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タケミカヅチの娘  作者: 三日天下
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 す、好きって俺のことだよね。

 うわっ、なんだこの気持ち。嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。

 女の子に好きって言われるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

 なんなんだこの気持ちは。

 ど、どうしよう。女の子に好きって言われたんだ。

 この子、俺の事が好きで好きでしょうがないんだ。

 ここまで言われたらやっぱ男として責任を取って将来この子をお嫁さんにもらわないと。

 この子、頭はあれっぽいけど見た目は最高だ、胸も大きい。きっといいお嫁さんになる。

 なによりも俺の事を好きだっていうんだ。

 うん。この子、人を見る目がある。

 絶対にいい子だ。確実にいい子だ。間違いない。間違いなくいい子に決まった。

 よし、決めた。この子を僕のお嫁さんにしよう。

 そしてこの子と一緒に幸せな家庭を作ろう。

 そうだ。そうしよう。そうするべきだ。そうに決まってる。そうに決まった。

 それが男としての責任だ。それが男としての義務だ。

 女の子に好きと言われた以上、お嫁さんにするしかない。

 そうなると将来への設計が必要だ。

 なにしろ俺はこの子の夫になるんだ。

 夫としてこの子を幸せにする義務がある。

 必ず、どんな手を使ってでも幸せにしないといけない。

 幸せな家庭を築くには、やっぱ安定した収入が必要だ。

 神社の宮司って地味で暇だけど、税金面では、ものすっごく優遇されてる。

 具体的には脱税しやすい。

 お賽銭に領収書なんて発行する必要ないし。

 そう考えると神社を継ぐのは悪くない。

 氏子たちからの奉納や寄付も美味しい。

 しかも、こちらも税金がかからない。

 とはいえ、うちみたいな微妙な神社は、年末年始ぐらいしか人が来ない。お賽銭もたかがしれてる。とても安定した収入は無理だ。

 この子は専業主婦となってもらうとして、やはり夫である俺が大黒柱となって家族を支えないと。

 となると楽に他の収入を得る必要があるな、うむ。

 なにか神社の脱税システムを利用した商売方法はないだろうか。

 そうだ、いいことを考えついた。

 どうせ参拝客なんてロクに来ないんだ。

 ろくすっぽ使うことのない駐車場を潰して道場を開こう。

 そして近所のガキ共を上手いこと騙して入門させよう。

 でもって道場を神社の施設の一部ということにする。

 こうすれば固定資産税を免除できる。

 更にガキ共の月謝を奉納という形にして脱税しよう。

 よし、これならばれない。完璧だ。

 ついでにガキ共を洗脳して、将来的にうちの神社の氏子にしよう。

 こうすれば二重に美味しい。

 ガキどもが成長すれば寝てても勝手に金が入ってくる。

 うん。なかなかいい考えだ。これなら楽に儲けられる。

 よし。そうなると宮司の資格が必要だから大学に進学しないといけないな。

 とりあえず、東京の國學院でいいか。

 新設した法科大学院が、文部化学省から最低評価されたバカ大学だ。

 きっと、とてつもなくレベルが低いはずだ。

 勉強なんてしなくても、金さえ払えば誰でも入れる大学だろう。

 とりあえずそこでいいか。楽だし。適当に通ってればいいだろう。

……ん? まてよ。東京の大学に通うとなると、この子はどうしようか。

このまま家に置いておくわけにはいかない。嫁を置き去りにするわけにはいかない。

遠距離恋愛という響きはなかなか素敵だが、たぶんすぐ飽きる。

やっぱ近くにいないと色々と楽しめない。主に十八歳未満お断りの方向で。

この子も連れてって人には言えないふしだらな同棲生活を……、いや、待てよ。

----------キュピーン!

閃いた!

そうだ、学生結婚というものが世の中にはあったはずだ。

言葉だけは知っていたが、生まれて十六年間一度も意識したことのないシステム。

経済的な自立をしていない親の脛を齧ってる学生が、親の脛を齧りながら結婚するという世の中を舐め腐ったシステム、学生結婚。

 こ、これだ! 

 キュピピーン!

 なんということだ! まさか俺が学生結婚することになるとは。

 よし決まった。この子との未来が決まったぞ。

 高校卒業と同時にこの子と結婚、そして大学に進学。

 でもって適当に大学に通いながら、この子と毎日子作りに励む。

 大学卒業と同時に神社を継いで、道場を建設する。

 そしてこの子と二人で幸せな家庭を築く為、更に毎日子作りに励む。

 子供は最低五人はほしいな。女の子が四人と男が一人。

 娘たちに『パパ大好き?』、なんて言われたら、堪らん。もちろん絶対に嫁になんて行かせない。

 けど、そうなると七人家族でこの家は狭いな。

 そのうえ、もし馬鹿親父が空気を読まずに帰ってきたら、更に狭くなる。

 とりあえず親父は邪魔だから鉄格子のついた病院に死ぬまで入れようかな。

 けど、それでもやっぱこの家じゃ狭いな。

 ふむ。やはり家の改築が必要だな。

 いや、せっかくだから、こんなオンボロ木造平屋なんて潰して新築にしよう。

 どうせなら娘たちが喜ぶような三階建ての洋風の家にするか。

 ついでに神社の敷地も潰して芝生を植えよう。

 日曜には家族でバーベキューとかいいな。

 そうだ。犬も飼おう。

 そうなると相当金が掛りそうだ。

 よし、神社の社務所を修繕するという名目で氏子たちと、県の文化センターから金をせしめよう。

 そして家を建てよう。

 当然、神社の施設の一部ということにして固定資産税も脱税しよう。

 よし。かなり将来設計が決まってきたぞ。

 もう後一歩だ。

 そうだ。七人家族となると子育ても大変そうだ、お手伝いさんを雇おう。

 お手伝いさんはとりあえずそこにいる可哀想な体型の女でいいか。

 まったく、見れば見るほど可哀想な体型だ。

 女なのに胸が無いなんてありえないだろ。動物的におかしいだろう。

 まったく、俺の嫁と大違いだ。

 月とすっぽん。釣鐘とひょうたん。富士山と関東平野。太陽と蛍の屁。

 まあ屁みたいな女と、俺の嫁を比べること事態間違いか。

 ほんと、俺の嫁のヘソのごまでも煎じて飲めって感じだ。

 とりあえずこの女を月一万五千円ぐらいで家来にしよう。

 そして朝四時から夜の零時まで家畜のごとく働かせよう。

 うん、そうしよう。それがいい。そうに決まった。

 よし、決まったぞ。将来設計が。

 完璧だ。完璧すぎるほど完璧な将来設計。

 僕とこの子の完璧な将来設計が決まった。決まった。決まったに決まってる。そうに決まった。

 …………げへ、げへへ。げへへへへへへ


 ……なんとこの間、僅か0.5秒。

 以上、水明の妄想トリップであった。


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