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第二話

少し混み合った電車に揺られ、十数分が経っただろうか。相変わらず篠宮さんとの距離の近さにどぎまぎしていた僕だったが、目的地である駅に着き多少人混みをかき分けて何とか降りることができた。

特に変な感情を抱いている訳では無いにしても、女の子と密着するような経験はあまり慣れない。僕はそこまで女の子と接することが多いわけでもないし、どちらかと言えば女の子は苦手な方だ。


「ふう…、やっと着いた…」


おかげで精神的な疲労も大きく、これからバイトだというのに随分と体力を持っていかれてしまった。これからはなるべくこうならないように努力しよう。


「えー、よっしー疲れすぎじゃない?」

「おかげさまで、色々気を使わないといけなかったからね」

「は?どういうこと?」

「何でもないよ、気にしないで」


勿論電車内の人が多いことも原因の一つだけど、一番はこの子が凄く密着していたことが起因している訳であって。でもそんなことを言えば、先ほどのように冷めた目で見られることだろう。元々僕の扱いは良い訳でもないのに、更に酷い扱いを受けたくはない。


「ふぅん、まあどうでもいいけど」


そんな僕の気苦労を知ってか知らずか、篠宮さんは相も変わらずの態度でそう返す。

本当、知り合った時はこんな感じじゃなかったのにな…。それが打ち解けたと言えば聞こえはいいけど、僕としてはあまり嬉しくはない。


「ところでさ、まだ時間あるけどどうする?何かしたいことがあるなら付き合うよ」

「特にないよー。よっしーは何かしたいことないの?」

「僕?いや、僕は特に何も無いよ。カフェか何処かで時間潰そうかなとしか思ってなかったし」


自慢じゃないが、僕はあまり趣味と言えるものは多くない。好きなことと言えば本を読むかちょっと自分で話を書いてみることくらいで、どちらも誰か連れがいる時にするにはあまりに不適切だ。

だから友人と遊ぶ時は、大抵友人のやりたいことに付き合うことで終わってしまう。


「じゃあそれでいいよ。カフェ行こ」


すると篠宮さんは、僕の返答も待たずに前を歩き出してしまった。僕もその後ろに慌ててついて行く。

そのまま歩いて少ししてから、適当にその辺にあったカフェに入って。僕達はそれぞれ椅子に腰を下ろした。僕はアイスココアを、篠宮さんはミルクティーをそれぞれ注文し、飲み物が来るまでの間時間を潰そうと鞄から本を取り出した。

篠宮さんといる時は、割とお互い自由に過ごしていると思う。目の前で本を読んでも何も言われないし、彼女が何か話を始めればそれを聞く方に回る。そんな関係を心地好く思っていた。

すると篠宮さんは僕の持つ本に興味を示したようで、僕に問いかけてきた。


「よっしー、何読んでるの?」

「これ?本屋で見かけて、面白そうだなって思って買ったんだ」


その本の内容は、片思いの主人公が好きな人に振り向いてもらうために奮闘し、最後に告白して付き合うことになるという言わばありきたりなものだった。ただ僕はそういう純愛、かつハッピーエンドの小説が大好きなので、ついつい買って読み漁ってしまうのである。


「へー、相変わらずよっしーこういうの大好きだよね」

「うん。だって素敵じゃない?真っ直ぐな恋愛って言うか、読んでて凄く心が暖かくなるような話ってさ」


篠宮さんも同じような立場だもんね、と付け加えれば、彼女は満更でもないように顔を綻ばせた。

この物語がハッピーエンドであることから、自分の思いが成就する未来でも思い浮かべたのだろうか。当然僕もそうなってほしいと思うから、その時は祝福の言葉でも送ってあげようかな。


そしてそれからはいつも通り篠宮さんの愚痴か惚気かわからない話を聞きながら、彼の想い人が来るであろう時間まで時間を潰すこととなった。

ほんとにこのサイトの使い方がいまいち慣れません…

見づらくなければいいのですが、もし見づらかったら本当にごめんなさい。

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