豊臣と徳川
聚楽第にて、大名達と家臣達を集め、発言した秀頼。そのあとの徳川家康の問いにも答える。
『この世界の統治とは大きな夢ですな殿下』
「その通りだ。しかしこの夢は幻としてはならん。我の代で成せなくても次代の者達がなしてくれる事を信じている」
『それではこの世から戦はなくならぬではありませんか』
家康は強めにいい放つ。その声に他の傍聴者は驚いていた。
「内府。如何した。そんなに声を上げるなどお主らしくもない」
『この徳川家康。秀吉公から戦を無くすために協力して参りました。その戦が無くなり、平和な世が続くことを信じておりました。しかし事もあろうことに外征などを行うとは戦が続くという意味です。これ以上の犠牲は出してはなりません。殿下』
「内府よ。お主が言っていることも間違いではない。しかしお主は世界の国々の事を知っておるか?」
『そ、それは』
「我が世界の統治を目標としているのは只の欲ではない。世界を解放するためよ」
『せ、世界の解放』
「さよう。南蛮等の国々は自らの宗教を広めようと日々動いている。その延長が戦よ。自分達の宗教を拒否する国には侵略をして領土とし、強制的に宗教を押し付ける。それが南蛮のやり方よ。そうなればいつこの日の本が外敵からの侵略を受けるか解らん。その前に世界を統治するのよ」
『、、、、、』
『内府殿。この話はこれで終いです』
政宗が仲介してこの討論は終了。これにより家康の支持は下がってしまう。
聚楽第を後にして屋敷に帰った家康は怒り心頭であった。
『あのような小僧に何が解る?この世の平穏をなぜ妨げるのだ。くそ~』
『家康様』
『なんだ?』
『反豊臣の者達が集まりました』
『今から行く』
この時から徳川家康の周りには豊臣に対して不満や怒り、失望した者達が出入りするようになる。
その頃、聚楽第の本丸御殿では秀頼と政宗が酒を飲んでいた。
「あのクソ狸め。事の重大さをなぜ解らん」
『秀頼様。そうかっかされるな』
「全く。しかしあの狸があれほど言うとは。そろそろ牙を向けてきた感じか」
『そのようですな』
「徳川は既に最上、南部、津軽、真田、長宗我部、その他取り潰された元大名家達を抱き込んでいる。大きな戦になることは間違いなしだ」
『伊達、上杉、豊臣、毛利、島津連合の総兵力は70万に対し徳川連合軍は集めれば50万程になるでしょう』
「しかし実際に戦う兵力は双方最大でも20万。あとは緒大名達での戦になろう」
『では』
「警戒を厳とせよだな」
豊臣と徳川による大戦まで後2年。