江戸仕置
大変ながらく御待たせ致しました。
東西での大戦は豊臣方の勝利で終結した。
秀頼が率いた豊臣軍は反乱軍を鎮圧し、江戸城に入城。そこでは東日本の大名達が集結していた。
上座に秀頼が座り、中座には伊達政宗、徳川家康。下段には東日本の主な大名達と家臣達が座っている。
「日ノ本の東西で、このような大戦は過去に例はない。東西合わせて約四十万の兵士達が天下の為に戦った。この戦には勝者も敗者もいない。しかし、処罰を下さねば納得の行かない者達も居る。そうであろう、徳川内府よ」
『はっ、この老いぼれの命をもって償いとう御座います』
「それはならん」
『『『!!!!!』』』
その場にいた全ての者が秀頼の「それはならん」と言う言葉に驚いた。
『殿下。それはどういった理由で?』
「左府。徳川内府はこの日ノ本から戦をなくすために今回の戦を起こした。国の主が道を踏み外さないようにするのが家臣の役目。その家臣の役目を内府はしたまでだ」
『ですが関白殿下。我宇都宮家は徳川内府様により何もかも失いました。領土、民、城下町、城。これらをどうするおつもりですか?』
「宇都宮殿。それらについては我、豊臣家が修復いたす。なにも問題はない」
『し、しかし』
「しかし、なんだ?いつ戦が起きても対処出来るように、触れを出していたのを忘れたとは言わせんぞ。御主の国では戦仕度をしていなかったと報告もあるが」
『そ、それは』
「宇都宮殿。これ以上話すことはない。全て領主である御主の準備不足だ。今回だけは見逃してやる。御理解いただけたかな?」
『はっ、ははぁぁ』
「さて、内府殿」
『はい』
「御主は、幾つになった」
『59に御座います』
「徳川内府家康。朝廷からの詔である」
『はっ』
「徳川内府家康を征夷大将軍に任命する。名古屋の地に幕府を建てよ」
『有り難き御言葉、頂戴致します』
「上杉中納言景勝」
『はっ』
「御主は越後から関東に国替えとする。ここ江戸を根拠地とせよ」
『はっ』
「よいか。名古屋に幕府が置かれるとはいえ、この日ノ本の主は豊臣である。それは変わらんぞ」
『『は、ははあぁぁぁ』』
中段、下段にいる大名達や家臣達一斉に頭を下げる。またこの時、将軍位は世襲制ではなく伊達家、徳川家、上杉家、前田家、毛利家、黒田家、島津家の7家から選出される。任期は5年、1年ごとに全国で国民調査を行いながら政を行う。また豊臣家は摂関職、太政大臣職を世襲制とする。また将軍位の任命、剥奪は豊臣家が行う。
『失礼致します』
そんな仕置きと今後の方針を述べていた最中の秀頼のもとに従者がやって来た。
「なにようかな?」
『関白殿下へ帝よりの勅使が要らしております』
「なに、すぐにお通しせよ」
秀頼は急ぎ、上段を降りると中段にて勅使を待つ。
『勅使様。おなぁ~り~』
すぅ
勅使は上段に座り、秀頼を見る。
『関白殿。帝よりの勅である。心して聞くが良い』
「はっ」
『この度。関白、豊臣秀頼に第一皇女時雨宮を迎えられよ。さらに秀頼公に王の位を授け、豊王とする』
「有り難き御言葉。頂戴致します。しかしながらこの私に王の位は高すぎます。今一度吟味のほどを帝に御伝えください」
『それはならんぞ。朝臣豊臣秀頼よ』
ガラッ
「み、帝」
秀頼達の前に突然現れた帝は、秀頼の前に座る。
ドサッ
『関白。天下を治めていた豊臣家がこのような内乱を起こしていては世界など到底無理ぞ』
「はい。その事に関しては私も承知しております。なので3年間外征は致しません。この3年の間に外征の準備として軍艦建造、兵糧の調達、兵站の確保と計画、武器の開発に専念致します」
『そうか。ならば万事滞りなく準備せよ』
「仰せのままに」
『して、私の娘を嫁に出すのだ。となると御主も皇族の一員となる、豊王の就任は断れぬぞ』
「承知しました」
『本来ならば今すぐにでも御主に譲位して隠居したいのだがな』
『陛下。それは』
『はっはははは。戯言よ。では豊王殿。後は任せるぞ』
「はっ」
帝は大広間から退室し、京への帰路につくのであった。
再び上座に腰をおとした秀頼。
「ふぅぅ」
この先の豊臣家が、いや、日ノ本がどう動くのか考える秀頼であった。
誤字脱字には御勘弁を




