきことはこれだね」


 そういうと、トトは携帯をいじりだした。

 白い指が高速で動く姿は、いかにも今どきの若者だと思わせる。


「うん、面白そうというのは不謹慎だけど、それっぽい記事はあったよ」


 彼女はあなたの顔面へとあるニュース記事を近づけた。


「連続失踪事件!!」


 正確には行方不明者の増大が事件だった。

 

「もしも、これが真実だったとしたら、あの件は、今回の図書館の一件は非常に大きな意味を持つ」


 目の前の小さな点が大きな選へと発展した。


「一つ聞きたいんだが、今朝効いたクマによる失踪事件。

 あれの被害者は知り合いじゃないか。その人と知り合いの人物に連絡を取るだけでもいい」


 そしてその線は新たな展開へとつながった。

 道という暗闇を既知という白い光が照らす。

 新たにたらされた蜘蛛の糸にあなたたちは飛びつく。

 リスクを恐れずに前進する。

 新たな光を見るために。


 そして、真実のカギを手にする女の子。

 黒木夢。

 名前のままの黒き威圧を身にまとい、事情を未だ知らない探索者の前へ。。


 ずんずんと待ち合わせ場所に向かう。

 トトが身を乗り出そうとしたのであなたは抱きしめるようにして止める。

 これで傍目にはいちゃついているようにしか見えないだろう。


「な、何を」


 トトは顔を赤くしてあたふたしているが、あなたはそれをかまう余裕などない。


 椅子にかかっていた服を彼女が強引に払いのけるもそこには何もない。


「どこに行った」


 噛みしめるように紡がれる言葉は地獄から響いているかのようだ。


「どこに行った!!」


 今度は彼女は建物全体に響くように叫ぶ。


「何なの、あの人」


 この女性は殺人鬼のはず。

 故に、不用意な行動はとらない。


 その予想は赤い的を大きく外した。


「おい、夢。桃子がさらわれて気が立っているのはわかるけど、いい加減落ち着けよ。

 もしも、相手が話し合いを望んでいるならば危険だと思われる」


 そのやり取りで、あなたは相手が誰かを察した。

 未だに殺人鬼であるという疑いがあるが、容疑者第一位は横にいる。

 状況証拠としては、複数人出来たこと。

 目立つ行動を立ったことでないだろうと思う。


 むしろ問題は……。


「離せ、話して下さい!!」



 あれに話が通じるかだ。


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